第91話 ぬいぐるみ 大繁盛 危険な香り?
「あ!取れそうです!これはいったでしょ!あ!あいやー!」
あいやー?ユキさんはUFOキャッチャーで謎のぬいぐるみを夢中で狙っている。
緑のカエルが車に轢かれたようなマスコット、可愛いかこれ…
「次こそ行けます!見てて下さい!」
見てますよ、かれこれ30分くらい。
しかしUFOキャッチャーで僕がやってみましょうか?と言ってスマートにゲット出来るのは漫画やアニメの話だ。
格好つけて任せてよ!とか言って取れなかったら僕もあいやーになる。
しかし流石に…
「ちょっと僕がやってみましょうか?」
「いや!ここは私に任せて下さい!!」
頑なじゃん…なんか僕も一緒になって欲しい人みたく言うけどそのロードキルカエルは欲しく無いよ?
「ここです!ここでチョンチョンです!」
手離すとアーム降りちゃうからチョンは一回しか出来ないが?
しかし丁度タグに引っかかりカエルがボフっと落ちてきた。
「やった!!やっぱり可愛い!フワフワしてますよ!」
可愛いのはユキさんですよ。そのカエルは何度見てもちょっと…
「楽しいですねここ!あ!あれも可愛い!!」
ユキさんは頭蓋骨がおかしな感じのカピバラのぬいぐるみを見つけて走っていった。
女の子の可愛いは信用してはいけない、どこかで聞いたがその通りだ。
殴打されたカピバラのぬいぐるみは案外すぐにゲット出来たようでルンルンで小脇に抱えてはしゃいでいる。
まあ楽しそうなら良いか。
「ショウさん、この白い人形はなんですか?」
お?気になります?それ僕のお気に入りなんですよ。
「それは魔法でボタンを押した人の人形ができるヤツですね。ちょっと試してみますか?」
僕は何回もやっているので攻略済みだ。適度に角度を合わせて3回目でゲット、楽勝だ。何回やったと思ってる。
「これでこのボタンを押すと押した人の形になるんですよ。押してみますか?」
「魔法ですか…ちょっと怖いのでショウさん押してみて貰っても…」
ぐっ…もう少しマイルドに伝えられなかったのか僕!
僕が人形のボタンを押すと手の中で僕が出来上がった。ミニショウ君だ。自分のフィギュアって恥ずかしいなぁこれ。
「ちょっと見せて貰っていいですか?」
じっくりと僕を眺めるユキさん。なんだこれ恥ずかしい。なんてフィギュアだ!
「なるほど…」
そう言って箱にしまいぬいぐるみと共に大事そうに抱えるユキさん。
え?貰っちゃうの?
「あの…ユキさんもボタン押してみないですか?なんかこう…新鮮な感じですよ」
新しい羞恥心が顔を出す。そんな感じだ。
「ショウさん欲しいんですか?」
おっとどうする…どう答えれば如何わしい感じじゃなくボタンを押させる事が出来る?
しかしこのチャンスはモノにしなければ…何か気の利いた言葉を…。
「まあ普通に欲しいですね」
僕は考えるのをやめた。
「ま、まあ私はショウさんの人形貰ったのでお互い様ですね。」
良いの?ニヤけるなよ僕!黙って3回で景品を取れ!
サクッと景品を取ってユキさんに渡す、なんか僕の今やってる事ってちょっと気持ち悪くない?大丈夫な感じか?
ユキさんがポチっと押すと人形はユキさんに姿を変えた。
「おぉ…なにか少し恥ずかしいですね…自分の人形って…」
そうですよね、まあユキさんも考えるのをやめてそのフィギュア下さい。
「ちょっと待ってください!これってスカートの中まで見えるんですか!?」
考える事をやめていない!大ピンチだ!
まじまじと自分のフィギュアを下から眺めるユキさん…
「きょ、今日のはダメなヤツです!何も準備してないので!ダメです!!」
いや逆に気になる!!レアなの?言い値で買うけど!?
ユキさんは自分のフィギュアも箱に入れて抱えてしまった…くそう…気になる…。
夕飯の時間になり何を食べようかとキッチンに戻ると大量の洗い物が現れた。
もう食洗機に頼るか…ステータスを開き食洗機をアクティベート。アップデートも重ねてかなりの大きさになった。
「なんですかこの箱は?」
「食器を洗う機械ですね、今まで食器くらいは自分で洗おうかと思っていたんですけど…今日は無理です。」
食洗機に洗い物を叩き込み、スイッチを押す。
意外に食洗機って時間かかるよね、乾燥まですると。
「なんでもかんでもですね…流石ユニークスキル…」
そうなんです、そうなっちゃうから今まで使ってなかったんですよ。
そして残される大量のスープと味噌だれ…作りすぎた…どうしよこれ。
「ギルドのみんなに差し入れしませんか?」
「良いんですか?ワイン飲んでダラダラするんじゃなくて」
「それも良いですけど…この時間ってお腹空くんですよ。でも仕事もあるので暖かい物なんてそうそう食べられなくて…」
ユキさんらしいね、じゃあもうありったけ作ってどんどん配っちゃおう。
僕は麺を茹でてスープに入れる、ユキさんは盛り付けしてギルドに運んでいく。
なんかラーメン屋の夫婦みたいでちょっと楽しい。
しかしこんなに作って大丈夫なの?100食はあるんじゃない?僕が作りまくったせいで。
「ショウさん!順番待ちで行列が出来ちゃいました!あと何食いけますか!?」
上どうなってんの?そんなに?
「あと…30食分くらいですかね、最悪インスタントなら無限に出せますけど」
茹でて作る生麺タイプなら簡単だし、最悪カップラーメンならそれぞれの家で作れる。
「私も手伝うっす!なんかギルド前がやばい事になってるっす!マロンさんは上でお客さんの整理をしてるっす!!」
お客さん!?お客さんって何!?
僕はできる限りのラーメンを茹でるが行き渡らないお客さん?にはカップラーメンを配って貰うようにお願いした。
「今ので最後のお客さんっす」
いやだからお客さんって何?ラーメン配ってただけだから炊き出しとかに近いけど?
「疲れました…」
ユキさん曰くギルドの職員に配ったところ大好評、余ったものはたまたまギルドにいた冒険者に配って大好評、なにか嬉しくなったユキさんは外に出てラーメンを配ったらまたまた大好評。
「そして今に至るという事ですね、まずヒール風呂どうぞ…あ、エクストラヒール風呂にできるようになったので試しに入ってみて下さい。」
「ありがとうございます…ちょっと行ってきます…」
ユキさんが入って少し経った後ノアちゃんも降りてきた。
「休憩っす!お風呂頂くっす!!」
その数分後…
「お久しぶりです、ギルド長に仕事を任せてきました。お風呂頂きますね」
マロンさんなんか少し久しぶりだな。あんまり受付にいないから。
ローガンさんはこの前散々遊んだからお留守番か…
僕も入るか…疲れた…。
風呂に入って疲れを癒そう…
数分後
「しっかしエクストラヒール風呂はすごいな…なんか疲れどころか若返った気がするよ。」
肌ツヤも出たし力も湧いてくる、もう寝なくても風呂入ってれば良いよなこれ。
少ししてユキさんが風呂から上がってきた。
なんかツヤツヤしてるけど…少し違和感が…
「ショウさん!あのお風呂なんなんですか!?入って時間が経つにつれてお肌が若返っていくんですけど!」
僕は一瞬考える。
もしかして実際に若返ったのではないか?いや…寿命を伸ばすヒールなんて聞いた事無い。
悪い場所が治った?肌だけが若返った?
あとで神様気取りのメスに聞いてみよう。寿命が伸びたりしたらそれは流石にやりすぎだ。
「肌が綺麗になる魔法をかけて貰ったんですよ、でもそのうち効果切れるかも?」
ここは濁しておこう。とりあえずエクストラヒールは危ない気がする。
喜んで出てきた二人にも同じように説明し、とりあえず魔法が切れたら普通の風呂に戻りますと言ってこっそりダウングレードしておいた。
不死になんかなったらこの国がえらい事になっちゃうよ!
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