第90話 僕の料理 ラーメン
※今回は料理の話になりますが作者の料理論で執筆しています。
ツッコミどころは多々あるかも知れませんが料理に詳しい方はどうか暖かい目で見守って下さい。
「いやぁショウ君、実に良い休暇だった!また宜しくな!」
「俺も楽しかったぞ。また何処かで会おう、その時はまた花見を一緒にしような」
ヴォルフも大分表情が柔らかくなったもんだ。
そこからギルド長権限でヴォルフはA級冒険者に登録し、早速依頼を受けて旅立っていった。
見た目は魔族だけど人柄が分かれば依頼も問題ないだろう。ギルド証もあるしね。
「随分楽しかったみたいですね、見極める休暇は」
ユキさんは少しご立腹か、自分も遊びたいだろうし仕方ないね。
「ああ!最高だったぞ!釣りをして刺身を食いながら酒を飲んでな!サバイバルゲームなんかもして美しい花を見ながら宴会をしたんだ!!」
良いよ言わなくて!またぐぬぬって顔してんじゃん!
早く自室に引き篭もって仕事しなよ!
「ショウさん!!私今日のお昼までで仕事終わりなので遊んで下さい!!ヒマなので!すごく!!」
必死だ!相変わらず可愛い!!
「今日は新しい料理をしようと思ってたんで一緒に作りますか?」
「お料理ですか!やります!きっと美味しいんでしょうね!!」
美味しい!なんてったてラーメンだ!みんな大好き!
お昼過ぎにまた来ますと言って僕は地下室に戻った。
ちなみにだが僕は料理系男子とかではない。
しかしいざ作るとなったら少し凝って作ってしまう、たまに料理をする男子の典型なのだ。
台所にまともに立たないので手際が悪く、洗い物が大量に溜まった末に洗うのが面倒で放置する。
そんな男だ。
そんな僕はとりあえず下準備を始める、
大きめの鍋を2つ用意し、鶏ガラスープと魚介スープを作る。
鶏ガラの方には手羽中を適当にドカン、ニンニクや椎茸や生姜、玉ねぎをドーン。
魚介の方には煮干しや昆布、鰹節をドーン、んで水を入れる。
良いんだ量なんて適当で、結局美味しいんだから。
全部一個の鍋に入れないだけ褒めて欲しいくらいだよ。
あとはアクを取りながら煮込む!時間?知らん!
じっくりコトコト煮込んでる間にお昼過ぎになった。
一旦火を止めてユキさんを迎えに行こう。
ギルド前に到着するとユキさんは私服で待っていた。この前ちゃっかり衣装室で服を持ってきてたみたい。ブラウスとロングスカートがよく似合ってるね!
「お待たせしました!今ちょうどスープを煮込んでいる所なんですよ」
「楽しみです!お腹空かせてきたので!」
え?完成は当分後になるけど…大丈夫?空きっ腹にワイン飲まない?
二人で地下室に降り、なんとなくエプロンを用意。
僕はユキさんのエプロン姿が見たいんだよ、それだけの事だ。
「これ良いですね、お料理しても服汚れなくて。でも可愛いデザインなのであまり汚したくはないですね…」
じゃあエプロンの上にエプロンを付けてそれでも気になるならその上にエプロンを…
「今適当に具材をぶち込んだスープを煮込んでいるのでその間にチャーシューとか煮卵とかを作りましょう。」
「お料理ってそんなに適当なんでしたっけ?」
適当ですよ?特にこの地下室では。
でも煮卵って美味しくなるまで二日とか漬けないといけないような気がする…交換だな。ポイント使っちゃお。
チャーシューはなんとかなりそうなので豚バラのブロックを大量に用意、何故かヒモで縛る。
煮崩れ防止だっけ?よく分からないけどとりあえず縛る。
ユキさんには醤油、砂糖、味醂、酒、香味野菜にニンニクと鷹の爪、ネギなどを使って甘辛のタレを作ってもらう。
「あの、分量とかは?」
「まあ肉を煮込んだら美味しそうな感じでお願いします。料理はセンスですよ、適当で良いんですよ」
「ショウさんそれ料理人の前で言えますか…?」
ユキさんは気がついてしまったみたいだ。
そう、僕は大雑把なのだ。内緒にしてたけど。
まあ上手く行くよ、調味料の味を分かっていれば大体味の想像は付くよね。あとは理想の味を目指して足してけば良いんだよ。
二度と同じ味は出来ないけど。
ユキさんは日頃から料理をするらしく、チャーシューのタレも美味しい感じに作ってくれた。
今は特にやる事がないので交換した煮卵を美味しそうにつまみ食いし、白ワインを飲んでいる。
最後まで持つのか?
スープもいい具合に煮詰まったし具材を取り出して一応濾しておくか。
なかなかに透き通った良いスープじゃないか。鶏ガラスープと魚介スープを合わせて完成だ。
ユキさんは白ワインを飲みながら不思議そうに眺めている。
「ずいぶん時間かけてましたけどそのスープ何に使うんですか?」
「これでタレを薄めるというか…まあなんかコク的なものが出るんですよ。」
僕の説明でこのスープが何なのか分かる人はいるのだろうか?自分でも分かるくらいフワフワしてる。
後は味噌ダレかな。僕は醤油より味噌派だ。
長ネギを大量に刻み中華調味料とごま油で炒める、良い感じの匂いになったら味噌と若干の醤油、ニンニクに生姜、砂糖やら味醂、塩コショウ少々に酒を加えてアルコールを飛ばしたら完成。
味見しながら作ったから完璧だ!僕は舌で料理をする!
「ショウさんってなんというか、ノリで料理してませんか?」
ノリ以外では料理しないですよ?だって普通に食べるだけならスキルポイントでインスタントラーメン交換しますもん。
チャーシューはまだ味が染みてない感じもするけど仕方ない。一つ切って味見するとまあ美味しい、これは期待できる。
麺は流石にポイント交換だ。中太麺でいいか、ちぢれ麺の。
海苔とメンマをポイント交換、完璧か?完璧なラーメンが出来たんじゃないの?
「麺を茹でたら完成です!!きっと美味しいですよ!」
「ショウさんが言うのだから美味しいんですよね?」
余りにも豪快な調理法を見てユキさんはちょっと不安げ?
大丈夫、パッションパッション。
そしてラーメンどんぶりに味噌だれを入れてスープで割る、茹で上がった麺を入れて煮卵、海苔、チャーシュー、刻みネギにメンマ。
完璧だよおい、完全食だよこれ。
一週間食い続けたら絶対に血圧がやばい事になるよ。
簡単に死ねるぞ!
「ユキさん!出来上がりました!」
湯気が上がる味噌ラーメン、味噌の香りが食欲をそそる。鮮やかに彩られたトッピングはなんかこう、なんだろ?とりあえず早く食べたい。
「美味しそうですねぇ、これなんて言う食べ物なんですか?」
そう言えば何も言わずに手伝って貰ってたな…
「味噌ラーメンです。とりあえず食べてみましょう」
ユキさん箸は使えないからフォークだね。熱く無いように木のフォークを渡した。
ユキさんは一口食べ、
「わぁ!美味しいですよこれ!!身体の芯から温まるしこの奥深い味わい!あのスープはこれの為だったんですね!」
多分そうです!僕はイメージで作っただけなので!
僕も食べてみたがこれは美味い、自分で作ったというのもあるけどそれを抜いても美味い。
久しぶりのラーメン…あぁ…染み渡る…。
スープまで飲み干したユキさんも満足そうだ。
珍しくワインではなくビールをごくごく飲みプハーをしている。
ぷはーの破壊力すごいよねユキさんの。
「お酒とも合いますし屋台とかで売ったら大儲け出来そうですよねこれ」
あのでっけぇラッパ吹きながら練り歩くおじさんみたいに?ちょっと大変そうだな…
「まあお腹も一杯になったし新しい施設できたんで見に行きますか?きっと面白いですよ」
「ここで面白く無い場所なんて無いですからね、楽しみです!」
そして僕達はUFOキャッチャーをしに行く、大量の洗い物を放置してね!
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