第86話 UFOキャッチャー フィギュア
「あれ!もうこんな時間ですか!仕事サボってるのバレたらまた怒られちゃいます!!」
サキエルって仕事しても怒られそうだし仕事してミスするより何もしない方が良いんじゃない?
まあ帰るって言うなら出口はあっちね。
「それでは皆さん!また会いましょう!!」
サキエルはフワッと飛び立ち消えていった。今回はなんだかんだ役に立った気がする。
「やっと帰ったのじゃ…しかし食い方も飲み方もきったないのう…育ちが悪い女じゃ。」
確かに…サキエルが座っていた席は食べカスや酒瓶が転がっている。
「どうしょうもない女でありんす。不幸になればいいのに」
「でも面白かったよ!あの神様いっぱい遊んでくれたし!」
アリアは知らないだろうけど大人になったら分かるさ。人の生死がかかった書類の前で飲み物飲む女だぞ?イカれてやがる。
しかしアリアはこれからどうしようか。
後で分かったのだが実体化スキルを切るとゴーストに戻るみたいだ。
そして多分成長しないし…また古城に帰すというのも…
「アリアはこれからどうする?別に地下室にいても良いけど」
「それも良いんだけど男の人と二人きりっていうのはちょっと…」
え?そういう感じ?僕何もしないよ!ロリコンじゃないよ!
「カッカッカ!なかなかに出来た娘じゃのう!」
「しっかりしてるでありんす!なんならわっちと一緒に恋を探す旅に行くでありんす」
それ良いんじゃない?別に飢えて死ぬことも無いしトコヨが一緒なら安全だよな。
「良いの!?トコヨさんの旅に付いていっても!行く!私も恋を探しに行くよ!」
不死身の竜とゴーストか。良いコンビなんじゃない?後で旅費あげるよ。金貨30枚くらいあれば良いでしょ。
流石に今日出発っていうのも大変だろうから今日はゆっくりして明日か明後日にでも出発したら?
そして何か子供が喜びそうな遊びを探す僕。子供には激甘なんだ僕は。
ぬいぐるみか…いや普通にあげても…これでいこう。
僕はUFOキャッチャーをアクティベート。みんなでワイワイ騒ぎながらぬいぐるみでも取ろうぜ。
ちょっと面白い場所出したから遊ぼうよ。きっと気にいるよ。
そのうちメダルゲームとかも入れてゲーセン風にしようかな。シルバさんとかガル爺とか永遠に遊ぶイメージあるわ。コインゲームは老人の楽しみってイメージが少しだけある。
完全に偏見だけどね!
「ショウの地下室がどんどんすごい事になっておるのう…解放して金でも取ればえらい事になりそうじゃ」
僕は金使わないからね。そういえばアルカリスの町の観光してないな…
「まあまず行こう。旅のお供が取れるかもよ?」
全員なんの事か分からないまま付いてくる、そして扉を開けるとあのなんとも言えない音楽が聞こえてきた。
UFOキャッチャーの音だ!僕は勉強ばかりだったからあんまり来た事無かったけどこの音楽は知ってる!
「なにここ!あ!可愛いお人形さんがいっぱいある!他にも色々!どうやって買うの!?」
アリアよ、これは買うんじゃない。勝ち取るんだ。
「なんじゃここは、箱の中に何やらいっぱい入っておるのう。どうやって出すのじゃ?」
「あの人形可愛いでありんす!欲しいでありんす!」
カメのぬいぐるみ?竜の姿に戻ってみ?あのぬいぐるみより可愛いから。
とりあえずUFOキャッチャーとはなんたるかを説明。
銅貨一枚で一回。まあ100円くらいか。
この入ったお金どうなんの?という疑問もあるけど…
まあ深い事は考えないで遊んでみよう。
ぶっちゃけお金を入れないUFOキャッチャーなんてただの中身を取り出しにくい箱だからね。
「なるほどのう、妾はあの枕が欲しいのじゃ。ショウ、金」
カツアゲじゃん…お金持ってないの?
「わっちはあの亀のぬいぐるみが欲しいでありんす!ショウ!金でありんす」
まあトコヨは持ってないよな、最近までカメだったし。
「私はあの可愛い動物のぬいぐるみが欲しいな。お金は今無いけど…あとで返すから少し貸して欲しいな…」
アリアはしっかりしてるなぁ…返さなくていいよ。どうせ使わないし。
僕は銀貨一枚を両替し、全員にお金を配った。
僕も何かして遊ぼうかな。
それぞれ好きな景品ゲットに夢中だ。僕は何を…なんだこれ。真っ白のフィギュア?魔法的な何かなのかな?
なんか異質すぎて凄い気になるし取ってみようかな。
案外アームが弱く手こずる、15回目にしてやっと獲得できた。
説明を見ると自分のフィギュアが出来るフィギュアらしい。一体なんの説明なんだ、全く分からん。
箱から出すと顔の部分にボタンがある。とりあえず押して…
「ショウ!金じゃ!!」
ルナ?もう無くなったの?もうヤンキーみたいじゃん。
「ん?なんじゃその人形は?そんなもんが欲しかったのか?」
「いや何か気になって取ってみたんだけどよく分からないんだよね。なんかボタン押すみたいなんだけど…」
「どれ、ちょっと見せて見るのじゃ」
そう言って人形を手に取ったルナは迷い無くボタンを押した。
「おぉ、これは魔法じゃのう、この地下室で魔法が使えるのか」
ルナの手の中でグネグネと動く人形は数秒でルナの形のフィギュアになった。
「何それすごい!中どうなってんの!?」
興奮し過ぎて口が滑った!でも気になるじゃん!
「おや?ショウよ、中とはどこの事じゃ?そんなに気になるのかのう、ほうほう、こんな細かい所まで」
ニヤニヤしながら自分のフィギュアのスカートの中を覗くルナ。
「いや黒でしょ?なに?違うの?」
「な、なんじゃお主…開き直りおって…まあ黒じゃが…」
「とりあえず返してよ、僕が取ったんだから!」
「いや普通に妾にも羞恥心はあるのじゃが…気が向いたら返すのじゃ。」
まあ普通に恥ずかしいよね。僕も自分のフィギュア寄越せって言われたらちょっと嫌だし。
「それより金じゃ!全然足りないのじゃ!」
僕は何か納得がいかないがルナに銀貨4枚を渡した。まあ楽しんでいるんだし良いか。
ありがとうなのじゃと嬉しそうに走っていくルナ、なんか孫とゲームセンターに来たお爺ちゃんの気分だ。
トコヨとアリアはどうかな?様子を見に行ってみよう。
「あとちょっと奥でありんす!そこ!そしてチョンで良いでありんす!そうでありんす!」
「こうかな?やったぁ!取れたよ!トコヨさんのおかげだよ!!あと銅貨三枚しか無かったから取れないかと思った!可愛いぬいぐるみ!大事にするね!」
めちゃ仲良くなってるじゃん。
そしてちゃんと渡したお金でちゃんとやりくりしてる!速攻で金をせびりに来たルナとは大違いだ。
トコヨはカメのぬいぐるみを、アリアちゃんはウサギのぬいぐるみを抱いて嬉しそうにしている。
もう少し遊びたそうなのでお小遣いを渡すと二人はお菓子のUFOキャッチャーに向かった。
旅に出るのでそんなにいっぱいのぬいぐるみは持っていけないという話だ。
なんか良いな、姉妹みたいで。
その後ルナはまた金をせびりに来て結局銀貨10枚で枕を獲得したところでお開きとなった。
お約束の肉を食べ、トコヨとアリアはマップを見ながらどこに行くか相談している。
とても楽しそうで何よりだ。
「ルナはどうすんの?」
「まあ明日には帰るのじゃ。子供もそろそろ帰って来るしの。そろそろ独り立ちじゃからな、親らしい事をしてやらんと。」
金じゃ!とか言ってたけど帰れば母親だもんな。一応。
みんなで談笑して夜は更け、ゆっくり眠るとついにアリアの出発の日になった。
「色々ありがとう!またどこかで会ったら遊んでね!」
多分また会うと思う。トコヨがいるからね。
「じゃあ行くでありんす!恋を探しに!」
今度は段階踏もうな、急に叫ぶなよ?
「妾も帰るのじゃ!また近いうちに来るのじゃ!」
僕も暇だしいつでも遊び来いよ。
二人はぬいぐるみを、ルナは枕を抱いて地下室を出て行った。
僕もユキさんのお土産のワイン買って帰るか。
ふと入り口に目をやると何か置いてある。
ルナのフィギュアじゃん、置いて行ったのか!
僕は自室に持って帰りまじまじと眺める。
ふむふむ、なるほど…こんな細かいところまで…
「気に入ったかの?そんなに見られると照れるのう」
後ろを振り返るとニヤニヤしたルナがこっちを見ていた。やられた!!
「今度は裸体でボタンを押してやっても良いぞ?それではまたなのじゃー」
普通に恥ずかしい!!純粋な男の子を弄びやがって!!でも裸でも良いならそれも貰うがな!!
とりあえずワイン買って帰るか…
しかしこれどこに飾ろうかな、いっそジオラマにしてそれっぽい感じに偽装するか…
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