第80話 麻雀対決 風呂 ノンデリドラゴン
「こ、これは興味深いゲームだね、もう一回やろう」
ゼルでも動揺するんだ、なんか親近感湧くな。
ルナとガル爺、ゼルと僕、四人で雀卓を囲み、今初めての東風戦が終わった。
ゼルが僕に振り込み、文字通りぶっ飛んで終了したのである。
「妾も分かったぞ、これは面白いのう」
「ワシもこれは好きじゃな、奥が深い」
「次は負けないよ!さぁ!勝負だ!!」
……。
「ロンじゃ!!魔王、お主警戒心が足りないのではないか?」
「ロンじゃな、まあこれは振り込んでも仕方ないのう」
「ロン、ゼルにも苦手な事あるんだね」
ゼルの放銃率は凄まじい、もう狙って出してるんじゃ無いかと思うほどだ。
狙って出して無いよね?
「まだ笑うには早いんじゃないかな!!もう一回やろう!」
笑ってるのルナだけなんだけど…カッカッカとか笑ってるよ?
その後も数回やってもゼルの調子は変わらず…
「次で最後にするから!!もう一回!!もう一回だけ頼むよ!!」
架空の借金でも背負ってるの?すごい必死じゃん。
「魔王は引き時を知らんのう、いいぞ、もう一回だけじゃよ?まあ妾はまだまだ元気じゃがの。」
そんな事言ってルナだって泣かず飛ばずじゃないか、ゼルがいなかったらビリ候補は君だよ。
「ワシも元気じゃよ、まあ風呂も入りたいし最後なら最後で良かろう。」
「そう来なくっちゃ!さあ始めよう!」
ゼルは最初はなんとなく壁があったような気がしたが、今では笑顔で牌を握って楽しそうにしている。
平和だなぁ、このままみんな平和でいたら良いのに。
オーラスに突入し、ゼルは安定の四位…しかし少しづつ上手くはなってるような気もする。
しっかり点数もあるし、最後に一回デカいの上がれば二位くらいにはなれそうかも?
「ふっふっふ、少しは学んだようじゃがここまでじゃの!ほれっ!リーチじゃ!」
これは分からん、振り込んでも事故だな、早すぎるよ。
「それだ!通らないよ!ロン!」
お?ゼルだ、良かった、最後はビリ回避か…
「大三元字一色!!ダブル役満!!気持ち良いもんだね、こんな気分初めてだよ」
「はぁ?おいなんじゃそれ!!おかしいじゃろこの局面で!」
「いやぁ気持ちいいねぇ、じゃあお風呂行こうか」
満足気に席を立ち、スタスタと歩いて行くゼル。
「おおーい!!待つのじゃ!!勝ち逃げは許さんぞ!!」
それを追いかけるルナ…
「僕は引き時を弁えてるからね!」
おっと極上の煽り返し!これは決まったぁ!!
「風呂上がりじゃ!風呂上がりに勝負じゃ!!聞いておるのか!!」
フンフンと上機嫌に歩いていくゼル、なんか親近感沸くよね。なんとなく僕っぽい気もするけど…似てるってこういう事?
「平和じゃのう…どれ、ワシらも行くかの」
「そうだね、男三人で日本酒でも飲もうよ」
楽しかった…まだまだ遊びは沢山ある。ゼルっていつ帰るのかな。
風呂入ったら聞いてみるか。
「いや風呂でお酒なんて贅沢だねぇ…そしてこの星空、綺麗だよねぇ…」
「そうじゃのう、ワシはここで酒を飲んで暮らすのも悪く無いと思っておるぞい」
「まあいつでも好きな時に来てよ、歓迎するからさ」
「そうじゃのう、妾ももう少しまめに顔を出すかのぅ…ここは最高じゃよ…」
…
ねぇなんで男風呂にルナいんの?なんか普通に寛いでるけど…タオルくらい巻けよ、僕だってマナー違反承知で隠してるんだから。
「女風呂はあっちだよ、僕が自分の羞恥心に気がつく前に出てってくれない?」
「なんじゃ、相変わらずじゃのう…あれだけの美女に囲まれとるんじゃ、流石に童貞と言うわけでもなかろう?」
「関係なくないっすか?何なんですかアナタ早く出てって下さいよ女子なんだから、大きい声出しますよ?」
「まさかとは思うのじゃが…まだ誰とも致しておらんのか?あと別に大きい声は出しても構わないんじゃが…」
「ショウはモテそうなのに女の子との経験がないんだね。僕も一緒だよ、お互い頑張ろうね。」
ゼルも!?魔王なんて毎晩別の女の子が部屋に来てイチャコラさっさとホイサッサするんじゃないの!?
「魔王もか…それは問題じゃろ…子孫作らねばならないのじゃから…本当にショウと似とるのう…ガル爺に口説き方でも教わったらどうじゃ?」
え?この枯れた爺さんに?介護の申し込みの仕方とかじゃなくて?
「なにやらひどく失礼な事を考えておらんか…?ワシは惚れやすいのでの、色々経験はあるんじゃ。舐めるでない」
いやその見た目で口説き方とか言われても反応に困るだろ…いやまあエセ爺さんなんだけど…
「へぇ!聞かせてよ!ガルドーンの恋愛の話!僕憧れちゃうなぁそういうの!」
ゼルは興味津々のようだ。本当に何にもなかったの?しかしこの反応すごくガチっぽい。
「ガルドーンはこう見えて遊び人じゃからの、爺さんの姿じゃなければもう子孫が何匹おるか分からん」
「すごいなぁ!じゃあルナティアもそういう話いっぱいあるの!?女の子の話も聞いてみたいな!」
「そ、そうじゃの、そのうち話してやるのじゃ!」
おっとこの反応…ルナって自分より強いオスとしか交尾せん!とか言ってたよな…ルナより強いオスなんてそうそういないんじゃ…
「ねぇ聞きたいんだけどさ、ルナってもしかして、その…清らかな感じなの?」
「はぁ!!そんなわけ無いじゃろ?何を言っておるんじゃ!!はぁ?意味わからん!!なんじゃ清らかな感じって気持ちの悪い言い回ししおって!」
お前あんだけ童貞とかバカにしておいて…あと立ち上がるな、せめて前隠せよ…
「ルナティアはこう見えて乙女じゃからのう…なんだかんだで最終的に手も繋がぬまま別れてしまうんじゃよ。」
なにそれウケる、僕だって手くらい繋いだ事あるもんねー。
「これガル爺!余計な事を言うでない!!」
「ルナティアも経験ないんだね、じゃあ僕達は仲間だ。お互い頑張ろうよ」
ゼル…今言うともう煽りにしか聞こえないよ…
「なんなんじゃお主ら!!良かろう!!ショウ!妾と今から!!」
いや何言い出すんだお前、こんな場所で人も見てるのに…落ち着けよ。
「そろそろ上がるかの、ルナティアもそのくらいにしておくのじゃ、流石に焦りすぎじゃ」
ガル爺…なんか余裕の対応だな。枯れたとか言ってごめんな。
「そ、そうじゃな!妾も上がるかの、ビールを飲んだらまた遊ぶぞ!」
「次は何して遊ぶの?今度も負けないよ!ショウももう上がろうよ」
「いや、僕はあと少しだけ入ったら出るよ。先に出てて良いよ。」
「そうかい?じゃあ待ってるからね!」
「おや?まさかお主…妾の裸体を見て反応してしまったのか?若いのう、それじゃあ収まったら出てくるのじゃぞ!カッカッカ」
くっそなんだコイツ!凄く悔しい!!度し難い!!
ショウよーまだかのー?もうそろそろかのーというルナの煽りを受け続け、やっと数分後に風呂を上がった。
「お?出てきたのじゃ?いや?出たのかの?」
おいノンデリドラゴン、お前後で覚えとけよ!!
ゼルは声を出して笑い、涙を拭っていた。
「こんなに笑ったのは久しぶりだよ…今日は間違いなく人生で最高の日だ!」
喜んでるなら良いけど…おいルナ、ニヤニヤしながら僕を見るんじゃない。
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