第64話 女神 トコヨの進化
「なんでこのタイミングで!?しかも七聖竜にまでへっぽことか言われてんの?なんか意味あんのかアイツ」
「サキエルじゃろ?どうしようもないヤツじゃ…本当に…」
ガル爺まで?何したのアイツ。
風呂を上がってリビングに戻るとサキエルとトコヨが元気そうに喋っていた。
「帰るでありんす!何しに来たんだこのへっぽこ神!」
「なによぉ!良いじゃない少し時間出来たからお酒飲みにくるくらい!そしてなんでここに常世がいるの!ガルドーンもいるみたいじゃない!」
本当元気そうだ…しかしトコヨがこんなに言うなんて本当に何したんだ。
「なぁガル爺、サキエルって何したの?トコヨすごい怒ってるけど」
「そうじゃのう…」
ガル爺の話はこうだ。
七聖龍、プライマル・セブンを誕生させたのは他ならぬサキエルなので母親のような存在らしい。
しかしこの女神はとりあえず七匹もいれば良いんじゃない?的な考えで作ったので最初の竜にスキルを盛り盛りで作り、どんどん適当に作った結果…
最初の竜だけ異次元の強さになり、二匹目、三匹目になるにつれマシなスキルが無くなってしまい…
「最後の七匹目が常世というわけじゃな…」
だからトコヨって七聖竜のわりに微妙なスキルなんだな…そりゃ怒るわ。
ちなみにルナティアは二匹目、ガル爺は四匹目、エルナディアは五匹目だそうだ。
もしかして一匹目に良スキル詰め込んだのか?
「お前の適当割り振りのせいで人型にもなれないでありんす!帰って一生反省でもしてるでありんす!!」
「なによぉ!良いじゃないの!可愛いし!」
「てめぇこの姿で不死身とかにされても困るでありんす!未来永劫ピンクのカメとか救いようがないでありんす!!」
てめぇとか言っちゃったしカメって認めちゃったよ…
水族館で頑なにカメって認めてなかったのに…
「サキエル、そういう事だから。出口は向こうだ。広くなったろ?お前が帰りやすいように広くしたんだ」
「ひどくない!?神様よ私!」
「帰った方が良いじゃろ、少し勉強でもしたらどうじゃ?道徳の勉強とかオススメじゃ」
良いぞ!このまま畳みかけろ!
「あ!ショウがいるじゃない!スキルポイント分けて貰って人化のスキルとなにかマシな攻撃スキル取れば良いわよ!それなら怒られないわ!」
怒られる?誰に?
「ちょっと待て、そんな事できんの?」
「特例だけどできるわよ!今やっちゃいましょう!ショウのスキルポイント2000くらい貰うわね!」
2000!?今まで貯めた分と騎士団のポイントでギリじゃねぇか!お前なんとかしろよ!
いやでもな…トコヨには世話になってるし、なんか可哀想だもんな…。
「サキエルは許せないけどトコヨにはこれからも世話になるだろうからそのくらいのポイントならあげるよ。絶対後でなんか埋め合わせしろよな。それで、どうやってスキルポイント渡せば良いの?」
「え?もうさっき貰ったわよ?私仕事は早く済ませたい方なのよ」
普通にぶん殴りたいな…拒否権がそもそも無かったって事?大砲アップデートしたら神殺しできるらしいけど?どうする?
「ショウ!ありがとうでありんす!スキルが増えたでありんす!」
良かったな、しかし女神がビール取りに行ってるぞ、一応母親だよなアイツ。
「人型になるでありんす!!」
「良かったのう、常世。ずっとなりたがってたものな。」
ピンクのカメが大きくなり、人の姿に変わっていく。
「じゃーんでありんす!」
おぉ、和装の少女か。着物なんてどこで見たんだ?
しかし黒とピンクの着物か…なんかエルナが好きそうな…髪の毛もピンクに白メッシュ?若いな…
「トコヨは少女にしたのか、老人も良いもんじゃぞ。」
「それはガル爺だけでありんす!わっちは乙女でありんす!」
「良かったですねぇ、おつまみないですか?あのサラミっていうの食べたいんですけど」
お前…子供がこんなに喜んでるのに…
「サキエルは帰るでありんす!帰れぇ!!」
「えぇ!ちゃんとスキルあげたじゃないですか!」
トコヨさんはご立腹だ。
僕達は三人でサキエルを担ぎ、外に放り出した。
やりすぎな気もしないでもないが、トコヨが怒りすぎて話にならない。
まあ帰れって事だ。
「また絶対来ますからね!」
懲りない女神だ…そして来る時はトコヨがいない時に来いよな。
こうしてトコヨは念願の人型を手に入れた。
しかし何をしたいんだ?人の姿で。
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