第56話 トランシーバー(電話) 深夜の会話
寝過ぎた…良くないよなこれ。
昨日水槽で泳いだ後酒を飲み始め、騒ぎ出したみんなとゴーカートに行ったのが不味かった。
風呂でアルコールは抜いたけどね!飲酒運転はダメ絶対。
ドリフト走行が出来てしまうとこれが面白く、ずっとカーブを攻めていたら朝方。
竜達はそろそろ帰るとそこで離脱。
勇者パーティは依頼があると仮眠を取って出かけて行った。
体力どうなってんのあの人達。
僕はコーヒーを飲んで目を冷まそうとしたが眠気が勝ち、結局起きたのは昼過ぎだった。
もうみんな居なくなったか、少し寂しいな…
とりあえずギルドに行ってなにか依頼が無かったらしばらく休みだ。
しかしこの、いちいちギルドに行って依頼を受けるシステムはどうにかならないだろうか。
いやユキさん達に会えるから良いんだけど、魔族がせめて来てるのに昼過ぎまで寝てましたテヘッというのもあり得るよね。
何か無いかとステータスを開く、ついでに丈夫な身体をアップデートしておこう、1000ポイントも使えばもうこの前みたいに腹を貫かれる事も無いんじゃないか?
1000ポイント使い二段階アップデート、もう丈夫だ、きっと大丈夫。
そして本題の何か呼び出しのような…
トランシーバー?これはどうだ?
10ポイントでアクティベートすると目の前にボタン付きの受話器が2個現れた。
電話じゃん…トランシーバーではないだろこの形状。
ボタンを押すと片方からピピピピと音が鳴り、ボタンを押すと出られるようだ。
便利だな…ギルドに一個置いてもらうか。僕一応Aランク冒険者だし!
ならば早速と準備をしてギルド受付に向かう、なんか最近ギルドの下あたりにいる事多いんだけど、地面透視使ったら大変な事になりそうだな…
いややらないけどね…
受付にいくとユキさんがいる。最近ノアちゃんばかりだった気がする、やっぱユキさんだよね受付と言えば。
「おはようございます、今日は少しお願いがあって来たんですけど。」
「ショウさん!昨日はケーキありがとうございました。とっても美味しかったです!」
結構食べたっぽいもんな。初手で7個くらいは食べた計算だし。
「また機会があったら出しますよ。それでこれなんですけど、ギルドに置いておいて貰えますか?」
僕は電話の片方を受付に置いた。
「なんですかこれ、見たこともないような形状ですけど…」
僕はこれが何か簡単に説明する。
まあボタンを押すと僕と繋がるってだけだしね。
「聞いても理解出来ないんですけど…声が大きくなる機械ですか?」
いやいやそんなアホな機械持ってきませんよ…
ちょっとやってみるので少し経ったらこのボタンを押して耳と口に当てて見てください。向きはこっちが上ですと説明。
僕は外に出て呼び出しを待つ。少しするとピピピピと呼び出し音が鳴ったので出てみる。
「聞こえますか?こんな感じです」
「わわっ!ショウさんの声が!なるほど、こんな感じの機械なんですね、画期的です。」
「僕の地下室直通なので緊急依頼とかあったらこれで知らせて下さい。」
「ショウさんといつでも喋れる…これは…」
すると少し遠くから声が聞こえる。
「何を一人で喋っているのかしら?」
「あ、マロンさんこれはですね…」
「へぇー、ショウさん、聞こえるかしら?マロンですわ」
「はいはい、聞こえますよー」
「あら、本当に聞こえるのね、ショウさん、化粧水がもう無くなりそうなのですが…」
「そうですか、じゃあ後で持っていきますね!」
もう良いだろう、僕はギルド受付に戻る。
「こんな感じです、これで緊急依頼があるのに気が付かない事は無くなる気がします。」
「確かに…しかし公表すると大変な事になりそうなのでショウさんのユニークスキルと言う事にしましょう」
「たしかに、欲しい人は山ほどいそうですね。まあ私も一つ欲しいわ。ショウさんとお話できる機械」
「そ、そんな事言ったら私だって欲しいですよ!」
僕だって欲しいが!?しかしまぁ、試験的にギルドに置いて貰おう、呼び出しが鳴り止まないなんて事あると困るもんな。
考えすぎか?
緊急な依頼は無いそうなので僕は地下に戻り久しぶりの一人を満喫…いや、少し寂しいかも。
ダラダラと地下室内を散歩し、水族館でイルカと戯れ、ソファに座ってビールを飲んでいる。
イルカが友達みたくなっちゃった…ちゃんとしたペットでも買おうかな…
そんな一人暮らしのOLのような事を考えていると電話が鳴った。
今?もう夜中だが?
電話のボタンを押し電話にでる。
「また魔族ですか!?」
「ひゃ!あ、あの、ユキです…こんばんわ。依頼では無いんですけどその…今ギルドに残って仕事してて、その、ショウさん何してるかなー?なんて」
うわ!可愛い!電話でも伝わるこの恥じらい!
「今お酒飲んでた所ですね、特にする事ないので僕。」
「そうなんですか、ショウさんは忙しいイメージありますけど…」
「一人の時は大体こんな感じですよ?人が来る時は忙しいだけですよ」
こんな何気ない会話をして夜が更けていく。
「あ!もうこんな時間、すみません遅くまで!」
「良いですよ、夜暇な事多いので電話かけてくれても。」
「本当ですか!じゃあたまに電話しちゃいます。おやすみなさい。」
「いつでもどうぞ。じゃあおやすみなさい」
電話をプツっと切る。
ああぁあ!楽しかったなぁ!!!なんか夜中にする彼女との電話ってこんな感じなんだろうなああ!
そして興奮して寝れない僕が起きたのはまた昼過ぎだった…
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