第54話 ケーキバイキング ドリフト シロ先生

デミとかいう魔族を倒し、ギルドに報告した僕達は今地下室にいる。


みんなはお風呂に行って今僕一人、みんなには心配かけちゃったからなぁ…

何か美味しいものでもご馳走したいが…何が良いか。

最近肉ばかりだし、何か疲れたので甘いものが食べたい!


毎度お馴染みのステータス画面を開き、とんでもない物を見つけた。


「ケーキバイキング?24時間10ポイント?」

食料で10ポイントはかなり高い、肉なんて0、1ポイント行くか行かないかくらいだし、野菜に関してはもう無限だ。


ギルドのみんなも休憩中に食べられるかな…これにしよう。最近ポイント使うより貯まる方が早いし…


ケーキバイキングをアクティベート、部屋の壁際にありとあらゆるケーキが並ぶ。

ショートケーキからモンブラン、チョコレートケーキ、見たことの無いようなケーキまで準備されている。ケーキだけで何種類あるの?


ゼリーにババロア、ババロア?なんかすげぇ懐かしい!

僕は謎にテンションが上がりババロアを一つ食べる、美味い!なんか急に懐かしい味!


コーヒー片手に色々食べると3個目で限界が来た。

無理だろこれ…身体が糖分を拒否している…

お皿に10個くらい乗せてギルドに差し入れしに行くか。


「色んな種類持っていくか、みんな喜ぶかな。」

まだみんなお風呂から出てくる気配無いし、先に持って行こう。


「ユキさーん、差し入れです。みんなで食べて下さい。」


「わわ、なんですかこの綺麗なケーキ!ありがとう御座います!しかし見た事の無いものがいっぱい…どれ食べようかな…」

先にキープしておく感じかな?


「ギルドの裏に入り口出してるので無くなったら好きに取りに来て下さい、今日一日無限に沸くので」


「これが…無限に…?じゃあ好きなの食べちゃって良いですね、どれにしようかな…」

じゃあ後で遊びに来て下さいねと言い残し、僕は地下室に戻る。


地下室に戻ると全員お風呂から上がってきた所だった。

「心配かけたお詫びにケーキを用意したよ!24時間は無限に湧くから好きなだけ食べてね。」


「まあ心配は別にしておらんがの、どれ、妾が初めにこの白いのを…」

ルナはすごい怒ってくれたんだろ?シロから聞いたぞ、ありがとうな。


「おおお!美味い!濃厚な甘さ!ふわふわの食感!そしてこの赤い木の実!完全食じゃ!」

いや不完全食も良いとこだよ、太って死ぬぞ最悪。


「えーじゃあウチはこの黒いの食べちゃお!うわっ!これやばいよ!まじパねぇって!」

ヤバいとパないで感情表現できるのってパないよね。


「私も心配したからね!このチョコっぽいの食べちゃう!」

ホノカも心配してくれたんだな、ありがとう。でも手づかみでケーキ食うんだな…マナー覚えような。


「本当に心配した…無茶はもうやめて欲しい」

無茶というか流れなんだが…まあ心配かけてごめんな。


「わっちも流石に心配したでありんす、どれも美味しそうでありんすな」

なんかトコヨって安心するよな。癒し系だよこのカメ。


物凄い勢いで減っていくケーキだがどんどん現れるケーキ、どうなってんだこのシステム。


そこにノアちゃんが現れた。

「ショウさん!ケーキ美味しかったっす!全然足りないっす!もっと貰うっす!」

結構あったと思うけどもう無くなったの?


「みんな甘いもの好きっすからね!人数分丁度じゃ足りないっす!」

ん?丁度?10個くらい持っていったと思うんだけど…

ユキさん何個食べたの?


せっかくならみんなに配ろうと言う事になり、ギルドの前にケーキをどんどん運んで町の人にもご馳走した。魔王軍撃退のお祝いとしてなのでたまには良いだろう。


みんな満足そうにケーキ食べてるなぁ…

しかし…ルナとエルナの食欲は底なしだな、食うより消化の方が早いんじゃないの?


「妾はこのモンブランじゃな、濃厚な甘味がたまらないのじゃ。」


「いやショートケーキっしょ!この赤い実甘酸っぱくて永遠にいけるわこれ」


シロは人よりは食べるが流石に竜には叶わない。

ホノカはこの感じで一人前しか食べないというバグりっぷり。

トコヨはゼリーを数個食べてお腹いっぱいでありんすと満足気だ。


という事でギルドへのケーキ運びが落ち着き、ルナとエルナが食べ終わったので全員でお茶をのんでまったりタイム、とはいかない。


「腹も膨れたし運動の時間じゃのう。まだやっていないコースが沢山あったのじゃ、ここは一つ勝負といこうかの」


ゴーカート?人数も増えたし楽しそうだな。

「勝負?コースって何?」

シロとホノカは知らないか、とりあえず行けば分かるさ。


「これは…なんという…」

「すごいじゃない!ここをこれで走るの!?」

そうです、コースを車で走るんです。


シロは少し戸惑っているがホノカはさっさと乗り込み練習を始めた。


「これとんでもない事になっても謎の力で怪我しないから気楽に遊べばいいよ。」


「うん、頑張る…」

ふんふんとやる気満々じゃないか。シロは新しいもの好きだしな。知識欲みたいなもの?


「今日こそ妾の独壇場じゃ!」

「負けられないよねー、クセになるよねこの運転すんの」

「わっちも負けないでありんすよ!」


僕は一回見学するか、見てる方が楽しいまであるよなこのメンツ。


スタートと同時に飛び出すトコヨ、あれか?軽いからか?緑の恐竜的な初心者用のキャラ?


続いてエルナ、ホノカ、ルナ、シロと続く。


「常世!ちょっと邪魔だよー!」

トコヨにアタックをかけるエルナだがまさかのブレーキからのバックで弾き飛ばされた。


「同じ手は食わないでありんす!」

前も華麗に避けてなかった?全く同じ光景前に見たよ?


「私が一番だよ!」

その横をぶっちぎるホノカ、アイツ常にアクセルベタ踏みか?カーブ曲がれるわけなくね?

案の定カーブを曲がれずにクラッシュ。


「なんでよぉー!」

ブレーキ教えたよね?もう忘れた感じですか?


「やはり妾が一番じゃの!さらばなのじゃー!」

安定してんなルナ、ハンドル捌きも上手い。まあ前にあんだけ練習しておけばな。


しかしシロは安全運転だな、なんかカーブではクネクネして安定しない、どうしたんだろ。


一周目が終わって一位は変わらずルナだ、結構後続を突き放してるな。

後ろでは三人がわちゃわちゃとしている。


エルナのせいか、大体アタックを仕掛けて抜こうとするからガンガンぶつかって団子状態じゃないか。


「エルナディア!やめるでありんす!ルナティアだけ先に行っちゃうでありんす!!」


「エルナさん落ち着いて!ここで争ってる場合じゃないよ!!」


「もう二位狙いでいくし!ルナには追いつけないっしょ流石に!」

確かに半周近く差がついてるな…エルナの考えもあながち間違ってないかも。


シロは…なんだ?すごいスピードで追いついてくる、特にカーブが早すぎる、どうしてあのスピードで突っ込んでクラッシュしないんだ?


「分かった、もう負けない」

団子状態の三人を抜き去り、カーブに差し掛かる。

おいおい、らしくないな、そんなスピードでは曲がれないと思うんだが…


カーブの手前、シロはハンドルを逆に切り…

ドリフト!!?ゴーカートで?可能なのそんな事!?


摩擦音を鳴らしながら車体を滑らせていく、何あれ超かっこいい。


「シロさん!なんでありんすそれ!教えて欲しいでありんす!!」


「まじやべぇじゃんあれ!超イカすじゃん!」


「シロ!なんなのよそれ!教えてよぉ!

シロはふっふっふと笑いながらどんどんルナに迫る。


先頭でもうドライブ気分のルナ。

「後ろの奴らは愚かじゃのう…勝負は貰ったようなもんじゃ」


カーブに差し掛かりハンドルを切ると急に猛スピードで横滑りする車に追い抜かれた。

「抜かせてもらう」


「なんじゃそれ!!有り得ないじゃろその動き!!」

僕もそう思う、しかし出来ているのだから理論上は可能なのだろう。


その後はシロのぶっちぎりだった。

すごいもの見たな…ゴーカートでドリフトか…


「ショウ見てた?勝ったよ」

クルマから降りて嬉しそうに駆け寄ってくるシロ。可愛いな相変わらず。


「見てた!カッコよかったぞ!流石シロだな!」

シロは満足そうにニコニコと笑っていた。


そして後続がゾロゾロとゴールしてくる。

「さっきのはなんじゃ!?シロ!教えて欲しいのじゃ!」

「ありえない速度で曲がるじゃん?しかも横滑り?最高にイカすっしょ」

「わっちにも出来るでありんすかね、教えて欲しいでありんす!」

「私にも教えなさいよー!ずるいわよかっこいいし!」

ホノカはブレーキ理解してないから無理だろ…逆にハンドル切って壁に突っ込むだけだぞ多分。


「ああやって角を曲がる魔獣がいる、その動きを真似しただけ。慣れると簡単、教えるから着いてきて」


シロ教官!僕もいいですか!!

結局ホノカ以外は完璧にマスターしたようで白熱したレースに拍車がかかった。


ホノカもたまに成功するのでそのうち感覚で覚えるだろう。頭で理解は多分一生できない。


シロの運転センスは抜群で常に上位、いつの間にか先生とか呼ばれてるけど…相手七聖竜ですよ?


結局一日中ゴーカートしてしまったな。

みんな!ケーキバイキング今日までだぞ!今のうちにいっぱい食べてね!!



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