第53話 魔王軍 ピンチ 激怒

翌朝、トコヨがそろそろ帰るでありんすと言うのでギルドに送っていった。

ルナとエルナはまだ寝ている、しばらく起きそうにないな。


ギルドに着くと何か慌ただしい…この感じってまさか…


「ショウさん!大変です!魔王軍が攻めてきます!」

やっぱり?まあ急いで向かおう、今なら竜もいるし余裕そう。


「じゃあ急ぎ王都に向かいますね、まあ勇者パーティもいるし大丈夫な気がしますけど」


「違います!この町!アルカリスに攻めてきてるんです!もう来ます!急いで準備を!」

は?この町に?へー、ぶっ殺してやるよ。


地下室に戻りルナとエルナを起こす。

「なんか魔王軍がこの町に来るんだって、少し手伝ってよ」


「はぁ?魔王軍じゃと?なんでこの町なんじゃ?王都じゃろ普通」


「今の魔王ってそんな感じのヤツだっけ?なんか良いヤツだった気がすんだけど」

ん?魔王って良いヤツなの?そういえばルナも前そんな事言ってたような…


「まあ攻めてきてるのは確からしいし、基本は冒険者でやるから危なくなったらお願いね。」


そう言って僕は準備、といっても別にする事が無いので表に出て魔王軍を待つ、迷惑な奴らだ全く。


少しするとホノカとシロが駆けつけてきた。

「ショウ!なんかこの町に魔王軍来るとか聞いて急いで来たわよ!まあショウがいれば良いと思ったんだけどシロが…」


「ショウ一人では無理な可能性もある、絶対に来るべき、あと地下室で遊ぶ」

シロさん最後本音出てますよ。


ルナとエルナはまだ来てないか、まあいてくれるだけで安心みたいなところあるし。


すると遠くから進行してくる黒い影、魔王軍ってなんでいつも律儀に正面から来んの?僕なら周り囲むけどな。


「ショウ、今回も雑魚は召喚されてる」

じゃあ消してしまっても心は傷まないな、良かった。


しかし急に来たから冒険者が集まってないな、僕と勇者パーティくらいしかいないじゃないか。

大丈夫かこれ…


そこにルナとエルナも合流、いや大丈夫だなこれ、トコヨもいるし。

「この人達七聖竜のルナとエルナね、あとトコヨも七聖竜だって」

時間が無いから雑に紹介。


「こっちは勇者のホノカと大魔道のシロね」


「雑すぎる…」

シロさん、時間ないんすよ、勘弁して下さい。


「ほう、今の勇者はお主か、今後会う事もあるかも知れんが…そっちの魔法使い、お主勇者より強くないか?」

え?そうなん?


「そうなのよ!シロがショウから貰った杖ね!すごい威力なのよ!」


「それドラゴンボーンスタッフじゃね?しかもかなり優秀なドラゴンから出来てるし、威力やばいっしょ」


「うん、ショウから貰った…大事な杖」

シロはぎゅっと杖を抱きしめる、可愛いんだよなぁ。


ほんわかしてると何かが飛んできた。

魔族か?


「おい、ここに地下室とかワケわからねぇスキル使う冒険者いるか?いたら連れてこい」

何偉そうに、みんな怒ってるよ!ほら!謝って!


「僕だけど?何?用あるなら手紙でもよこせよ」

わざわざ来んなよ鬱陶しいったら。


「なんだ?お前か?バビロンの兄貴殺したの、俺は兄貴の子分のデミっつーんだけど、お前タイマン張れよ。そしたらこの街は見逃してやるからよ」

バカじゃないの?やだよそんなの、地下室使って良いなら別だけど。


「地下室スキル使っていい?それなら良いよ」


「兄貴を一瞬で消したスキル使わせるワケねぇだろ、拒否権はねぇんだよ。今この町は包囲してるからな、拒否したら昼夜問わず全方位から攻撃してやるよ。」


うわ、ちょっと頭良いじゃん…確かに延々に攻め続けられたら消耗戦で危ないかも…しょうがない…


「分かったよ、約束守れよ!今剣持ってくるから待ってろ!」

僕はミッドナイト・ノヴァを持って外に出る。


「ショウ!大丈夫?」

まあ多分?僕防御だけは並外れてるから最悪戦ってるうちに周りの雑魚倒しちゃって。


「まあ妾達がおるからの、負けたら町は守ってやるのじゃ、男の喧嘩に口出しはせんわい」


「ショウ!頑張っちゃってー」

応援されてもなぁ…剣なんて使った事ないし。


「瞬殺してやるよ、地下室持ち」

やめて、せめて冒険者って呼んで、それだとただのちょっと裕福な人みたいじゃん。


デミは地上に降りてきて拳をポキポキ鳴らしている。

おっかねぇなぁコイツ、飛んでる時は分からなかったけど2メートルくらいあんじゃん…ムキムキだし…


「じゃあ兄貴の仇!いっくぜぇ!」

そう言ってデミは突撃して来る、避けられるワケないよね、早すぎる。

僕は拳をまともに顔に受け…


「いや…これ別に痛くないな…」

ノーダメージだ。これは勝てずとも負けない。


「はぁ?なんだよお前その硬さ!地下室ないと何も出来ないんじゃねーのかよ!」

いや硬いんです僕。


「ショウってあんなに硬いのね…」

「ショウは防御だけは規格外、安心していいかも」

勇者パーティはもう楽観視を始めた。

ルナとエルナもあくびをして見守っている。


しかし剣を振っているのだが全く当たらない…かっこ悪いなぁ。


「その剣切れ味はピカイチだが当たる気がしねぇなぁ、どんどんいくぜ!」

ボコボコに殴られてはいるのだが全く痛くない、もうやめて、服が破けちゃう。


その時僕の影がゆらりと動いた気がした。

次の瞬間、僕の腹に激痛が走った。


何が起こった?なんで剣が僕の身体を貫通しているんだ?

「「「ショウ!!」」」

みんなの声が聞こえる…やば…死ぬかも…


「引っかかったなぁ!バーカ!真面目に兄貴殺したヤツとタイマン張るわけねぇだろ!俺の子分の防御貫通の剣はどうだ!?痛いかぁ?」


クズじゃねぇかコイツ、もう許さないからな…僕は地下室を発動、同時に回収スキル発動。

一瞬で地下室に入り、腹を押さえながらなんとかヒール風呂にたどり着いた。

危ねぇ、死ぬかと思ったぁ…


「は?逃げたのか?雑魚がよぉ」

高笑いするデミ、しかし背筋の凍るような悪寒が身体中を駆け抜けた。


「おい魔族、妾の友達に騙し打ちじゃと…?正々堂々なら文句言わんが卑怯なヤツは許せんのう…消し炭になる準備は出来たか?」


「お前さ、ウチの友達に何してくれてんの?ぶっ殺されてぇの?普通にイラつくんだけど?」


「ショウを刺した?私の大事な人なのに…絶対に許さない…」


「卑怯者は許せない!叩き切るから覚悟しなさい!」


「わっちの大切な友達でありんす!魔力増幅!みんな!やっちまえでありんす!!!」


「おいなんだよ…お前らの魔力…まるで七聖竜の…」


「アホじゃのお前、妾達の魔力も測れていなかったのか?ここに七聖竜は三匹もおるんじゃぞ?」


「いや待て!!七聖竜は中立のはずだ!!どちらかに加担して良いわけが…」


「そんなの関係ないしぃ?お前らが勝手に言ってるだけじゃねそれ、不干渉なのはどっちが悪い訳でもないからだし、今のお前を許すわけねぇじゃん?」


「こんなの勝てるワケねぇだろ!!」

そう言って逃げようとするデミだったが…


一瞬光のような何かが通過した瞬間…

デミは消えて居なくなった。

そしてその直線上の大気は消し飛び、ぽっかりと空に穴が空いていた。


続いて回転する刃が現れ、残党を切り刻んでいく、逃げても追いかけ、数分後には何も居なくなったのだった。


「ショウ…無事だった…良かった…」

「あのお風呂入ったのね、流石万能ね。」


僕は地下室から出て無事を知らせる。


「全くなんなんだよアイツ!首とか狙われてたら危なかったよ!ザマァ見ろってんだ全く!!」


あれ?七聖竜のみんな黙ってどうしたの?トコヨが増幅した魔力でデミ倒したかったの横取りして怒ってる?


するとルナが口を開く。

「おいお主…なんじゃあの光の球は…あんなの妾でも即死じゃ…」


「あの刃は見た事あったけどあの球はやばいね、時空ごと削って飛んでったよ…」


「わっちでもあれ撃たれたら死ぬかもでありんす…」

え?そんなに?ただの大砲だよ?


「まあ自衛にしか使わないから安心してよ。そもそも敵を殺すの好きじゃないしね。」


「まあショウなら安心じゃの、くれぐれも妾には打つんでないぞ」

いや打たないよ!罪悪感で僕は死ぬわ!


その後ギルドに戻り報告、心配されたが僕は無事だし怪我人もいない。万々歳だ。


その後、シロとホノカ、七聖竜と地下室に入る。

なんか勇者パーティ久しぶりだな。

少し遊ぼう、精神削られたよ全く!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る