第52話 勝負 勝負 ゴーカート
「水族館かぁ、なんとも壮大じゃのう」
僕達は今水族館を四人で回っている。
「ね?やばいっしょここ」
「すごいでありんす!わっちも泳ぐでありんす!」
まず一周しようよと泳ぐ気満々のトコヨを肩に乗せて水族館を周っている。
「カメでありんす!」
カメと触れてみようコーナーか、確かにトコヨからしたら親戚みたいなもん?
「まあわっちは竜でありんすからな、カメとは違うでありんす、初めて触るでありんすなー」
なんだギャグか?自分の体触ってみ?カメだから。
「エルナヴィスよ、お主エアーホッケーというものをもうやってみたか?妾は前に人間に負けての、少し勝負してみんか?」
「は?ルナティア負けたの?バリウケるじゃん、良いよ!やろやろ!」
一周回った所でルナからの宣戦布告、どうなるんだ?ちょっと見てみたい。
トコヨは水槽で泳ぐらしい、今ペンギンの横を一緒に泳いでいる。
しかしピンクのカメってすごい違和感あんな、スイミーってこんな感じ?
そして僕たちはBARに移動、ルナはビール、エルナはカクテルをジョッキで飲みご満悦。
「マジ美味いこの酒!テンション上がらないわけないっしょ?」
「やはりビールじゃのう、原点にして頂点じゃ…」
そして始まったエアホッケー、相変わらずえげつないスピードだ。カンカンの音が重なって聞こえる気すらするよ。
「これやばくね?超楽しい」
「楽しいじゃろう、じゃが隙だらけじゃ!ホレ!」
カコーンとエルナのゴールに吸い込まれるディスク、ルナの優勢か?
「ちょ!?何今の!?」
「ずっと考えておった妾の新技じゃ」
新技?エアホッケーで!!?意味あんのそれ?!
どうやらディスクにありえないほどの回転をかけるとスピードに緩急が生まれるらしい。
エアホッケーなのに?大丈夫?理系の人に論破されない?
「ずるくない!?そんなら私だって負けないし」
エルナはディスクを壁に当て弾き飛ばし、空中でディスクを弾きルナのゴールに叩き込んだ。
いやいや、エアー関係ないよそれ!
「なっ!やるのう…それならこっちも!」
もうそこからはあり得ない光景が広がった。
下で撃ち合ってると思えばディスクが宙を舞い、空中戦が始まる、一応ディスクを落としたらペナルティでポイントを失うが、二人ともゴールをダイレクトに狙うのでゲームとしては成り立っている。
「これは愉快じゃのう!!」
「気を抜けないし!負けられないっしょ!」
なにこれ、地下闘技場みたいなルールじゃん。
最低限ルール守れば何しても良い的な。
結局ルナがなんとか勝った、何分やってた?1時間くらいやってなかった?
「くっそぉ、負けたぁー…」
「いやぁ強かったのう、熱くなってしまったのじゃ」
じゃあ飯じゃな、と言うのでとりあえず肉を用意、ありえないくらい食べるから焼肉にしよう、好きなだけ自分で焼いて食ってくれ。
しかし…ここでも戦いが勃発する。
「ルナティア!ちょっとスペース使いすぎだし!ウチの肉焼けないし!」
「わっちのイカも焼けないでありんす!ちょっとスペース考えるでありんす!」
「もうすぐ焼けるから待つのじゃ、酒でも飲んで待っておれ」
鉄板小さいなこれ!僕も焼きたいけど!?
しょうがないので鉄板焼きを二台増設、あとで撤去しよう、ポイント半分戻るらしいし。
ルナ、エルナは好き放題肉を焼き、僕とトコヨは仲良くチマチマ焼く。
「いやぁ相変わらず美味いのう!」
「めちゃウマじゃん!いくらでも食べていいの?」
そういえばエルナもデカい竜だからルナと同じくらい食うの?
しかし美味そうに食うな、ビールと肉を美味しそうに食べるルナを見てエルナもビールをこれでもかと飲んでいる。
幸せそうだなぁ、しかし今日は何トン食べるんだ?
本当に何トン食べたのか分からないほど食べ、今みんなでアイスクリームを食べている。
「こんなに食べたの久しぶりなんですけど!超食べた!良い肉!」
「妾もここの肉に目がなくてのう、ビールとの相性も最高じゃ。」
「わっちはイカでありんす!美味しいでありんす!」
しかしアイスクリームを皿に山ほどか…わんぱくな小学生の夢みたいな食い方だな。
「そういえば気になっておったのじゃが、この地下室の運転?はどういう感じなんじゃ?」
「それ気になってたし!なんかウチらからすると何かに乗せて貰うっていうのがレアだよね!」
「わっちは人間の肩に乗るの好きでありんす」
運転?確かに飛んだ方が早いよな。運転しても大して楽しくないんだよね。なんか重力無視で進むから画面だけ進んでる感じで。
うーん、なんか出すか、もうポイントも1000超えてるし。使わないと次のアップデートでまた悩む事になるからね。
ステータス画面でゴーカートを見つける、こんな子供騙しで大丈夫か?
アクティブで50ポイントか、アップデートもしちゃおう、2段階で300ポイント。水族館の感じからするとかなり大きな施設になると思うんだが。
「運転できる施設出したから行ってみようか、気にいるかは分からないけど」
「おお、運転ができるのか、気になるのじゃ!」
「ヤバ!そんな簡単に出せんの?」
「わっちも乗れるといいでありんすなぁ」
新しく出来た扉を開く。
「今回もすげぇなぁ…」
一周何キロあんのこれ?3キロくらい?
入り口の横にパネルがあり、タッチパネル式でコースを選べる。30種類もあんのか…
森の中から街の中、海中洞窟やら空の上やら。
配管工のレースゲームでも見たのかあの女神、正直グッジョブだ!
ゴーカートは8台、色が分かれており性能の差はない?ちょっと分からない。
気になるんだけどこれ怪我しない?大丈夫?
「これはこれは…どういう仕組みなんじゃ…」
「流石にビビるんですけど…規格外すぎるじゃん」
「わっちも乗るでありんす!」
ゴーカートの乗り方を説明、アクセルとブレーキしか無いしあとはハンドル操作に慣れたら大丈夫だろう。
ギアを切り替えればバックもできる。
これちょっとワクワクしちゃうな…全員少し練習した後に一番簡単なコースを走ってみる事にした。
ちなみにクラッシュしても何か不思議な力に守られて怪我はしない。
ルナから突っ込まれて吹き飛んだ僕が言うのだから間違いない。
トコヨも念力でどうにかなるらしくピンクの車に乗っている。
ルナは真っ赤な車、エルナは真っ青な車だ。
「この絶妙にコントロールが難しい感じが良いのう、負けられないのじゃ。」
「こうやって地上を走るって今まで無いかも!空とは違って色々近いからスピード感あるねこれ、やばそ」
「わっちは早く移動できて楽しいでありんす!」
僕は黒い車で勝負だ。しかしフルアクセルでどのくらい出るんだろこれ。地面が近いから思ったより早いんだよねこれ。
カウントダウンが始まり3、2、1…0になった瞬間全員がスタート!
うわこれ結構早いな!一位はトコヨか?んで二位はルナティア、そしてエルナで僕か。
負けられない!コーナーでイン狙いだ!
「常世!邪魔じゃ!道をあけんか!」
「嫌でありんすー、わっちが一番でありんすー!」
「どいて欲しいかも!えいっ!」
エルナはルナの車体にアタック、ふらついた所を抜き去る。
「なっ!やりおったの!待つのじゃ!!」
「常世もどいて欲しいっすねぇ!それっ!」
トコヨにもアタックするが当たる寸前でブレーキをかけて回避、エルナは壁に激突する。
「甘いでありんすー!バイバイでありんすー!」
「人を呪わは穴二つという事じゃな!先にいくぞい」
「ちょっと!待ちなよー!!
うわめっちゃ楽しんでる、ドラゴンでもこのスピードで楽しめるんだ…
僕は巻き込まれないように後ろを走り、前の三台が盛大にクラッシュした所を抜き去り見事に一位になった。
「コースを変えてもう一回じゃ!」
「わっちも悔しいでありんす!」
「勝つまでやるしかなくね?流石に負けっぱなしはやばいっしょ!」
次のコースは街中、他の車も走っており接触するとクラッシュしタイムロスをする。よく出来てるなぁこれ。
全員が一回勝つまで続き、最後にルナが一位になったところで一旦終了となった。
「いやぁ勝った勝った!満足じゃ」
「ルナティアは一回だけでありんす、わっちは三回勝ったでありんす」
「ウチも二回勝ったし!ぶっちぎりだったし!」
僕も楽しかった、これは一人でも楽しめそうだ。後で練習しよ。
その後夜中までサラミをツマミに飲み続け、いつの間にか全員眠ってしまったのだ。
トコヨは水族館で泳いでいたようだが…
しかし派手に遊んだ。明日はみんな帰るのか?少し寂しいな。
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