第31話 ギルド嬢の病気 お土産 お金の価値
僕は今ギルド前にいる。
「ユキさん怒ってるかな…」
確かにそもそもの原因はあのバビロンとかいうボケ魔族が王都を攻めた事だがそこから二週間も顔を出さずに楽しくダンジョン攻略してたなんて…
ウソは吐きたくないし、まず謝るか…誠心誠意謝ろう。
お詫びと言ってはなんだが途中でドワーフの町に寄って宝石が付いたネックレスを買って来た。
薄い青の宝石、金貨50枚くらいだったけど安いもんだ。
僕は扉を開き受付に向かう。
あれ?ユキさんいないけど、休み?
「ノアちゃん久しぶり、ユキさんは今日休み?」
「あ!ショウさんお久しぶりっす!また地下室でお酒飲ませて欲しいっす!」
ふとマロンさんが悪戯で撮った写真が頭をよぎる。
ノアちゃんのお尻もなかなか…
「機会があったらまた遊ぼうよ、んでユキさんは?」
「あ、先輩っすか?珍しく体調不良で休みっす、結構無理して出勤してくるタイプだから本当に体調悪いんだと思うっす…大丈夫っすかねぇ」
体調不良!?この世界の医療技術は大丈夫なのか?変なおまじないで悪霊を祓えば治るとか言わない?
ノアちゃんは紙に何かを書きだす。少ししてメモを渡された。
「これ先輩の家の地図っす。緊急依頼、先輩を治せっす。行ってらっしゃいっす」
「え?良いの?僕が行っちゃって…」
冒険者なんだから大丈夫っす!と言われても送り出された。大丈夫なの?急に行って怒られない?
地図の通りに歩いて行くとギルドの近くにある綺麗なアパートに到着した。二階の角部屋らしいので部屋の前に行き、緊張しながら扉を叩く。
部屋の中からノアさんですか?今行きますと声が聞こえる、もしかしてノアちゃんが様子を見にくる予定だったの?
扉が開きギルドのイメージとは違う髪の毛がボサボサ、僕があげたシルクのパジャマのユキさんが現れた。
本当に具合が悪そうだ…早くヒール風呂に!
「ノアさん、ありがとうございます…どうにも朝から熱が下がらなく…」
ユキさんは顔を上げて僕を見ると硬直した。
「あ、あの、ノアちゃんからユキさんを治して欲しいって依頼を受けたんですけど…」
「わわ、ショ、ショウさん!?あれ、私こんな格好で!すみませんちょっと身支度を…」
慌てて部屋に戻ろうとするユキさんはフラつき僕はそれを支える。やましい気持ちはないが柔らかい…やましい気持ちはないけど!
「す、すみません!私汗臭いですよね!ごめんなさい!」
いやいい匂いです、ありがとうございます。
「とりあえずヒール風呂に行きましょう、きっとすぐに治ると思います」
地下室は梯子なので僕は地下室に戻り回収スキルを使う。
ユキさんはクッションの上にボフンと落ちてきた。
身体を支えながら浴室まで送り、流石に風呂まで一緒と言うのは無理なので外でリゾットを作りながら待っていた。
しばらくして全快したユキさんが風呂から上がってきた。ヒール風呂本当に万能だな。
「ご心配おかけしました…無事治りました…」
元気ないな…やっぱり僕が急に行ったの嫌だったのかな。
「やっぱり急に僕が行ったの嫌でしたか?」
単刀直入に聞く、嫌われてる訳ではないと思うけど急に男が部屋に来るのは別の話だ。
「い、いえ!嬉しかったです!でもその、少し恥ずかしかったというか…なので大丈夫です!」
「なら良かった。お腹空きませんか?ご飯出来てますよ。」
「実は治ったらお腹空いちゃって、ありがとうございます!」
美味しそうにリゾットを食べるユキさん、流石にお酒は飲まないようだ。
少し落ち着いたので王都に行ってからダンジョン攻略までの事を包み隠さず話す。
「と言う事でした。帰るの遅くなってごめんなさい」
しっかり謝ろう。心配しててくれたみたいだし。
「ダンジョンの攻略まで…しかもドラゴンまで討伐したんですか…それはお疲れ様でした。別に謝ってもらわなくて大丈夫です!ショウさんは冒険者ですからね」
ユキさんは優しく笑ってくれた。
「しかしその一緒にドラゴンを倒したレイって方すごいですね、初めてのダンジョンを二週間で攻略しちゃうなんて、きっと元々何か戦闘スキルを磨いていたのでしょうね。」
「子供の頃絵本で見た勇者に憧れてたみたいですよ、メイドをしながらダンジョンの本とか読んでたみたいですし」
「は?メイド?」
ユキさんの顔色が変わった、何かした?
「レイさんって男の方じゃ無いんですか?」
確かに僕は王都を守ったあとにレイさんと言う人とダンジョン攻略したと伝えた。
単独でドラゴン攻略とか聞けば男と勘違いしても仕方ないか?え?顔怖くね?
「女性と二週間楽しくダンジョン攻略してたんですか?ふーん、楽しそうで何よりですね!!」
ユキさんはプイッとそっぽを向き怒っている。なにこの人可愛い。
「で、でも何も無いですよ?」
僕は何に対して弁明してるのだろう、冒険者だからしょうがないみたいな雰囲気だったじゃん…
「まぁそうですね…少し意地悪をしてみただけです。ショウさんは優しいので断れなかったんですよね」
そうそう、その感じです!その流れでいきましょう!
「そういえばお土産を買ってきたんですよ。」
このタイミングで渡そう、卑怯なようだが誰が僕を責められようか。
僕は淡い青の宝石が付いたネックレスを渡す。
「え!お土産ですか!これは…素敵です…。でも高かったんじゃないですか?レプリカでも結構高いんですよね、ブルーヴェイルって」
ブルーヴェイル?
「ドワーフの町で買ったので本物だと思いますよ?気に入ってくれたようで良かった」
それを聞いてユキさんの顔色が変わる。
「え?本物…?確かにレプリカにしては輝きが…あの、失礼ですがこれいくらしました…?」
「金貨50枚くらいでしたね、まあ僕お金使わないので金貨がどのくらいなもんか分からないんですけど」
「ショウさん…私の月のお給料は銀貨40枚です…これでも一応ギルドの職員なので貰っている方なんですよ…」
詳しく聞くと銅貨100枚で銀貨1枚、そして銀貨100枚で金貨1枚。
ユキさんの給料から考えると大体銀貨1枚が僕で言うところの1万円くらい?じゃあ金貨1枚は100万円?
このネックレスは金貨50枚だから…5千万?小さいのに高い!けど使わないお金だし別に痛く無い。
「まあ貰っておいて下さい、もう買っちゃったんで。きっと似合いますよ」
正直いらないとか言われても困っちゃうよね。
「こんな高価な宝石を身に付ける日が来るなんて…じゃあ貰っちゃいます。大事にしますね!」
そういってネックレスを付けるユキさん。とてもよく似合ってる。
少し緊張しますね…と言いながら鏡を見てニコニコしている。本当に気に入ったのだろう。
しかしユキさん全快したし…デート行けるのでは…
「ユキさん、デート行きましょうか!」
今からですか?と驚いたユキさんだったが少し考えた後。
「良いですね!行きましょう!なんかズル休みみたいになっちゃいますけど…次休めるのいつか分からないですしね!」
かなりかかったが僕達はやっとピクニックに出かける事ができる!デートですよ!
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