第26話 王族 パスタ パフェ

よし、準備は万全だな。

朝方にみんなが出発し、僕はそれから王族を迎える準備をしていた。

まあ王女はまだ子供だし、一緒に来るレイさんはメイドだ。

そこまで気を使わなくて良いような気もするけど…


王城の前まで地下室で移動し、門を叩く。

「ショウさん!お待ちしておりました!!」

「ショウ様、本日は宜しくお願い致します」

「君がショウ君ね、今日は楽しませて頂きますわ」


なんか一人多くない?

すごい綺麗な人だけど…誰?


「今回の地下室の件を奥様に知られてしまいまして…申し訳ないのですが一人追加と言う事で…」

レイさん?今奥様って言った?王様のお妃って事?


「グアムの妻のココと申します。本日は宜しくお願いいたします。」

モロ王族じゃん…まあ今から駄目ですなんて言えないよね。いい人そうだし良いか別に。


「冒険者のショウです、えーと…」


「ココで良いですわ、ショウさんはこの国を守って下さった英雄ですもの。」

物腰やわらかな人だなぁ…なんかちょっと緊張するけど。あのお爺ちゃんの妻だよな…爺さんすげぇな。


「じゃあココさん、レイさん、ハンナちゃん、行こうか、怪我しないようについてきてね。」


三人は宜しくお願いしますと付いてくる。

そのドレスじゃ梯子きつくない?


かなりギリギリだったが梯子を降り。地下室に到着した。


「うわぁ!すごいです!これが地下ですか!」

「これはなんと…まるで異世界ですね…」

「予想以上だわ…長生きはするものね」

ん?ココさん何歳?

久しぶりの施設案内、風呂、トイレ、ドリンクバー、BARを案内。


「すごいです!メロンソーダ!美味しすぎます!」

「このビールという飲み物…これは…美味ですね…」

「早くお風呂に入ってみたいですわ」


ドレスのままでは動きにくそうなのでやはりシルクのパジャマを準備して正解だった。

ココさんの分も追加で準備、三人は楽しそうにお風呂に入って行った。


さて…今日の昼はパスタにする。色々考えたがミートソースにする。ハンナちゃんが好きそうだし。


長いな…もう1時間は余裕で過ぎてる…

しかし四人か…麻雀できるな…


ふとそんな事を思った、BARはビリヤードのみしか置いていないのでかなりスペースが空いている。

やるか分からないが設置しよう、10ポイントだし何が好きか分からないがレイさんは絶対好きだ。


アクティベートして確認、全自動麻雀卓…これ一昔前まで軽自動車くらいの値段してたよな…それが今僕の手の中に…。


しばらく動作確認をしていると三人が上がってきた。


「露天風呂!最高だね!お母さん!城にも作りましょう!」


「それはダメですわ、誰が見てるかも分からないですもの、それにしてもこの髪…どんな魔法なのかしら…あとこのパジャマっていったかしら、肌触りが最高ですわ」


「かなりの時間お湯に浸かっていたので喉が乾きましたね、ビールを頂きます。」

レイさんはサラサラの髪をなびかせてビールを取りに行った。ここで二人の分も持ってこないあたり関係性は良いのか?もう家族みたいなもん?


「ずるいですわ!私もそれ飲みます!」

「私はメロンソーダを頂きますー!」

みんなのパジャマ姿、違和感しか無いが悪く無い。


「お昼はパスタにしました。ハンナちゃんも食べられるように辛く無いのを」


「ぱすた?初めて聞きますね」

レイさんはメイドらしく料理には興味があるらしい。

もう茹でて盛り付けるだけなので見てみます?と言うと是非見たいと言う事なので一緒に料理をする。

親子にはオセロをして時間を潰してもらった。


と言っても7分で出来ちゃうけどね!

ミートソースをかけてテーブルに並べる。全員が席に座り未知の食べ物に興味津々だ。


「フォークで巻いて食べるんですよ、こうやって」

みんな僕の真似をしてクルクルとパスタを巻く、なんか微笑ましい。


「美味しいです!こんなのお城でも食べた事ない!」


「驚愕です…あんな短時間で…こんな料理が…」

いやいや、ミートソースは結構手間かかってるよ。


「美味しいわね…是非今度レイにも作って貰おうかしら。」

パスタあげるんで是非どうぞ。

一人前をペロリと平らげる三人少し物足りなそうだ。


「あの…もう少し食べたいなぁ…なんて」

ハンナちゃんは少し恥ずかしそうに僕を見る。

実はデザートがあるんだよ、出来合いのね!ポイントで交換したんだよね!


僕はちょっと待ってと冷蔵庫に行きデザートを出す。

チョコバナナパフェ、これ嫌いな女の子いないでしょう。


「な、なんですかそれ…お菓子ですか?」

「綺麗な見た目だけど…どんな味がするのかしら…」

「興味深いです…」

まあ食べてみて欲しい、僕は我慢できなくて準備段階で食べちゃったから。


「これ…甘くて冷たくて…幸せの味がします…」

「んー♪これは極上のデザートだわ!とろける甘いフワフワしたソースと冷たい氷のようなまろやかな…何かしらこれ…美味しすぎますわ」

「はぁ、幸せです…」


喜んでくれているようだ。ハンナちゃんみたいな子供でも、王の妃でも、メイドだってこれには敵わないよね。


みんな満腹になったようなのでBARに移動、ココさんとレイさんはカクテルにご執心だ。

これはなかなか、こっちもこっちで…などと言いながら次々にカクテルを飲み干していく、最終的にレイさんはピーチウーロン、ココさんはホワイトレディのカクテルが一番だという事になった。


僕はハンナちゃんとオセロ中、まだまだ負けられない。ギリギリだが毎回勝っている。


しかしハンナちゃんは負けても楽しそうに笑い、もう一回もう一回とねだってくるんだよね、可愛い妹みたいでいくらでも付き合ってあげたくなっちゃう。


「あの台はなんですか?」

酔いが回ったレイさんは麻雀卓に気づく、お?興味ある?


あれはゲームの台ですよ、みんなでやってみますか?

「ゲームなら得意なんだから!負けたら脱いでも良いわよ!脱いだらすごいんだから!」


「奥様、酔っ払いすぎです、ショウさんは私の脱ぐところが見たいと言っております。私の方がショウさん好みかと」

だめだ、ハンナちゃん、ちょっとヒール風呂に連れて行ってくれない?


「もう二人共!ショウさんの前で何やってるんですか!お風呂に行ってお酒抜いてください!」

ハンナちゃんに連れて行かれる大人二人、まあ別に僕は脱いでもらっても良かったけどね。

なんかギロチン台とか送られそうだけど。


「すみません…飲みすぎました…」

レイさん…ビール片手に言う言葉じゃないです…


「美味しいお酒ばかりで飲みすぎてしまったわ」

ココさん、カクテルをジョッキにつぐのやめてもらえますか?風情のカケラもない。


「ねぇ早くゲームをしましょう!四人でできるらしいですよ!」


ルールは複雑だが流石に王族、教育が行き届いているのかすぐにルールを把握。役は流石に覚えきらないのでボードに書いてみんな見えるようにした。


そして伝説の夜の幕が開ける…

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