第7話 別れ 受付嬢の意外な顔

聖剣を直した僕達。

たらふくたこ焼きを食べて満足したので透視を使って地上の様子を確認してみる。


「地上の様子も見れるの!?」

ホノカは驚くがシロはもう慣れたものだ。


しかし…上を見上げると地面が透けているので下から覗き込む形になる…色々見えるんだよな…

まあしょうがないよね、安全の為だもん。


「うわぁ…みんな心配して降りて来てるじゃん…どうすんだよあの大穴…」

訓練場に地面には大きなクレーターが空き、みんな心配そうに瓦礫の下などを捜索していた。


モニターにはブレイズのメンバー、受付のユキさん、他の冒険者達も探してくれてるのか…申し訳ない…


「とりあえず地上に上がろう、これ以上心配かけられないよ」

僕は梯子に手をかけ登って行く。


「ねぇショウ?これって女の子のスカートの中見えちゃうわよね?訓練場で私と戦ってた時も見てたの?」


ホノカ…そこ突っ込むなよ…不可抗力だろ…

「しょうがないの!そういう仕様な!安全性の為なの!」

僕は言い訳にしか聞こえない言い訳をしながら梯子を登った。

シロが後ろから背徳的な施設…とボソっと言った気がしたが気のせいだと思う。


地上に出るとみんな心配そうに駆け寄ってくる。

「ショウさん!良かった!無事で!」


「まあショウさんなら無事だと思ってましたけど心配しました!」

心配かけて申し訳ない…


僕に続いてホノカも上がって来る、続いてシロだ。

ホノカを見て全員硬直する、本当にお前何したの?


「みんな!!ごめんなさい!!」

ホノカは深々と頭を下げて謝った。

「私…調子に乗ってみんなに偉そうにしちゃった…ごめんなさい!!」


急にしおらしくなった剣聖に全員困惑気味だ。

エセ関西弁もやめたのか、死ぬほど似合ってなかったからな。


「ねぇもしかしてさ…ショウさん勝ったの?剣聖に」

アカネちゃんが静寂を破って口を開く。


「いや勝ったというか…聖剣折っちゃって…」


「聖剣を!?それは大変です!すぐに王に報告を!!」

ギルド受付のユキさんだ。いや安心して欲しい、120分で治りました。


「聖剣は無事修復された、ショウのユニークスキルは正直言って異常、万能すぎる。」

シロって的確に物事喋るから分かりやすいよね。


それから数分の間で説明を終わらせ、シロの魔法で訓練場は修復された。


「分かりました。それでは皆さん、喧嘩はほどほどにして下さいね。」

そう言ってユキさんは仕事に戻って行った。

あの清楚な感じなのに下着はなかなか攻めた感じなんだよな…


「ところでショウ、なんかお風呂に入ってすごく調子いいからもう出発したいんだけど?」

ホノカ、なんで僕が行く前提なの?別に1人でもいいでしょ?


「え…ショウさんは勇者さんのパーティーに入るの…そっか…」

アカネはとても残念そうにしている、他のブレイズのメンバーも一緒だ。


「いやいや!入らないよ?一緒にどこか行く可能性もあるけど僕はしばらくフリーだよ!」

幸せポイントの件があるからな、やはり異次元の快適さだが慣れてくるとポイントの増え方が目に見えて落ちる。


そしてパーティーに入ると自由が効かなくなるし…みんなと一緒も楽しいけれど僕は色々な人と出会ったり冒険したいんだ。

そもそも目的無いし…


「そうですか、ではまたどこかで出会ったら一緒に冒険をしましょうね。しゃんぷーとりんす、大事にしますわ。」

シンシアさん…髪の毛のツヤが増して美しさに磨きがかかりましたね…


「ワシらは次の町で仕事があるからのぉ…ビールは恋しいがまた出会った時の楽しみにしておきますぞ。」

シルバ爺さん…なんか背伸びました?腰治ったから?


「また出会ったらぜひカレーを!宜しくお願いしますね!」

カムイさん…残りのカレーあげますね…


「あの、ショウさん…えっと!また会ったら今度は一緒に買い物とかしようよ!遊びに行ってもいいし…」

アカネちゃんの顔は少し赤い、イケメンだから?僕内面もいいヤツだよ!


ブレイズのメンバーはAランクパーティーだ、色々な町で依頼が殺到しているのだろう。

最初に出会ったのがこの人達で良かった。


「それでは、また会いましょう!地下室もアップデートしておきますね!」


「それは楽しみですね!」


そしてブレイズのメンバーと手を振って別れた。

また会えると良いな…


みんなが訓練場を出るまで見送り、ホノカの方に向き直る。

「あ、終わった?じゃあ行きましょう。」

「買い物してから。」

ホノカとシロは行く気満々だ。


「ねぇ、僕魔物討伐行くなんて言ったっけ?」

僕は腹を殴られてこの訓練場に連れて来られた記憶しかないが?


「いいじゃん、一緒に行こうよ!」


「一体何倒しにいくの?勇者だよね、一応」


「アースドラゴンよ!すごい大きいの!」

え?ドラゴン倒すの…


「行こう!ドラゴン見たい!」

異世界でドラゴン?ロマンじゃないか!是非見たい!


「決まり、じゃあ一時間後にギルド前で」

シロはそうボソっと言うと買い物に出掛けた。


「ちょっとシロー待ってよー!」

なんか失礼な話だけど飼い犬に置いてかれてる主人みたいだな、名前の響きだけ聞くと。


そうだ、僕はカイザルウルフの牙を見せて報奨金を貰わないといけないんだった。

あの剣聖様のせいで忘れていた。


カウンターまで上り、受付のユキさんに牙を見せると報奨金として金貨300枚も貰った!

価値が分からないけどまあまあお金持ちになった気がする。


カウンターを離れようとするとユキさんに呼び止められ…


「あの、ショウさん。ブレイズのシンシアさんの髪、綺麗でしたよね。なんでもしゃんぷーとりんすがどうとか…」

ああ、欲しいんですね、女の子ですもんね。


「良かったら差し上げますよ、何か容器あったりしますか?」

今準備します!と奥に走っていき、綺麗な小瓶を2本準備してきたようだ。これ花瓶じゃないの?


僕は一旦地下室に入り、シャンプーとリンス、オマケにチョコレートも持ってきた。


「これ、シャンプーとリンスです。シャンプーで汚れを落としてリンスで仕上げをして下さい。

あと疲れが取れるお菓子もどうぞ、お疲れのようなので」


「これがあの髪の秘密ですか…ありがとうございます。お菓子も良いんですか?綺麗なお菓子ですね。」


ユキさんはチョコレートを一口食べて沈黙。

そして口を開く。

「あの…このお菓子どこで売ってるんですか…?大変高級な物だとは分かってます!でもこれの為なら借金してでも!」

チョコの為に!?ここの人達すぐ借金したがるじゃん!


「これは僕のユニークスキルで作ったものなので…また今度持ってきますよ。」

少し残念そうだがユキさんはもう一口チョコを食べて笑顔になった。


なんか可愛い一面見ちゃったな。


もうそろそろ待ち合わせの時間か、さていくか。


ドラゴン退治!!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る