第2話 冒険者、回復風呂、メロンソーダ

「あ、あの、いらっしゃいませ…」


「誰だ!!?ん?人間か?どこだここは…」

リーダーだろうか、装備から推測するに重戦士、他の三人はお爺さんの魔法使いか?あとは綺麗な女性の僧侶、怪我をしているのは女の子のシーフかな…


「あの!ここは僕のユニークスキルで出来た地下室で安全です!まずその重症の彼女をベッドに!!」

人命確保が最優先、説明はその後だ!


ステータスに医療系があったはず…これだ!ヒール風呂!え?風呂?迷ってられない!アクティブ!


風呂場に浴槽がもう一つ出現した。


「準備が出来たので怪我人を緑色のお湯の浴槽に入れて下さい!早く!!」


全員が状況を飲み込めずに混乱していたが重戦士の男が突如叫ぶ。

「このままじゃ助からん!この男を信じるぞ!異論はないな!」


二人はハッと我に返り了解の掛け声と共にシーフをヒール風呂に運び…


「大丈夫なのでしょうか…すごい色してますけど…」

僧侶が心配を口にする。


「大丈夫です!信じて下さい!!」

僕は大声で背中を押す。


「信じるって言っただろ!入れるぞ!」

重戦士はシーフをヒール風呂に入れると…傷口は見る見る塞がり、抉れた脇腹も綺麗に回復した。


「ん?なにこれぇ…きんもちいいー」

シーフは目を覚まし、風呂を満喫していた。

良かった…助かった…スキルポイントは40ポイントまで減っていたが良いだろう、僕は人を助けたんだ。


四人は落ち着きを取り戻し、僕が2ポイントでアクティブ化したソファに座っている。


「助けて貰って礼を言う、俺達はブレイズという冒険者パーティーを組んでいる。

俺は重戦士のカムイ、こっちが魔法使いのシルバ爺さん、僧侶のシンシア、そして助けてもらったシーフのアカネだ。」

冒険者か…かっこいいなぁ…


「僕は翔って言います、山奥に祖父と住んでいたんですけど祖父が亡くなってから一人で旅をしているんです」

世間知らず設定は大事だ、なんせ何も分からないんだから。


「ショウさんか、しかしユニークスキルの中でもかなりレアなスキルじゃないか?この地下室?ってスキルは」

カムイさんは見たこともない家電に興味津々だ。


「私も初めて聞きました…見たこともない鉄の塊がいっぱい…」

「すごいよね!さっきの風呂もめっちゃ気持ちよかったんだぜ!」

シンシアさんはおっとり、アカネは見た目通り快活な子っぽいな。


「すごいのう…ショウさんや、申し訳ないのですが水を貰えんかのう…喉が乾いてしまってのう…」


「これは!気がつかなくてすみません!炭酸の方がいいですか?苦手ならオレンジジュースとか!スポーツドリンクもありますけど!」

ドリンクバーにあるものは全てある、なぜか補充の必要がないのも有難い。


「たんさん?すぽーつどりんく?分からん飲み物じゃがその炭酸っていうのを貰おうかの」

シルバさん炭酸飲んだ事ないのか、まあ死ぬ事はないでしょ。


僕はメロンソーダを四人分持ってそれぞれの前に置いた。

「あの…疑うワケじゃないんですけど…大丈夫なんですかこの飲み物…なんか泡出てますけど…」


僕は大丈夫ですよと自分の分も持ってきて飲んでみる、この味、たまに飲むと美味しいよね。

それを見て恐る恐る口を付けるメンバー。


「なんだこれは!!美味すぎる!魔法か?口の中で弾けるぞ!!」


「これは…甘くて美味しいですねぇ…乾いた喉に染み渡ります…」


「美味しいぃいい!ねぇ!おかわりある!?」


「ほほぉ、これは面白い飲み物ですなぁ…長生きはするもんじゃ」


評判は上場だ。メロンソーダは正義だからね。

このボタンを押すと無限に湧きますとドリンクバーの使い方を教えると全員が次々と色んなドリンクを飲んで満足そうにしている。


全員飲み過ぎじゃないか?

ん?なんか頭の中で音がしたような…


ステータスを開くと赤く点滅しているボタンがある。押してみると幸せボーナスという画面が出てきた。


変な宗教みたいだなこれ…

【幸せポイントが一定に達しました。スキルポイントを50ポイント付与します。】


なんだこれ、詳細を見てみると地下室の中の人が幸せを感じた分だけポイントが溜まり、一定までたまるとスキルポイントが貰えるみたいだ。


結構スキルポイント使っちゃったからなぁ、助かる。

ポイントは90ポイントまで回復した。


「皆さんお疲れでしょう、お風呂とベッドを用意するのでゆっくり休んでいって下さい」

僕はステータス画面でベッドルームを二つ、バスルームを二つに増やした。


風呂はアップデートという項目があり、既存の物がある場合はポイントを消費してグレートアップが出来るみたいだ。


風呂は男用と女用を準備、最大10人は入れるヒール風呂の完成だ。


幸せポイントで還元して貰えば元は取れるしね。


「いや、そこまでして貰うのは…」

流石に怪しいか?初対面の人にここまでするのは。

じゃあ依頼の報酬として受け取って貰おう。


「では僕を近くの町まで案内して下さい。護衛料を持っていないのでその代わりに休んで貰って」


「リーダー、いいじゃないか!ここの風呂超気持ちいいし風呂上がりにまたメロンソーダ飲めるんだぞ!?」

アカネちゃん、良いと思う、ガンガン行こうぜ!


「そ、そうだな…じゃあお言葉に甘えて…」

カムイさん、メロンソーダ好きなんすね…


じゃあ風呂の使い方を説明しますと浴室にみんなで移動、シャンプーとリンス、ボディーソープの用途説明をし、ついでにトイレの使い方も教えた。


トイレの高性能さには全員驚いていたな、日本のトイレってすごいんだよね。


みんなが風呂入っている間に夕食を考える、冒険者っていっぱい食べると思うんだよね。偏見だけど絶対合ってる。


食材は…野菜は一回ポイント消費したら自動補充?コスパが暴走してるな…

肉は普通にポイントで毎回買うのか、でも0、1ポイントでどっさりって感じだな。


よし!みんなが風呂から上がるまでにカレーを作ろう!僕のソウルフードだ!

ついでにビールサーバーも設置!設置ったら設置だ!


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