豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
第1話 異世界の地下室生活
「完成間近ですか…長かったなぁ…」
僕の名前は翔、家が貧乏だったので狭いアパート暮らしだった幼少期、将来は絶対に大きな家に住むと決意し今まで血の滲むような努力をしてきた。
良い高校、良い大学、良い会社に入り、仕事をしながら株も勉強。投資も行い25歳にしてマイホームを建てられるほどの男になった。
「しかし兄さん、奥さんもいないのにこんなでっけぇ家建ててどうするんだい?」
この家を建ててくれた大工の頭領はもっともな質問をしてきた。
「良いんです、家族は後でも、僕は広い家に住んでみたかった。それが夢だったんですよ。しかも地下室付き!ロマンじゃないですか!」
僕はマイホームの完成を間近に少し浮き足立っていた、それは認めるよ。
「おい兄さん!まだ重機が入ってるんだ!近づいたら危ねぇって!おい!上!避けろぉお!」
「え?」
ゴンッ…
僕はマイホームの完成を目前に降ってきたコンクリート片が頭に直撃、命を落とした…
(これはひどいよ…神様がいたら文句の一つでも…)
ん?
目を覚ますと目が眩むような白い部屋にいた。
あれ?死んでないのか?
「すいませーん!ここどこの病院ですかー?」
すると一人の看護婦がこっちに気がついた。看護婦にしてはチャラチャラしてるんだけど…高級な病院ってなんか変なサービスでもあんの?
「あ!起きましたか!おはようございます!早速説明に入りますね、座って下さい!」
金髪の女性は椅子に座るように促し、僕の後ろにはいつの間にか椅子が準備されていた。
僕はとりあえず椅子に座って話を聞く。
「それでは説明いたします!まず翔さんは命を落としました、ここは異世界です!私がちょっと大事な書類に飲み物を溢してしまったのが原因です。
まずごめんなさい!」
は?なんの話ですか?とりあえず許すかどうかは展開次第と言う事で。
「そしてお詫びに異世界に転生させます!何か好きな能力もあげます!容姿も若くします!もう許してくれますよね?」
一通り話は聞いた、普通なら許す訳ないと思うんだけど…飲み物如きで僕の努力の結晶のマイホームの夢壊されたんですけど…
「あの、許したくは無いんですけどもう生き返れないとした前提で話します。
その異世界はどういう場所ですか?能力って何をくれるんですか?」
少し信用できないなこの人。
「あ…許してくれないんですか…?異世界は魔法とかドラゴンとかいますよ!?好きでしょ?男の子だし!能力はなんでも言ってみて下さい!出来ない事は出来ないって言うのが私です!」
許される前提で喋ってたね?
とりあえず要望を言えるだけ言っとくか。
「じゃあ安全な地下室を作りたいです、本当はマイホームですけど、なんか聞けば外危なそうだし。
あとは言語とかもちゃんと分かるように、それと簡単に死なない身体も」
「それくらいなら簡単です!じゃあ良い人生を!顔も良い感じにアレしとくんで!私好みにしとくんでぇー」
話の途中で光に包まれて急に飛ばされた…こういう感じで飲み物溢したんだろアイツ…
眩しい光が消えて辺りを見渡すと大きな草原が広がっていた。
気持ちいいな…金ばっか集めてて自然に触れる機会なんてなかったもんな。
ポケットに違和感を覚えて手を突っ込むと小さな手帳が入っていた。
中を見ると丸文字で【異世界の歩き方】と書いてある。
ページを開くと『スキルの使い方』という項目があり、ステータスでスキルを確認し、詳細を確認しろと書いてある。
「ステータス…」
ボソっと呟くと目の前に僕のステータスが現れた。
えーと…
種族:人間
レベル:1
未使用スキルポイント:100
スキル:地下室作成、状態異常無効、丈夫な身体、言語マスター
どうなの?そこそこ強い感じ?スキルの地下室作成に触れると詳細が現れた。
『地下室作成』
ユニークスキル
スキルポイントを振り分ける事によって配置できる家具が増えます。
異空間なのでどこでも配置、回収が可能です。
ここに配置と念じれば扉が出現します。
【スキルポイントを割り振りますか?】
ん?振り分けないと使えないんでしょ?YESだ。
うわ…なんだこの数!
生活用品から食料、家具、衣類から…温泉?プール?何コレすごい。異世界に持ってきて良い感じの物じゃない!
まずは…地中移動?移動できるのか?なんでもありだな。安全性を考えてコレは取っとこう。10ポイントか、案外安いな。
まず地下室を出してみよう、ワクワクするな。
ここに地下室を!初めてだし声に出してみる。
すると地面に丸い扉が出現した。
縦穴か、扉を開けて真っ暗の中梯子を降りると…
「暗い!何も見えない!」
僕はステータスを開き設備欄からライトを選択、1ポイントを使ってアクティブ化した。
ライトが設置されて部屋を照らす。
「おぉ…地下室だな…何も無い…」
とりあえず設備面を整えよう。
水道、トイレ、風呂、ベッド、冷蔵庫…ドリンクバー?これも良いな。全部で12ポイントか…まあしょうがない。
アクティブ化すると見慣れた家電や家具が現れた。
もう生活できるな…
あ、地中移動もいるね。これはロマンだ。異世界に来て良かったと思わせてくれ!
10ポイントを使ってアクティブ化、部屋の真ん中にハンドルとレバーが現れ、恐る恐る前進にレバーを引くとゆっくりと進み始めた。
いやこれ何も見えないよ?
ステータスを開き確認すると地面透視という項目を見つけ、アクティブ化、10ポイントだが無いと思う始まらない。
すると操縦席に透視のボタンが現れ、押して見ると…
「うわぁ、これはロマンじゃないか」
草花や地面を透視し、天井からは日の光が差し込む、操縦席の画面には四方向の映像が映し出された。
しばらく地中ドライブを楽しみ、ドリンクバーで喉を潤す。
「異世界も良いかもしれない…なんか前の世界より充実してるかも…」
すると前方に巨大な狼に襲われている男女のグループを見つけた。
剣や魔法で戦っているが効いてる様子がない!
僕はステータス画面で何か無いかと探し、回収という項目を発見した。
回収:スキルポイント5、地上の物や人を地下室に収容します※悪意がある者の回収はできません。
これだ!アクティブ化し男女の下に潜り込み回収ボタンを押す。
突如クッションが現れて男女四人が天井から降ってきた。
「なんだここは!?罠か!?くっそ、怪我人もいるのに!?」
「あ、あの…い、いらっしゃいませ?」
僕は小さな声で初めての客を招き入れた。
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