第18話「事件2」

第十八話「事件2」


 何だ、あれ……。


 そこにあったのは、奇怪な触手のモンスターだった。


「ボス部屋に別のモンスター? どういうことだ? 今までそんなことなかったくないか?」

「晴彦。それから、レンダ。とにかく、一旦アルムニウムに戻れ! 俺がタゲを取る」

「いや、ここは倒しちまおう」


 そう、レンダが言った瞬間、触手が伸びてきた。

 まずい! このままじゃ!!


「うああ!!」


 晴彦が連れ去られた。

 俺たちはその触手を追う。


「ちくしょう! ボス部屋から出ていきやがった!!」


 後を追うものの、もう、そこには何も残っていなかった。


「晴彦……。ちくしょう!!」


 近くの壁を蹴る。鈍い音が響いただけで、特に、何も起こらなかった。


「ボスの部屋には、ボスしかいないはずだ」

「ということは、ドラゴンがボスだったということだよな」

「ああ。あれは、モンスターじゃないのかもしれない」

「え? どういうことだ?」

「俺たちは一度も、ボス部屋で他のモンスターを見たことがない。つまり、ボス部屋にはボスしかいない。ということは、あれはモンスターではない」


 確かに、レンダの言うことには、一理ある。

 すごくわかる。しかし、そんな見た目じゃなかった……。


「明らかにモンスターだろ。あれを人間だって言うのか?」


 そこまで言ったところで、俺たちは思った。

 モンスター=人間のことを。


「モンスターは人間じゃないって結論じゃなかったか?」

「そりゃあ、そうだが――。でも、考えられる可能性は、あの触手が人間だったということだけだ」

「ボス部屋に出入りできるのは、確かに人間だけだ」

「そうだろ?」


 しかし……。

 そんなこと、ありえるのか? あれが人間だって?

 ついこの間、ドラゴンの肉を食べちまったぞ?

 もし、あれが人間だったら。


「うおおえええ」


 その場で吐き気を抑えきれず、吐いてしまった。


「はあ、はあ、はあ……。まあ、さすがに、あのドラゴンは違うよな」

「そうだな。人間がモンスターになったというケースだと思う」

「つまり?」

「モンスターが人間になることは不可能だが、人間がモンスターになることは可能かもしれないと言ってるんだ」

「なるほど。あの人型モンスターも、人間からモンスターなら、ぴったり符合する」

「うん。そのほうが、順当な考え方だ」


 俺たちは一度、アルムニウムの街の、宿屋に戻った。


「どうかしたんですか?」


 美優が尋ねてきた。


「いや、何でもない。次の街へ――明日、行こう」


あとがき


どうも。またもや、モンスター=人間の話が浮上しましたね。


しかし、人間からモンスターってどういうことなんでしょう?


次の街には、何かありそうですね。


ではまた明日!!

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