第15話「アルムニウム」

第十五話「アルムニウム」


 その街は、すごく現代的な街だった。

 何か、車のようなものが頻繁に通っていた。


「すごい。車が飛んでる!!」

「車って何ですか?」

「そっか。フーコちゃんは車を知らないよね」

「車ってのは、ああいうタイヤの付いた乗り物だよ」

「牛車とは違うんです?」

「あ……えっと……。エンジンがついてて、ガソリンで動くんだ」

「エンジン……ガソリン……」

「そんな難しい言葉を使わないでください。フーコちゃんが困ってるじゃないですか」

「まあ、動くやつかな!!」

「動くやつ……」


 まあ、いいか。


 それから、新たな宿屋に、拠点を移動させた。


「我は、肉が食いたい!!」

「肉しか食わねえのか!」

「冒険者の肉を食うことが夢だ!」


 とんでもねえ、夢だ。


 こいつが本当にボスかどうかはわからない。

 自称ボスなのだ。


 ボスだとして、なぜボスが人間になったかは、わからない。

 あの第三百層のラスボスが関与しているかもしれない。そうじゃないかもしれない。

 そして、あれがはたして、アレックスなのかどうかさえ、わからない。

 何にも、わからない。


 はあ……。


 まあ、いっか。


 考えていても、仕方がない。とにかく、攻略を進めるしか、ないのだ。


「じゃあ、俺は次のボスを見てくる」

「え? 肉パーティーじゃないんですか?」

「肉パーティーとは何だ?」

「あの子がずっと言ってましたよ」

「そうか……まあ、お前たちで楽しんでてくれ。俺はボスを見てくる」


 確かめたいことがある。


 それは、ずっと考えていたことだ。


 ボス部屋に入り、そっと扉を閉じる。


「おい! 俺は人間だ! 冒険者だ!! 貴様は、モンスターか、それとも人か!!」


 シーン。何も起こらない。

 だめか……。そう思ったその時!


「グギギギ……」


 大きな口を持った、ドラゴンのようなモンスターがこちらを見据えていた。


「お前は人か、それとも、モンスターか」

「グガアアア!!」


 だめだ。何にも通じない。

 だが、彼がボスなのに、人間になれた。

 あの人間型モンスターは、人間の姿でしか、ボス部屋を出れないと言っていた。


 つまり、こいつを外に出せば、人間になるのか。

 それがはっきりさせたいところだった。


 それが嘘ならば、俺たちはただ騙され、人間=モンスターととらえていただけだ。


 思いっきり走り、扉を開ける。


「来い!!」


 答えは、はっきりとした。


 モンスターは人には、到底ならなかった。


あとがき


どうも。

いやあ、すごい展開になってきましたね。


モンスターは人間なのか問題。

ひとつ明らかになったのは、あの人型モンスターは、嘘をついていたということです。


モンスターは全部が全部人間になれるわけではない。


それが明らかとなりました。

しかし――。


まだまだその問題は続きそうです。


では!!

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