第10話「第二百九十七層の街2」

第十話「第二百九十七層の街2」


 ガキン。剣が折れた。

 その瞬間、終わった――と思った。


「や、べえ!!」


 思いっきり、走り出した。俺は後ろから迫りくるモンスターの音と熱気を感じながら、走った。


「あいつ、何がしたいんだよ!!」


 そこで見つけた小さな穴に入り込む。


「さすがに、入れねえだろ!!」


 ばーか、ばーか!

 と言っておきながら、怖くはあった。

 そして、柔らかいものを掴んでいた。


 むに。


「あ、あの。誰ですか……?」


 むにむに。

 ん? 何か、柔らかいものが……。


「うおおお!? 何だ、何だ!! す、すみません!」


 それを掴んでいた手を放す。


「どうかしたんですか」


 綺麗な女の子だった。髪は金髪、引っ込むところは引っ込んでいる系女子!!


「え、えっと、生死をさまよう瞬間でした」


 あはは、と笑いながら、ごまかした。


「……まかしましたね」

「へ?」


 よく聞き取れなかった。


「ごまかしましたね!!」

「ひぃい!! ごめんなさい!! わざとじゃないんだ! 許してくれーい!!」

「こらっ!! もう。いいですよ。モンスター、ここらで珍しくないですし」

「そ、そうなんだよ。そうだよね!」

「あ?」

「す、すみません。君はここで何をしているの?」

「私はアリアナ。ここで鉱石を集めてました」

「あー。鉱石か……」

「爆弾の材料になるんです」


 あ。そっか。爆弾のある層って、晴彦だかが言ってたような……。


「ボスが倒されたみたいですね」

「そうだね。それは、僕らが倒したんだ」

「え? そうなんですか? おかげで、男たちはみんな下の層へ行きましたよ」

「ああ。なるほど……」


 下の層は、遊郭エリアだ。行きたがるのもわかる。


「それで? 手ぶらで帰るなんて言わないですよね」


 ジッと見てきた。胸を触った代償はでかい。


「わかったよ。俺は繭村。追放された身だ」

「追放? じゃあ、外から来たんですか」

「そうだよ。第一層から出た地上の世界から来た」

「へえ。そうなんですか。それはすごいですね。ほら、これ、持ってください」

「ああ、うん」


 彼女に言われるがままに、荷物を運んだ。


「街まではわかるの?」

「わかりますよ。じゃなきゃ、ここにいないです」

「そ、そうだよね」


 そして、彼女のあとを追って、街に到着できた。

 剣を失ってしまった。

 ちょっと、ショックだけれど、また買いなおすしかないな。


「繭村さん!」


 美優がやってきた。俺の胸で泣きじゃくる。


「よかったあ……ぐす」

「ジー」


 アリアナが見ている!!


「あー、えーと、あそこのお姉さんに助けられたんだ」

「へえ?」


 え、何で怒ってるの?


 とりあえず、帰ってこれてよかった。か?


あとがき


どうも。今回もお読みいただき、ありがとうございます。


今回はピンチからのラッキースケベでしたね!


ちょっといい感じの話に持ってこれて、よかったです。


やっとコメディチックになってきましたね。


一体、いつ来るんだよって思っていたかたも多かったはず。


これからは明るい話が多いので、安心してお読みください。


では!! また明日!!

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