第9話「第二百九十七層の街1」

第九話「第二百九十七層の街1」


 そこは、砂漠だった。砂漠の層だったのだ。


「フーコちゃん、よかったね! これで自由だね」


 美優がフーコに喋っていた。


「まあ、外の世界は当分先だろうけどな。クリスタルが手に入るまでだけど」

「そうだけど、ずっと遊郭にいたら、頭おかしくなるわ」

「フーコちゃんは何かしたいことないのかい?」

「わ、私……は……あれです! バーベキューがしたいです!!」

「バーベキューか。レンダはどうだ?」

「俺か? 俺は、そうだな。この階層の街に確か、バーベキュー会場があった気がする」


 そうか。レンダは、確か、この層のボスをすり抜けてこの層の街へ行っているはずだ。

 こんな砂漠だらけの街で……。


「砂漠の真ん中にあるのか」

「ああ。そうだ。砂漠を根城にしているモンスターの肉でバーベキューをするんだそうだ」

「しかし、暑いな……。マジでこんなところに街があるのか?」

「あるさ。俺はそこを拠点にしていたんだから」


 しばらく歩くと、水辺がそこらじゅうに出てくるようになっていた。

 その水を飲んだり、浴びたりしていた。


「フォウ! 気持ちいいぜ!」

「いやー。こんなオアシスがあると、最高だな!」


 俺とアレックスは、喜んで遊んでいたが……。


「ガルル……」

「おい。こいつ、どこから出てきた?」


 俺がそう言った瞬間、飛びかかってきた!!


「逃げろ! そいつは倒せない!」

「何だって?!」


 レンダの言うことは正しい。だが、俺がタゲを取るしかない!!


「こっち来いや!!」


 俺が誘導して、こっちに来るようにした。


「繭村さん!!」

「俺のことはいい!! 街へ逃げろ!! 俺もあとから行く!!」


 とは、言ったものの、こいつを振り切ることができそうには思えなかった。

 ちくしょう!


 バン、と尻尾で弾かれる。


「よお。お前、気持ち悪い顔してんな」

「ガルルル……」

「俺の肉が食いてえのか!!」

「ウオオオ!! グギャ!!」


 こっちに突っ込んできた。


「来い!!」


 そう、呼びかけながら、走りに走った。


「はあ、はあ、はあ」


 近くの岩場に、隠れてやり過ごす。

 足音が大きく響く――。

 ドシン。ドシン。


「はあ、はあ、はあ。これからどうする?」


 剣を引き抜く。そして、銃弾に導線をつけて、火をつけ、投げる。


 プシュウ――!


 パン!


「グガアアア!!」

「そこだああ!!」


 ガキン!


 剣が折れた――。

 おい、マジかよ。

 そこで俺は、完全に、終わったと思った――。


 あとがき


どうも。今回は新たな街へ行く一歩手前で強敵に出会ってしまったという話です!

剣が折れてしまった!

さあ、どうする?


次回もお楽しみに!!

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