第18話 情報共有
気が付いたら俺は自分の体を取り戻し森の中に佇んでいた。格好は元に戻り刀も何処かへ消えている。
「んーなんだか体が軽い!あの千夏さんって人のお陰かな?過去の傷とか疲れがまとめて癒えたのかもしれんな」
さて、この横のデカイ奴はどうしようか。雀曰く人造らしいし調べりゃ何か分かるかもしれんし持っていくか。
あれそういや応援ってどうなったんだっけ。
えーっと確か雀が『獣たちを絶え間なく送り込んでるでござるよ』って言ってたよな。…………やばくない?俺こんなにピンピンしてんのに応援の人らボロボロとか笑えんぞ?
よし、現場に急行して俺が応援に入ろう。応援に来た人たちの応援…応援マトリョーシカかな?
しっかしそしたらこのデカブツはどうしようか…持ってくにも邪魔すぎるし…。
パシャ、パシャ、パシャ
結局写真だけ撮って証拠だけは確保しといた。離れてる間に回収されるかもしんないし。てかデバイスあるならこれで助けは呼べたな…いやでもそしたら凛先輩の目の前で俺踊り食いされんのか。んじゃ駄目だな。
よしやることも終わったし応援の応援に行くか!場所分かんねぇけど!
「考えて無かったー…やべぇ…」
どうしよ…本当にどうしよう。あっでも妨害されてるってことは戦闘してるってことだろう。耳をすませば聞こえるんじゃね?
サワサワ…サワサワ…キィン
木々が揺れる音に混じり鉄がぶつかり合う音が微かに聞こえてくる。
その音のした方に全力で向かって行ってみる。違ったならまた別の方法探そう。
◈
「むぅ、数が多すぎる」
「早く伊吹さんを助けに行かないといけないのに!」
「何故ここまで星獣が…!」
「明らかなー異常事態ですねぇー」
凛が凄い狼狽しながら助けを求めてきたから飛び起きて助けに来たはいいもののこんな時に限って星獣が大量発生してるなんて…。
まぁ明らかに人為的だけど…どれもが通常よりも強くなってるしDランクスキル持ちのAランク星獣とかも居るし大変すぎる…。
大丈夫かな伊吹…ここで死ぬはずは無いけど不安になる。
私が生み出した兵隊と先生と天原さんが頑張って戦ってるけど正直ジリ貧…どうにかしないとなんだけどまだスキルを元に戻す訳にはいかないし…ままならないものだなぁ。
そんな風に困っていると向こうの方の星獣の一帯が強い衝撃と共に吹き飛ばされる。
「なんですか!?新手ですか!?」
「新手なら仲間まで吹き飛ばすことは無いはず…落ち着いて先生」
びっくりする気持ちも分かるけど空回りしてるから落ち着いて欲しい。
それにあれは
「応援に来たよ皆!大丈夫!?」
あれは伊吹だし。
あと応援に来たの私たちなんだけどね?
◈
音の聞こえた方へと歩を進めると大量の星獣の群れと戦う4人がいたので星獣をぶっ飛ばしながら乱入する。
4人のうち2人は知り合いだが残り2人は全然知らない。恐らく応援に来た強い人たちなのだろうと推測は出来る。それでもこの量はきつかったようだが。
「伊吹さん!無事だったんですか!」
「おうよいおりん!色々あってピンピンだわ!とりあえずこっちの方は俺に任せてくれ」
「大丈夫なんですか!?」
「もちろん!」
軽くなった体をしなやかに動かし周りの星獣を粉々にしていく。粉々にしていく???
えっこんな力あったっけ俺。千夏さん効果凄くない?今度から鍛錬メニューに力を扱う鍛錬追加するか。
制御出来ない力とか役に立たんし。
その後普通の星獣をぶっ飛ばした後にスキル持ちを全員でシバき終わったので一息つく。
「なんで応援に行った側が助けられたんだろ…兎も角助かったよ伊吹」
「いやいや全然大丈夫よ。そちらの方々はどなたで?」
「私は
「私はー天原ー白蓮と申しますースキル持ちが出たらしいですけど大丈夫でしたかー?」
眼鏡を着けた所謂優等生のような格好をした人が斎藤さん、胸の主張が激しすぎるおっとりとしたたぬき顔と呼ばれるような顔をした女性がかの慈愛の聖女たる天原さんらしい。
「これはご丁寧に…俺は篠宮伊吹って言います。スキル持ちは色々ありましたが大丈夫でしたよ。写真撮ったんですけど見ます?」
「真っ赤っかな両目ですねぇー…お疲れ様ですー」
「Sランクよりも余裕で強いらしいのによく勝てましたね篠宮さん。素晴らしい成果です」
その後も斉藤さんと天原さんに褒めちぎられ自尊心を大きく上げることが出来た。
「そういやいおりんにタマ先輩」
「はい?」
「どうしたの?」
話が一段落したのでいおりんとタマ先輩に話しかける。
「凛先輩は大丈夫?別れた時の精神状態やばかったけど」
「今は紗奈さんが様子を見ているようですが芳しくは無いようですね…」
「戻ったら話してあげて…」
「了解です」
やっぱりまだきついよなぁ…元気な姿見せて安心させてあげないと。
俺たちはその後真っ赤な両目の星獣さんの死体を回収してから斉藤さんの転移で学園へと戻った。
◈
「んぁぁぁぁぁ…逃げられたァァァァァ!」
「いきなりうるっさいのう色欲…静かにしてくれんか鬱陶しい」
「何かあったのか?」
「私の可愛い可愛い奴隷ちゃんたちが殺されたのよ!」
「お前の奴隷って言うと…あの犬っころ共か?」
色欲と呼ばれた女性がヒステリックに喚き立てる。
「そうよ!スキルを与えることが出来た個体も居たのに!」
「かっかっか。我らに自慢してたつけが回ったんだろうよどうせ」
「なんなのよあの男ォ!次見たらぶち殺してやる!」
「男ってあの男か?お前のコレクションを倒せるとは思えんが」
「あの男は何かが違ったわね。あんたらも注意した方が良いわよ憤怒に傲慢」
そう色欲が忠告をする。
「かっかっか。我には要らん忠告だなぁ。我に勝てるやつなんぞ居らんからな」
「俺は一応受け取っとくよ。死なん確率は少しでもあげたいし」
「じゃああの男の特徴について話すわよ?傲慢も一応聞いときなさい。あの男は──」
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星50ありがとうございます。
読みにくかったり分かりにくい箇所あれば教えてください。
死ぬ程モチベになるので感想や♡や星無限に下さい。星100目指してます。
女性だけがスキルに目覚める世界で男なのにスキルに目覚めたと思ったらスキルのランクがFランクだった 中田の刀な鷹 @Tanaka_kanata_takana
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