第14話 初仕事に行くんだヨ
「ほら後ろ乗れヨ伊吹」
「14歳の運転かぁ…大丈夫?」
「そこはかとなく大丈夫なんだヨ」
「不安しかねぇな」
凛先輩のスキルで作られたバイクに跨った凛先輩が俺を誘う。
法律とか云々は星獣との戦いで曖昧になりまくってるので別に14歳が運転するのは良いのだが事故らないかどうかだけ不安である。
「かっ飛ばすからしっかり余に捕まるんだヨ」
「おっけー」
「出発だヨ!」
後ろから抱きつくような感じで凛先輩に捕まると音を立てずバイクが発進する。
まぁ音が出たら星獣がやってくるもんな多分。今学園の敷地外だし。
さて、どうして俺が学園の敷地外で凛先輩とドライブをしているかをそろそろ語らねばならぬだろう。そう…あれは昨日のこと…。
──昨日
「もうこんな時間じゃん。そろそろ終わる?」
「そうですね終わりましょうか。紗奈さんたちも大丈夫ですか?」
「お腹すきましたー…」
「おいどんも腹ぺこでごわす」
「私もおにゃかすいたにゃん。今日の当番先生じゃにゃかったかにゃん?」
「そうでしたねそういえば。出来たら呼びますねー」
そう言いいおりんが厨房の方へ向かっていく。残された俺たち4人はマルオカートをやる気力は無かったので適当に話しながら待つことにした。
「そういやタマ先輩って普段は寝てるらしいけど今日はなんで起きてたの?」
「おいどんも気になってたでごわすよ」
「私にも分からにゃいにゃん。にゃんだか眠くにゃくにゃったから楽しそうな声に引き寄せられちゃったにゃん」
「なるほどねぇ」
まぁ訳もなく眠くない日なんて普通の人でも幾らでもあるしな。
「そういや聞いてませんでしたけど皆さんは趣味とかってあるんですか?私は漫画とか読んだりするのが好きなんですけど」
解釈一致の趣味を述べながら紗奈がそう切り出す。
「俺は小説読んだり…漫画も読むけど小説の方が多いかな?あとはダンスと鍛錬」
「結構読んでますもんね昔の小説。てか鍛錬って趣味なんですか?」
「趣味だね。楽しくない?」
「楽しくはないですよ…?」
「ありゃ」
強くなれてる実感が俺の心を満たしてくれるんだよね。夜の時間も潰せるし最高だよ。
「おいどんは物を作ることでごわすね。スキルを使ったり使わなかったり色々あるでごわすが兎に角楽しいんでごわす」
「まさに天職って訳だな。気質に合いまくってるスキルで羨ましい限りよ」
「伊吹は視力強化でごわすからねぇ…」
元から充分なくらい視力良いから恩恵も感じにくいし最悪なんだよね。夜目が更に利くようになったくらい?これだけ便利普通に。
「私は寝る事とお風呂に入るのが趣味にゃん」
「珠音は毎日お風呂だけは入ってるでごわすからね」
「臭いって少しでも思われたらにゃいちゃうから気をつけてるんだにゃん」
「あぁ確かにそれはダメージ食らうな…」
誰かに臭いと思われてるだけでも嫌だしなぁ…。そりゃ気をつけるようにもなるか。
その後もあーだこーだ言い合いながら交友を深めて言った。
話が盛り上がりすぎて呼びに来たいおりんに気が付いたのが俺だけなのがちょっと可哀想だった。泣いてたし。あとでいおりんもいっぱい話そうねって言いながら背中さすってあげたら更に泣いてた。なんでや。
◈
「「「「「いただきます」」」」」
話が止まらなさそうだったため俺が間に入っていおりんが来たことを伝え話を止めてもらう。
その後皆で食卓に向かって席に着いたから手を合わせ食事を取り始める。
「次は私も混ぜてくださいよ皆さん」
「当たり前でごわすよ。いっぱい話すでごわす」
「申し訳にゃいにゃん」
「つい盛りあがってしまって…」
「まぁ仲良い事は素晴らしい事ですけど…」
少し不服そうながらもこれ以上掘り返すつもりは無いのかいおりんは話を切り上げる。
俺はその間1人で黙々とご飯を食べていた。日本のソウルフードはやっぱり味噌汁だよね。異論は認めないよ。
「あっそういえば伊吹さんと凛さんにお話が」
「んぐ、どうしたんよいおりん。なんかあった?」
「どうしたんでごわすか?」
「伊吹さんには早速初仕事に行ってもらおうと、凛さんはその付き添い的なアレですね」
「あー星獣倒して来いってこと?」
「まぁそう言うことですね。最初は基本元から居る人たちがついて行くんですよ」
「1人とか危険でごわすからね」
やだなぁ普通に。
「詳細はデバイスに送ってあるのでご飯食べ終わったら読んでおいてください。基本的にこう言う連絡事項はデバイスに送っていくので都度確認をよろしくお願いしますね。紗奈さんも」
「りょっ了解です」
どれどれ…あほんとだなんか書いてる。
「紗奈も連れてったらいかんの?守るって約束してるしあんま離れたくは無いんだけど」
「初仕事の2人が居ると凛さんの負担が大きくなって結果的に死傷率が増えちゃうんですよね」
「あー…なら仕方ねぇか。ごめんな紗奈」
「気にしないでください伊吹様」
守るために連れ出して怪我させちまうのは本末転倒だしなぁ。
ご飯を食べ終わったあと風呂に入り部屋に戻ってきてベッドに寝転がる。
今回は誰ともブッキングする時はなかった。まぁ風呂入ってくるって全員に言ったから当たり前だけれども。
ベッドに寝転びながら初仕事の説明を読もうとしてふと思いついたことがあったのでシャルを呼び出す。
「シャルー居るー?」
『はいはいなんでしょうかマスター。貴方だけのパーフェクトAIのシャルでございます』
「シャルってデバイスにある初仕事の内容って読める?」
『ちょっと待ってくださいねぇ…データを同期してみます。……出来ました。読めますよ』
「おっならちょっと読み上げてくれ。俺その間鍛錬しとくから」
『効率厨か何かなんですか?』
なんか体動かしたくなっちゃったからね、仕方ないよねうん。
『では読みますね?…日付は明日。場所は学園の敷地外の森の入口付近。確認された星獣は上がBの下がDランク。スキル持ちは確認されてないとの事です』
「明日かぁー…ふっ、急じゃね?いよっ」
『放置してたら増えていく可能性があるからでしょうね。原因は不明らしいですが星獣は放置すれば無限に強くなるし無限に増えるらしいですよ』
「最悪じゃん」
そりゃすぐに仕事も入るか。
「てか確認?なんかそういう確認するグループみたいなんもあんの?」
『偵察に特化したスキル持ちが担って居るようですね』
「どっこもかしこも大変そうやねぇ…」
『命がかかってますしねぇ…そりゃ』
シャルともう少し話を交わした後、紗奈が部屋にやってきたのでシャルを帰して応対する。
通信を切る直前に「ママ誰と話してんの?」って聞こえたんだけどシャルって子持ちなん?AIな要素どんどん無くなるやん。
「何してるんですか伊吹様…」
「何って片腕立てだけど…紗奈もやる?」
「絶対に嫌です」
「まぁまぁそんなこと言わずに…てか紗奈はどうしたん?こんな時間に」
結構遅い時間目ではあるけどもう。
「えと、そのぉー…伊吹様初仕事に行くらしいじゃないですか」
「行くね」
「凛先輩から聞いたんですけど明日らしいじゃないですか」
「そうやね」
「疑ってる訳じゃないんですけどどうしても居なくなったらって思うと寂しくなったのでお話をと…」
頬を染めながらそう言う紗奈を笑って受け入れ紗奈が安心出来るまで言葉を重ねる。
俺の存在が少しでも誰かの役に立てるなら嬉しい。明日も頑張ろうと心から思った。
◈
ってな感じの経緯で今疾走中である。
またもや説明不足だったいおりんから聞いたが学園には結界が張ってあるらしい。紗奈の心配はひとまず大丈夫そうだがいおりんへの心配が止まらない。ポンコツすぎるよ流石に。
命も関わってくる問題だし帰ったらガツンと言ってやるか…そう思いながら揺られていると目的地に到着する。
そこは鬱蒼と木が生い茂っているThe・森だった。凛先輩曰く転送装置はここから少し離れた場所にしかないため帰りもバイクらしい。
とりあえず目的地に着いたのでバイクからおりる。
さぁて…初仕事か。嫌だな、本当に。
────────────────────
何故かまた長くなってしまった。2500文字が個人的に1番いいと思ってるから気をつけていきたい。
読みにくかったり分かりにくい箇所あれば教えてください。
死ぬ程モチベになるので感想や♡や星無限に下さい。星100目指してます。
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