第7話 先輩たちのスキル

「んぎゃ、もうこんな時間じゃん。今日って凛ちゃんが当番だよね?よろしくー」

「余に任せるんだヨ」


 そう言い凛先輩が厨房へと向かっていく。


「生活に慣れてくるまでは私と凛ちゃんと伊織ちゃんでご飯は作るから安心してねー」

「それは助か…なんでいおりん?」

「あれ?教えて貰ってないの?伊織ちゃんもこのりょ…」

「ただいま帰りましたー」


 結衣と話していると玄関の方からいおりんの声がする。


「おかえり伊織ちゃーん」

「伊吹さんもそうですがせめて伊織先生と…」

「いおりんもここに住んでんだね」

「あっそうですね言ってませんでしたね。私もここの寮生なんですよ、これからよろしくお願いしますね二人とも」

「よろしく」

「よっよろしくお願いします」



「ご飯出来たヨー!」


 マジカルバナナを4人でやっていると厨房の方からそんな声が聞こえてくる。


「はーい!…じゃ私紹介してないもう1人起こしてくるから先に食卓に着いてて。伊織ちゃん案内お願い」

「分かりました。…ほら、行きますよ2人とも」

「へーい」

「分かりましたー」


 何に躓くか分かったもんじゃないのでチラチラと紗奈の様子を確認しながら食卓に向かう。


「ほらほら席に座るんだヨ。今日は奮発してすき焼きだヨ!」

「美味しそー!凛先輩凄いね!」

「ふっふっふもっと褒めてくれて良いんだヨ」

「天才!可愛い!幼女体型!」

「最後の以外はありがたく受け取るんだヨ」

「ほら馬鹿なことやってないで座ってください伊吹さん…紗奈さんはもう座ってますよ」

「あいあい」


 紗奈の隣にストンと座り、雑談をしながら結衣ともう1人を待つ。



 待つこと5分ドタバタと音を上げながら結衣が見知らぬ幼女を抱え食卓にやってくる。


「ごめんごめんお待たせー。珠音ちゃんが中々起きてくれなくてさぁー」

「…眠い」

「珠音が好きなすき焼きだヨ今日は」

「おー…すき焼き…食べる…」


 この寮の幼女(体型)率高くない?凛先輩はまだ14らしいし。


「そこの…人たちが新しく入居した人…?」

「そうだよ珠音ちゃん!紗奈ちゃんといぶきちって言うんだよ!」

「いぶきちでは無いのよ俺名前。あっども先輩、伊吹って言います」

「伊吹…伊吹…そう、君が…」


 そこまで言って謎の幼女先輩がふっと笑う。


「これからよろしね…伊吹…」

「…?えっえぇ。よろしくお願いします」


 その様子に少し戸惑いながらもそう言葉を返す。


「…ほらっ珠音ちゃん。自己紹介自己紹介」


 結衣がそう言って幼女先輩をつつく。


「あっ…そー…だね。私はぁ…佐伯さえき珠音たまね…だよ。Sランクスキル持ちのー…凄い人なんだよ…」

「Sランクスキル持ちって…凄いですね佐伯先輩」

「先輩は…いらない…伊吹ならタマとかでいいよ…呼び方は」

「えっ…タマ…先輩?」

「うん…これからそう呼んでね…」


 …知り合い?なんだろタマ?先輩からの好感度が初対面の割に高すぎる気がする…。


 呼べって言われたしタマ先輩って呼ぶけど…なぁんか怖いななんでだろ。



「「「「「「いただきます(…)」」」」」」


 自己紹介もそこそこに冷めないうちにすき焼きを食べ始める。


「うん…美味しい…」

「めちゃくちゃ美味しいです凛先輩」

「ふっふっふゆっくり食えヨ」

「美味しい…」

「染みますね身に」

「美味しい〜!」


 弾けるような旨みが口の中に広がり幸福感が全身を支配する。


 次から次へと箸が伸びて止まらない。

至福の時間だった。



「そういや結衣と凛先輩と…タマ先輩は何のスキル持ってんの?言いたくないならいいんだけどさ」


 たらふく食べ終わり一休みした後にそう話を切り出す。


「別に秘密にしてないからいいよー凛ちゃんと珠音ちゃんはどうする?」

「余も全然教えちゃうヨ」

「私も…良いよ」


 そんなこんなでタマ先輩、凛先輩、結衣の順で所持スキルを教えてくれることになった。


 その後に紗奈、最後に俺のスキルを教えることにもなってしまったが…。大トリ俺なの辞めようよー…しょぼすぎて失笑しか起きないってぇ…。


「じゃあ私から…私のスキルはSランクの『夢の国の王』…Sランクの中でも少し…特殊なスキルで…夢に干渉したり…寝てる間は兵士たちを生み出せりとか…目を合わせることで相手を眠らせることが出来るよ…」

「まぁ基本珠音ちゃん目瞑ってるから意味無いんだけどね最後のは」


 話してる間もずっと目瞑ってるからなタマ先輩。


「じゃあ次は余だヨ。余のスキルはSランクの『魔導技師』だヨ。魔力ってのを消費して余の考えたものを作り出すことが出来るヨ」

「めちゃくちゃ強いね」

「そう!めちゃくちゃ強いんだヨ!1度作ったものは半分の魔力で生み出せるようになるし収納も簡単なんだヨ。パワードスーツも作れるから肉弾戦も余裕なんだヨ」

「…強いね凛先輩」

「この学校で先生除いたら2番目に強いから当たり前なんだヨ!」


 上から2番目かぁ…やっぱり俺のスキル紹介だけ飛ばさない…?無理だって。S、S、何かからのA、Fなんてさぁ。


「じゃあ次は私かな。私のスキルはなんとEXスキルの『勇者』!身体能力がめちゃくちゃ上がって回復魔法ってのが使えるようになって聖剣を使う事が出来るよ!」

「…なんて?」

「まだ練度が足りなくて使えない能力もあるみたいだけど強いよねこのスキル」

「強いとかの次元じゃねぇだろそんなん…この学校で1番強いのってもしかして結衣なん?」

「そうだよ!」


 悩みの原因これかなぁ…多分。推測でしかないけど対等に戦える人とか自分を守ってくれる人が居ないからこその孤独とか責任感とかで押し潰されそうになってるんだろうな。

本当にただの推測だけど。外れてて欲しい。


「てかEXスキルって七美徳と七大罪のやつ以外にあるんだね」

「普通は無いんですよ?星獣との戦いの1100年の中で結衣さんだけです」

「ふふん!私は特別なんだよね!」

「すげぇな結衣」


 1000年の中でただ1人って…めちゃくちゃかっこいいけど…やっぱえぐそうだなー責任感とか。失敗したらいけない誰かを守らないといけないとか考えるのキツそう。


 1人で抱え込みすぎて死んでしまった奴を知ってるからこそどうにかしてやりたい。

名前は…あれ、名前なんて言ったっけあいつ。あれ…?


『■■■■』


 なにかの声を聞いた途端、急に意識が混濁し何も考えれなくなる。

考えが曖昧になり先程考えていたであろうことが思い出せなくなる。


 気が付けば先輩方のスキルの紹介が終わり、紗奈がスキルを紹介していた。


────────────────────

読んでくれて…ありがとう…。


読みにくかったり…分かりにくい箇所があったら…教えてね…。


死ぬ程…モチベになるから…感想や♡…星も無限にちょうだい…。

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