第5話 聖女
「へーEXスキルかぁ…良いね」
「…え?それだけですか?」
「え?何が?」
「え?」
「え?」
なになになに2人とも顔抑えちゃって…俺何か変なこと言った?
「伊吹様ってニュースとか見ます?」
「ニュース…見ない…って言うか見れないんだよね」
「見れない…?まっまぁそっそれは置いといて…聖女って知ってます?」
「聖女?RPGの?」
「はぁ…」
「目の前でため息つかんといてや」
傷つくんよ割とそれされると。
「えーっと聖女って言うのは七美徳のスキルを持ってる人たちを指す言葉で…皆さん例外なく人類の守護者としてテレビとかにも出てるんですけど…知らないんですか?田中先生も結構テレビとかに出てましたけど」
「初耳だし見たことない…」
「それに加えて魔女と呼ばれる七大罪のスキル持ちも居るんですが…まぁ、はい。おいおい教えますね」
「頼むわ紗奈。…ってかいおりんって凄い人やったんやね」
「そうですよ?まぁトラウマのせいでSランクの人たちより今役に立ってませんが…」
そう言っていおりんが項垂れる。
「まぁトラウマなんて簡単に癒えることじゃないし…そんな気にやまなくてもいいんじゃない?」
「優しいんですね篠宮さんは…」
「普通だと思うけどな…」
トラウマ?そんなん気の持ちようやろ気合いが足らんわとか言うやつ前世で見てきたけど総じてカスやったからなぁ…。
厳しくすんのも時には必要かもしれんけど出来るだけ優しくした方がええやろ普通に。
それが分かっとらん奴は上に立つな。
得すること1つも無いから。
いおりんが落ち込んで帰ってこなくなったので紗奈と2人で暇を潰す。
「なぁ紗奈」
「なっなんですか伊吹様」
「しりとりしようぜ」
「急に?やること無さすぎません?」
「りんご」
「うわ始まった…。護石」
「キリマンジャロ」
「…?…なんですかそれ」
あっそうかキリマンジャロ無くなっとるんか大分前に…。
その後も多々ある前世との差異に苦しめられながらもしりとりを楽しみ、途中で復活したいおりんも含めて3人で遊ぶ。
合間合間に親交を深めるべく雑談等もして到着を待つ。
「ほらるですよ伊吹さんほらほらー」
「る責めやめてくんねぇかないおりん!もう12回目なんだけどるで回ってくんの!」
「あははははは頑張ってください伊吹様!」
「笑ってんじゃねぇぞ紗奈ァァァァ!」
到着する頃にはこんなやり取りを頻繁にするくらいには全員遠慮が無くなっていた。
紗奈も後半大分遠慮なくなってたしいい傾向だろう。
そんなこんなで島に到着したのでとりあえず船から降り学校に向かう。
「思ったよりもデカイな学校…馴染めるか不安だわぁ…」
「そうですねぇ私も馴染めるかどうか…」
「ほら2人ともそんな所でボケっとしてないで、行きますよ」
「「はーい」」
結構な大きさのある学校に面を喰らいながら暗めな未来に2人して絶望していると、他の生徒を引率していたいおりんが戻ってきて手を引っ張ってくる。
前見ても後ろ見ても横見ても女性ばっかりで否応なしに特殊な環境に身を置くことになってしまった実感が湧いてくる。
出来るなら戦うことも無く普通にモテて普通に結婚して生涯を終えたかったが全然無理そうである。
普通に生活しててもいつか星獣が鬱陶しくなってぶん殴りに行きそうだし…向いてねぇな俺。根本的に普通の生活が。
そんな事を考えながら歩いていると教室であろう場所に到着する。
「はいでは皆さんお好きな席にお座り下さい。船旅を終えて疲れてるかもしれませんが簡単にこの学校と寮について説明します」
紗奈と一緒に適当な席に座り、説明が始まるのを待つ。
「こういう説明の時ってなんかワクワクしますよね…新生活が始まる…みたいな感じで。不安の方が大きくはあるんですけど…」
「ちょっとは分かるけど俺もやっぱ不安の方が強いなぁ…」
仲良くなろうと周りの人に話しかけようとしても結局顔逸らされるし…原因やっぱ服じゃないやん。せっかく着替えたのに。
そうして待つこと5分程。教壇に立ったいおりんが話を始める。
「では皆さん席に座れたようなので話を始めていきます。まず私の名前から…知ってる方もいらっしゃるかもしれませんが『勤勉』の聖女。田中伊織と申します。皆さんがスキルをしっかりと扱えるように精一杯色んなことを教えていくのでよろしくお願いします」
「「「「「「「お願いします」」」」」」」
「いい返事ありがとうございます。えーではこの関西八百万学園の説明なのですが、この学校は人類を救うために星獣に対抗出来る人を増やす目的で設立された学校です」
ふむふむ。
「次から次へと星獣が湧いてくる最前線ですが…強い星獣はあまり湧きませんし最初の方は歴戦の方々が補助をしてくれるので安心してください。本土の方にも星獣が出ることがありますが4年前に発明された転送装置によって短時間での移動が可能になったため問題はありません。皆さんの力でこの国を星獣から守りましょう」
転送装置…発明したやつ凄いな。
大発明じゃん。
「次に寮についてですが事前に皆さんのスキルや性格の相性等も考慮して決めてあるので今からお配りするデバイスでご確認ください」
いおりんがそう言ってスッキリとしたデザインのデバイスを配っていく。
「学校内にある施設はこれをかざすことで無料で使えるようになるので肌身離さずお持ちください」
「ではこれで今日の所は終了となります。それぞれデバイスを確認しながら寮までお帰りください。優しい先輩方が待っていますよ」
いおりんがそう締めくくり礼をしてから教室を去っていく。
「伊吹様は何処の寮って書いてますか?」
「今から確認するわ。えーっと…のぞみ荘だってよ」
「私も同じですね。伊織先生が手配してくれたんですかね」
「あー便宜図るって言ってたもんな。んじゃすることもないし早速行く?」
「そうですね。行きましょうか」
本当になんで今まで陰キャやってたんだ?となるほどどもることもキョドることも無くなった紗奈と共にデバイスに表示された地図に従ってのぞみ荘へと向かう。
どんな先輩方が居るんだろうなぁ…変な人たちじゃなけりゃいいなぁ…。
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書いてる途中で凄まじく面白くなりそうな戦闘を思いついたのにそれを出せそうなのが割と後半になりそうで辛い。
読みにくかったり分かりにくい箇所あれば教えてください。
死ぬ程モチベになるので感想や♡や星無限に下さい。
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