第2話 種明かしの始まり
「瑠花ーー。」
扉が沢山並ぶ永遠に続きそうな白い空間で瑠花を探して歩いていたら見つけた。
「徘徊?」と瑠花が笑う。
「瑠花さん探してた。」
「知ってる。見てたし、音も拾ってるから。」
「恥ずかしい。丸見えじゃん。」
「そうよ。変な事一人でしない事ね?」
「瑠花さんと二人なら?」
「…別に私しか居ないから別に何してもいいけどさ。」
「あれ?」
「?」
「おっさんは?」
「あぁ、あいつ追い出した」
「え?どういうこと?」
「…前とやってる事変わんなくてさ。気持ち悪いし。だから追い出した。最近ここに来るのあんただけだし。」
「俺だけ?」
「そうだよ。こんな気味の悪いところ好き好んで来る奴そうそう居ないから。」
「俺はここ好きよ?」
「それはあたしが居るからでしょ?もし、すっごいブッサイクな女がここの『案内人』だったらどうする?」
「絶対来ない。」
僕が即答すると
「でしょ?」と瑠花。
「…瑠花。」
瑠花は自然に僕の腕を掴んで引き寄せて…抱きしめてくれた。
「なぁ、るか。」
「ん…?」
「私服とかないの?」
「あるけど、部屋着しかないよ。」
「じゃあその部屋行きたい。」
「…来る?」
「うん。行きたい。」
僕は彼女に手を引かれて部屋に向かった。
何も無い道を歩くと、瑠花が左側の何も無い場所に右手をかざすと、ドアが現れた。
そのドアは虹彩認証(目の生体認証)を使って開けるタイプになっていた。
僕はそれを見て「すげぇ…」と漏らした。
「どう?機械になってみる?」
「……」
「何赤くなってんの。」
と僕をからかって笑う。
ドアを開けると、モニターが沢山ある部屋に出た。
「あぁ、
「そう。あたしがこれに変えたの。」
「元・
「そう。この部屋の奥にプライベート空間を作るならこれくらいしていいんじゃない?って作らせた。」
「強ぇ…」
「それくらいしないとね。…結局あたしじゃだめだったんだからさ。」
「……。」
「別に未練があるとかじゃないのよ。ただ、悲しかっただけ。これだけ尽くしてきたのに、結果あたしじゃなかった。よくわかんない所にあたしみたいな子達が何人か居た。許せなくてさ。」
「お前は間違ってないよ。」
「うん。私もそう思ってる。」
「他には大丈夫か?ちゃんとお前の『城』にできそうか?」
「だからあんたを呼んだの。」
「あぁ、俺、呼ばれたんだ。」
「あたしが呼べばあんたは来るから。」
「うん。来たよ。」
また僕は彼女に包まれた。
「琉生だけなんだよ。私の事ちゃんと見てくれたの。」
「だって、瑠花は人間だから。AIでもなければダッチワイフでもない。」
「あたしもそんなのになりたくない。」
「…探すか?俺と瑠花なら色々さぐれそうだし。」
「うん。そうしたい。」
「何があるかわかんねーから、気は抜くなよ。」
「大丈夫。」
ここから瑠花と二人でこの城の種明かしが始まった。
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