第5話 はぁ...ややこしい
それから俺はこの世界の仕組み的なのを説明された。
俺が召喚されたこの国の名前はレスティア王国というらしく、そしてこの大陸の名前はディスカイプ大陸、このディスカイプ大陸には他にもいくつもの大きな都市があるみたいな事を言っていたが―――当然全てを覚える事は出来なかったので割愛。
この世界には人族、エルフ、獣人、ドワーフ、そして――――魔族がいる。
人族は基本的にバランスはいいが特化したステータスや特殊な能力みたいなものは無く、エルフは他の種族に比べかなり長寿の種族らしく他の種族達が知らない様な様々な魔法が使える様だ。
獣人は種族にもよる様だがだいたい身体能力がずば抜けており、そしてドワーフは力こそ強いが酒と物造りにしか興味が無く戦いにも興味が無い様子。
そして最後に魔族。魔族達は他の種族に比べなにもかもが桁違いに強く、魔族一人を倒すのに人族は手練れの者を何人も集めなくてはいけない様だ。
ただ数がそこまで多くないって事が唯一の救い。
そしてその中でも「魔王」と言われる存在も何体かいるらしく奴等は魔族達の中でも更に図抜けているらしい。
魔族には魔族達の世界の様なモノがあるらしくこちら側に来る事はほぼ無い様だが―――例外もある。
そのわかりやすい例外がアザレアの魔王。
このレスティア王国の近くに存在するアザレアの森を住処とする魔王。
どこから現れたのかもいつからいたのかもわからない曖昧な謎の存在。
そして―――俺がこの世界に呼ばれた原因だった。
それ以外にも精霊や妖精、竜種なんかもいる中々王道的なファンタジーの世界みたいだここは。
ちなみにさっきのローブの爺もこの国では賢者とか呼ばれている凄い魔法使いらしい。
(まぁあいつがどれだけ偉くて凄い奴だろうとどうでもいいんだけどな、
とりあえずあいつよりも強くなったら一発ぶん殴る。これは決定事項)
「それではこれから長い間、ナガヒサ様には魔王を倒す為の修行に励んでもらいます」
俺はさっきの玉座の間?みたいな所を出て、先が見えない程長い廊下を騎士に連れられながら歩いている。
(なんだかなぁ……パッと見た感じお金とかめっちゃ持ってそうなんだけどなーこの国。お金の力で魔王とか倒せないもんなんですかね)
「具体的にどうしたら強くなれるんですか?人と闘ったり魔物を倒せばいいんですか?見たところ街はとても平和そうですけど」
廊下にある大きな窓から見下ろした先にあったのは、童話に出てくる都市の様な美しい街並みだった。
まるでソレは俺の頭の中にある『中世ヨーロッパの街並み』という物をそのままトレースしたかの様、辺りでは綺麗な服を着た貴族らしき男女が談笑しているし、その周りでは様々なお店が沢山の客に囲まれ賑わっていた。
先程の話を聞いていなければこの国が魔王の脅威に晒されているだなんて夢にも思わなかった事だろう。
「ここは王宮もある王都の中心部ですからね、こんなところにまで魔物が来れる様になっていたらこの国は終わりですよ。レベルは基本的に魔物を倒して経験値を稼いだら上がります」
そんな風に説明してくれているこの騎士さんは別に悪い人では無さそうなのだが、話し方がどこか業務的で冷たく感じる。
「じゃあ街の外に行くと魔物がたくさんいたりするんですか?」
駆け出しの冒険者は野にいる魔物を倒したりダンジョンに入ったりしてレベルを上げていくってのが定番だった気がするのだが、この世界にもそういった物があるのだろうか。
(もしあるなら楽しそうだし是非行ってみたい!)
「そうですね。門を抜けた先には低級の魔物がちらほらいます。ですがもっと西の方へ行くと強い魔物だらけのアザレアの森や、南の方にはD級ダンジョンなどもあります。
ただ、アザレアの森はA級冒険者の方々がパーティーで行くような場所なのでナガヒサ様がいくら勇者とはいえ流石にまだ行けないですかね」
(…………ふむ)
では俺は結局どこに行けばいいのだろうか、アザレアの森が無理なら他に名前が出たのはD級ダンジョンくらいだが、D級なんて言われても強さが全くわからない。
そんなこちらの気持ちを察したのか、名も知らぬ騎士はこう続ける。
「ナガヒサ様はとりあえず城の中で私たち王国騎士団や宮廷魔術団が行っている訓練に参加して頂きます」
なんか凄そうな名前のグループが二つ出てきたけど大丈夫なんですかね
僕ただの18歳のフリーターなんですけど
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