いつもの一日
「……」
頭の中は静かで、ただ学校へ向かう途中の繰り返される景色をなんとなく認識しているだけ。
「はあ……学校の門か……今日もこれをくぐらないといけないの?まあ、行かなきゃいけないのは分かってるけど……」
「でも、他の生徒たちの声を聞きたくない。みんなうるさすぎる。せめて朝ぐらい、この町みたいに静かであってほしいのに。」
「まあ、直接話しかけられないことには感謝してる……なんてね。本当は、門の前で誰かに挨拶してほしいって思ってる。でも、そんなの私にはふさわしくないんだろうな。」
「いつものことだけど、遅刻だ遅刻だって叫ぶ声が聞こえる。実際は遅刻してないくせに……校庭の向こうから友達を呼び合う声もある。静かに入ってくるとか、ちょっと控えめにするとか、それじゃダメなの?」
「……」
「みんな、私のこと気づいてるのかな?ただ、教室に向かって歩いてるだけの子としてでも……それとも誰からも見えない存在なのかな……?」
「そして教室……まあ、そこも変わらない。どこに座っても、先生にすらほとんど気づかれないし、ましてや同級生なんて……たまに肩をトントンってされるけど、それはペンを貸してほしいときだけ。いつも同じ始まり方だ。『ごめん、名前なんだっけ?』……ふっ……」
「もうまともに会話を続けられるかさえ分からない。だって、あの男の子が話しかけてくれたとき、変に見えただろうし……今思えば、ちゃんとした会話をしたのは久しぶりだったな。あの子と……それに、部長もね。まあ、あの人は優しい方だと思う。」
「ふぅん……」
「もしかして、私が何か気づかずにしてしまったことがあって、それで話しかけてくれただけなのかな?本当は偶然じゃなくて、私が彼の邪魔になっちゃったとか?」
「確か彼は2年生だったよね。でも、もっと年上に見えた……もしかして嘘で、ただ私に話しかけるのが誰かのいたずらだったとか?男の子って、そんな感じでしょ?」
「まあいいや……授業が始まるんだから、彼に聞く機会なんてないだろうし。きっと休み時間も一人で過ごすんだろうな……」
授業は難しくない。課題は簡単で、授業のほんの一部の時間で終わってしまう。それがたぶん学校が彼女にとって居心地の悪い理由だろう――何もすることがなく、ただ座って帰る時間を待つだけだから。
時間を特に気にすることなく、ぼんやりと考え込んでいると、授業は『あっという間』に終わる。同じ持ち物を片付けながら、今日一日誰の会話にも加わらなかったことがまた気にかかる。せめて、部長と話すことができるかもしれない……彼女が今日来ていれば、だけど。
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