〜17〜2人は残念なのかもしれない。
今はポーションを作ってそれを納品することを続けていた。
そしてやっと手に入れた!!
「食材セット99個!! ここまで長かった……カンストまで貯めたから今から一度に開封したい……!!」
クランホームのロビーでインベントリを見て少しニヤニヤが止まらないハラミ。
「やっと貯まったんだ! お疲れ様! これから開けるの?」
急に誰かから声をかけられ、ふと声の先を見ると目をキラキラさせたレイナさんがいた。
なぜこんなに僕より楽しみなんだよ。
「そうですね、一括開封できるみたいだから99個一気に開けようと思ってたんけど……?」
「何が出たか教えてほしいの! 出来れば細かく何が出たかとか、出やすい物とか……!!」
早口で喋っていて興奮しているのがよくわかる。
こんなレイナさんは見たことないからこの気迫に少し押されている。
椅子に座っていたが、レイナさんがジリジリと距離を詰めるから椅子ごと徐々に下がらないといけない。
「……ま、まぁ良いですけど?」
「やった!!!」
「……レイナー、引かれてるにゃよー?」
「うおぅ?!?!」
レイナさんの後ろから急に猫又さんが来た。
僕は思いもよらぬ登場に変な声がつい出てしまった。
だって急にくるなんて聞いてないじゃん?
でも考えてみると異常に気配消せてるからそういうスキルでも使って近づいてるんだろうか??
「猫又さんどこから?!」
「猫又でいいにゃ」
「私もレイナって気軽に呼んで!!」
さん付けないでいいのか……なるほど。
「わかりました。猫又さんとレイナさん、じゃなくて……猫又? レイ、ナ……?」
「なんで疑問形にゃ? ……まぁ、いいにゃ。どちらにせよレイナがごめんにゃ。検証のことになると早口になっちゃうんにゃよ」
「ごめんね、熱くなっちゃって……」
「いえいえ、別に気にしてませんよ」
なんかこの二人は姉妹みたいだなぁ。(正解)
仲が良すぎる。
「じゃあ早速、全部開けますね」
インベントリから『食材セット』一スタック全て一括で開けてみることに。
ポチッと押してみるとインベントリに食材が色々ドロップした。
一個10個ぐらい入ってるようなので単純計算で食材が1000個くらい貰えるっぽい。
出たものがログに流れてくるからそれを元にリストを作ってみることに。
こうした方が見やすいんだとか。
――――――――――――――――――――――
獲得素材リスト
▶︎ 麦×120 ▶︎ キャベツ×60
▶︎ にんじん×60 ▶︎ トマト×60
▶︎ バゲット×120 ▶︎ 米×60
▶︎ 塩×60 ▶︎ 胡椒×60
▶︎ 砂糖×60 ▶︎ 魔ハーブ×60
▶︎ ケチャップ×30 ▶︎ マヨネーズ×30
▶︎ ソース×30 ▶︎ ニンニク×30
▶︎ 生姜×30 ▶︎ 牛乳×30
▶︎ 生クリーム×30 ▶︎ ウォーバードの肉×30
▶︎ ハードシープの肉×30 ▶︎ 仙桃×5
――――――――――――――――――――――
「出てきたリストはこんな感じですね。設定でログを出せるなんて知らなかった」
「検証用にそういうシステムが入ってるみたいだよ、やっぱりログが見れるのはいいね!」
目を輝かせてリストを見ているレイナを横目に、猫又がリストを一通り見て話し始める。
「計算した感じにゃと……バゲットと麦が一番多くて、約12%ずつにゃ。次はトマトやにんじんにゃどの野菜。塩、胡椒にゃどの調味料が多いにゃそれぞれ6%ってとこにゃ。肉とか牛乳、ソース類は3%ずつにゃ。一番低いのは仙桃で0.5%にゃ!」
「凄いですね……計算がすごく速い」
褒めると少し照れてレイナに頭を突き出す。
「偉い偉い……ヨシヨシ〜」
「にゃぁ……!」
突き出した頭を撫でくりまわしてヨシヨシをし始める。
この二人の恒例行事となったこのヨシヨシタイム。周りは2人をチラリとみるとまた始まったと横目確認したのち、作業を再開する。
……なんとなくこのクランの関係性が見えてきたかもしれない。
「でも仙桃は珍しいね」
「そうなんですか? やけに他より少ないと思ったら……」
「体力を全回復できる桃だから。高い山にしか生えてなくて取るのが大変なんだよね」
「確率は低いけど大体の食材はでるからにゃ、運がいいと思うにゃ!」
二人は知識を披露してえっへんという顔をしている。
猫又もなんとなくこんな人だとは思っていたけど、ここまで似ているとは……。
こういう時の2人は残念な女の子とでも思った方がいいのかもしれない。
そう1人で誓ったハラミだった。
==========
読んでいただきありがとうございます。
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