〜14〜今更知った二つの真実。
猫又さんはウィンドウをいじって何かを確認している。
「……よしよし、ちゃんとクランに入団出来たにゃー!」
「……ちなみに僕って何をすれば良いんですか?」
「そうだにゃー……ポーションを作ったのを納品して欲しいにゃ、対価はちゃんと払うにゃ」
ポーションを作れば良いのか……今のところは複製したやつを渡せば良いかな?
一スタックずつで足りるかな??
「じゃあ出しますね、これとこれと……」
「ちょっと待って欲しいにゃ?! 出すのは良いけどどれだけ出てくるにゃ?!?!」
「一スタックずつ?」
「……終わってるにゃ、」
何を言ってんだこいつと言わんばかりに大きなため息を吐く猫又さん。
だって複製できるんだから作った方がいいじゃん? 余ってても使わないじゃん? ってことは渡して報酬もらえた方が得なんですよ。
「まぁ一旦それをしまって、クランホームに行くにゃ」
「クランホームって、なんですか?」
知らないからポーションをしまいながら聞いてみる。
もう一度大きなため息を吐き、コイツ大丈夫なのか? と言われそうなくらい凝視されている。
「多分メニューにクランホームに戻るって奴が追加されたはずにゃ、それを押してみればいいにゃ」
「了解です」
メニューを出してみると言われた通り『クランホームに戻る』ってボタンが追加されていた。
これを押せばいいのか。なるほど、ポチッとな。
ボタンを押すと視界がブラックバックし、瞬きをした頃にはどこか違う場所にいた。
木目が綺麗な床に白い壁紙が貼ってある壁、大きな部屋の上にはシャンデリアが飾られていた。
机や椅子が並べられており、知らないプレイヤーがそこでくつろいでいる。
奥にはギルドにあったような掲示板もある。
「ここがクランホームか……!」
「そうにゃ、ここは自由に使える場所にゃ。ここでならいくらでもポーションは作れるにゃよ」
「わかりました!」
こんな場所が使い放題なのか! やっぱり人気で有名なギルドなだけある!!
こんな有名クランにいるなら有名人になれること間違いなし!
「見つかったようね、猫又」
僕が見てないところから猫又さんに話しかける女の子。
僕より少し小さいくらいの身長で、高そうなローブを着ていた。
耳はとんがっていて、容易にエルフだと想像できた。
「そうにゃ、レイナ。私が見つけたにゃ」
私がというのを強調して僕を見つけたことを女の子に伝える。
猫又さんがその女の子をレイナと呼ぶあたりからプレイヤーネームはレイナなのだろう。
「猫又、ありがとう。よしよし……」
「にゃ〜……」
急にレイナさんは猫又さんをヨシヨシし始めて、百合展開のようなものが始まった。
周りの人達はまたこれかみたいな反応をしているけど、いったい僕は何を見させられているんだろうか?
猫又さんの顔がめっちゃとろけている……会った時の猫又さんと雰囲気が違うなぁ……。
「にゃ?! ハラミ!? 見るにゃ!! 私は……、何もされてないにゃ!!」
「猫又、無理がある言い訳じゃない?」
「それもそうにゃ……。それよりも自己紹介とかはしなくていいのかにゃ?」
話を逸らしたな……。まぁいいか、ツッコむのも野暮だろうし。
「大丈夫です、僕は何も見ていませんよ」
「信じてくれて良かったにゃ」
「多分、見て見ぬ振りをしているだけだと思うよ……」
レイナさん? それは言わない方がいいのでは??
でも聞いてなさそうだし大丈夫かな……?
「そうだ、自己紹介にゃ! 私は猫又にゃ、レイナの右腕として活躍してるにゃ」
「私はこの『ユニーカー』のクランマスターのレイナです。一応クランマスターしてるけどメインはソロプレイだから。……クラン作らないとボス戦は出来ないからさ、しょうがなく(ぼそっ)」
なんかぼそっと愚痴を言ってたけど、まぁ気にしなくていいな。
「僕はハラミです、料理人してます。出来ることはポーションを作ったり料理をする事です」
「君のことはしってるよ、今有名だからね。コメントって言えば分かる?」
「…………はい?」
レイナさんは手を頭に当ててダメだこりゃと言いたげな表情ではなす。
今日、なんか凄く自分の株が下がっているような……。
「あなたって、多分あの元有名料理人でしょ? 料理のコンテストで三連覇したっていう」
「何故それを知ってるのですか?!?! まって、身バレ?!?」
「そうにゃ、ゆっくりの動画のコメントで名前出してたにゃ。ちなみにそのうp主がレイナにゃ」
なんか凄いことをふたつくらいいわれたな?!?
コメントで身バレしたのと目の前のレイナさんがあの動画のうp主?!
なんかまだ2日目なのに変なことになってるなぁ……。
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