第5話 この世界に平等などない。

 小さな子供の頃からズボンを好んで履いた。両親は反対せず簡単に買ってくれた。理由は簡単、男の子が欲しかったからだ。


 そんな性の曖昧さの中で育った。


 中学生になると制服のスカートが恥ずかしくなった。機能的でないひらひら、トイレや車の乗り降りを不自由と感じた。自然と男子の制服を着ていた。


 また、髪をショートカットにして高めの身長のおかげで王子様扱いだ。


 しかし……。


 日常は辛いモノであった。イジメに偏見、先生による問題児扱い。


 私の存在は何であろう……。


―――。


 朝起きると狭い自室であった。私の住む街は都心から離れた住宅地で、ほぼ田舎なのに一戸建ては贅沢な時代である。今日も、高校に通う為に日常が始まる。


 このスラックス姿は差別の目で見られる。


 この世界に平等などない。私が言うのだ、間違いはない。


 うん?メッセージ?


 それはメッセージアプリに届いた、かすみからのメッセージであった。


『モーニングコールだよ』


 はいはい、返事が欲しいのね。私は適当に返事を返すと朝食にする。


「どうしたの?何時もより機嫌がいいけど」


 母親が私を見て微笑んで質問してくる、流石、母親だ、かすみの存在が話さなくても分かるらしい。


「新しい友達ができたの」

「そう、大切にしなさい。あなたは孤独になりがちだから」

「はーい」


 そう言えば、メッセージアプリなど久しく使ってなかったな。孤独を例えると、流行りの動画投稿サイトの職人の名前も知らない。


 孤独か……今の時代、孤独な人など沢山いるので実感がない。


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