第4話 甘いイチゴパフェ

 放課後、かすみの歓迎会の為にカフェ『ミルクティー』に書道部の皆が集まる。この『ミルクティー』はその名の通り、紅茶がメインなのだ。穏やかなミュージックが流れ、残暑厳しい外に比べて冷房の効いたた店内は心が落ち着くのであった。


 そして、この店の看板メニューがイチゴパフェである。


 『乙女の花園』こと書道部の皆はイチゴパフェを注文する。


 あああ、私も食べたい。でも……。


 数分の沈黙時間が流れてイチゴパフェを食べたいとの欲求が溜まる。しかし、都合のいい時だけ女子に成るのも気が引ける。ここは間を取ってパンケーキにしよう。


 私がパンケーキを注文すると。


「麗葉、乙女ちっく!」


 かすみが呟く、ヤジなど要らぬ、私は妥協してパンケーキなのだ。


「それで、かすみちゃんは百合属性なの?」


 片山先生がストレートな質問をする。


「はい、先生、私は百合属性です。本当はゴスロリな女子が好みですが、麗葉の様な偏った女子も好物です」


 うむ、当たり前か、突然、私にキスをしたのだ。


 そんな事を話していると、イチゴパフェが皆の元に届く。私のパンケーキは悩んだ時間が有る為に到着が遅れている。


「ささ、かすみちゃんに、佐藤さん、鈴木さん、田中さん、いただきましょう」


 片山先生が挨拶をして皆は食べ始める。


 私は紅茶のアールグレイを飲んでパンケーキの到着を待つ。


「麗葉、アーンして……」


 かずみがサジにクリーム付のイチゴを私の口元に差し出す。


 あああ、食べたい。でも……。


 何か、さっきと同じ事を考えた気がするが深く考えないでおこう。


 それでだ、この目の前のイチゴパフェを食べるかが問題だ。


『食べちゃえよ、どうせ、かすみのサービスだ』

『ありがたく、いただきなさい、これの日頃の行いの御加護です』


 ああああああ!!!天使と悪魔が同じ事を言っている。


 私は欲望に負けてパクリとイチゴパフェを食べる。


 幸せ……などと、考える放課後の事であった。

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