第3話 書道部の『乙女の花園』化。

 その後、部室内に入り。顧問の片山先生がかすみを横に立たせて自己紹介を始める。

 その他の書道部の部員は、佐藤、鈴木、田中の女子三人組である。


「私が入ったら、乙女の花園が完成ですね」


 そうなのだ、この書道部は顧問である三十路近くの片山先生を含めて女子のみであった。


 『乙女の花園』なる、かすみのセリフに、その他、大勢の佐藤、鈴木、田中の三人から歓声が上がる。


 ホント、百合属性の強い部活だ。


 しかし、かすみは綺麗だな、制服の上からも分かる女性らしい体であった。


 まさに『乙女の花園』にピッタリの人物だ。


 それに比べて私は男装女子である。体も貧乳で、スポーツブラで済ましている。


 ま、仕方がないけれど。


「かすみちゃんも道具はあるわね、早速、部活動を開始よ」


 片山先生がかすみに声をかける。


 そうだ、私も学園祭に向けての作品作りの途中であった。


 筆を持つと、さらさら、さら……。


 書かれたのは『命』の一文字である。うーん、いまいちな気分だ。


 「麗葉、何、その外人のタトゥーみたいな題材は?」

「あ、これは半紙に『命』を吹き込むとの意味なの」

「はーさいですかー」


 ダメだ、かすみには芸術が解らないらしい。


「さ、早く、かすみちゃんも自由に書いてみて」

「はーい」


 片山先生がもう一度、かすみに書を書くように言う。


 さらさら、さら……。


 半紙の書かれたのは『竜王』であった。お前はタイトルを取った時の記者会見か?


 まあいい、私と片山先生はかすみがもう一枚書くのを待つ。


 さらさら、さら……。


『焼肉定食』お決まりの四字熟語だ。


 帰りにかすみの歓迎会をする事になった。焼肉もいいがここは女子会らしく。場所は高校の近所にある、カフェ『ミルクティー』である。

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