第20話 謎の女、四宮天現る
「自己紹介してもらいます」担任の先生が生徒に向けて話をしている。
「出席番号1番からお願いします」
「はい。阿部愛璃です。よろしくお願いします。趣味は推し活です」
「阿部さんありがとうございます!次の人!」
「井越悠。趣味は釣りです!」その後も何人か自己紹介が続いた。
「坂井千春。食べることが好きです」
「芝本夏海。趣味はキャンプです」
「堂本零時。趣味はバイクだ」先生に乗るのはまだ早いと注意されるが彼はまだ乗っていないと言い返していた。
「じゃあ、次で最後ね!えっと星宮・・・」先生が話していると急に扉が開いた。
「すみません!遅れました」
「初日そうそう遅刻か九条」
「すみません!」
「ついでに自己紹介しろ」
「四宮天。よろしくお願いします」
「じゃあ、最後に星宮。自己紹介」
「星宮叶といいます。よろしくお願いします」
「星宮、なにか趣味とかないか?四宮もそうなのだが」
「私の趣味は身体を動かすことだよ!」私が趣味を言う前に四宮さんが先に言った。
「私は、これといって特にありませんがアニメ見ることが好きです」四宮か、四条となにか関係あるのかしら。彼女を見ていたら目が合ってしまいすぐに視線を逸らした。
「これで自己紹介終わりですね!それでは次は校内見学しましょう!」先生の指示に従い教室を出て職員室に向かうことになった。
「ねぇ、星宮ちゃん」移動中、話しかけられる。
「何かな?四宮さん」
「もう、天でいいよ」
「天さん、私になにか用ですか?」
「後で話があるの」そう小さい声で言われる。
「分かった」校内見学も終わり教科書よ配布も終わり放課後になるとほとんどの生徒が帰宅するか教室に残って話している中、私は屋上に向かっていた。
「待ってたよ!叶ちゃん」
「天さん、すみませんがこの後、用事があるので早めにお願いします」
「叶ちゃんたら!もうすっかり女の子だね!」
「何を言ってるんですか。私は生まれてから女の子ですよ」もちろん、これは嘘だ。見ず知らずの人に教えるほどのことでは無い。
「もう嘘ついちゃってぇ!星宮叶太さん?」
「なんのことだ」まさか入学早々クラスメイトにバレるとは、これじゃあ俺の学校生活が台無しになってしまう。
「勘違いしないでくださいよ。私はただ伝えることがあるだけです」
「はい。あなたは薬を2回服用しましたね?」
「あぁ!それがどうした?」
「結論から言いますがあなたはもう男に戻ることは不可能です」
「なんだって?もう戻れない?」
「はい」
「最初に飲んだ時は戻れたよな?」
「それは飲んだ薬が違うからですよ」
「あなたは最初に男から女に変わる薬を服用しました。ですがその薬には副作用がありました。風邪のような症状はありませんでしたか?」
「そう言われるとあったな」
「そうですよね。本来なら薬を投与した人物が気付いて解毒薬を飲ませなければいけません」
「つまり、俺は不安定な状態の上で2回目の薬を摂取したから、男には戻れないってことか」
「えぇ」ここで彼女の言ったことを思い浮かべると疑問が残る。姉さんはなぜ解毒薬を俺に投与しなかったのかということだ。
「ありがとう。天さん。自分の体のことがよく分かったよ」
「気にしないでください」
「それじゃあ、またね」私は天と別れてすぐに四条家に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます