第19話 出会い

「おはよう」朝登校するとクラスメイト達が恥ずかしがりながらお互いに挨拶していた。もちろん全員が表立って挨拶している訳では無い。恥ずかしがり屋な者、声が小さい者、なんて声を掛けて良いか分からない者などはじめましての状態ではなかなか声を掛けにくい者が多いように見られる。その点は私も同じだ。朝、登校する時はみう以外の生徒にどう声をかければ良いのか分からなかった。

「席について!」考えごとをしていると四葉先生が教室に入ってきた。

「はーい」

「今日は先生が号令をかけますが月曜日からは日直にやってもらいます」先生の言ったことに対して返事した生徒が少なかったため返事をするように注意される。

「はい!」

「まだ慣れないのは分かりますが挨拶はきちんとしてください」その後、先生はこう続けた。

「話したいのになんて話しかけたらいいのか分からない。そう思っている人もこの中に少なからずいるかもしれません。ですがあなたがそう思っているように相手もまたあなたと同じことを思っているはずです。なので最初は恥ずかしいかもしれないけど勇気を持って声をかけてみてください!挨拶からでもいいと思います」言葉を止めて生徒の顔を見る。

「長くなってしまいましたね。15分の休憩を挟んでから自己紹介してもらいます」先生がそう言うと私たちクラスメイトは「はい!」と返事をして休憩時間に突入した。

「ねぇ!あなた、名前なんて言うの?」隣の席の女子生徒から声をかけられた。

「星宮叶よ!あなたは?」

「あたしは神宮寺真紀。よろしくね」

「こちらこそよろしく」今回、みうとはクラスが違うためこうして話しかけてくれる子はありがたい限りだ。

「先生の話長かったよね」

「そうね。でも良いこと言ってたと思うわよ」

「そうかな?」

「あぁ見えて人間関係で苦労してるのかもしれないわね」

「教師なのに?」

「教師も人間よ」

「なんか、叶ちゃん凄いね」

「そんなことないわよ」真紀と話しているとチャイムが鳴り先生が教室に来た。

「それでは、自己紹介始めます」高校生でどのくらいの友達が出来るかクラスメイトと仲良くやって行けるかがこの自己紹介で決まる。

「失敗すれば陰キャ確定かも」と心の中で思った私であった。

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