第18話 別れ
入学式が終わり学校から帰ってきた私は姉がなかなか帰宅しないため心配していると30代くらいの男性が家を尋ねてきた。
「それで、姉さんに関することですか」
「えぇ」
「その前にあなたの事を教えてもらえませんか?」
「私はあるラボの研究に出資をしている会津道明と申します」
「ラボ?」
「あなたのお姉さんが所属しているラボです」
「そうでしたか」
「ある資産家の命令で出資することになったのですが、、」道明さんは姉が居なくなった経緯を詳しく話してくれた。
「つまり、ラボから薬の被験者リストが無くなったと?」
「えぇ」
「そのことと姉に何か関係があるんですか?」
「かなこさんが持ち出したのではないかと思われているんです」
「姉が?」
「はい。なので家に戻っていないかと思い来てみたのですがどこにいるかは心当たりないですか?」
「すみません。私も先程帰宅したばかりなもので」
「そうでしたか」
「でも、姉はここ最近、様子がおかしかったので何か悩んでたのかもしれないですね」
「そうでしたか」道明さんと話していると着信が入る。
「もしもし?」
『叶ちゃん、ごめんね』
「姉さん!今どこにいるの?」
『ごめんなさい。それは言えないの』
「どうして謝るの?」
『本当にごめんなさい。叶、あなたとは一緒には居られないの』
「謝ってばかりいないでちゃんと説明してよ!」
『さよならだね。バイバイ、叶』そう言うと姉さんは通話を切った。
「すみません、切れてしまいました」
「そうですか」それ以来、姉は一度も家に帰ってくることは無かった。
「すみません、道明さん」
「気にしないでください」
「姉はどこにいるんでしょうね」
「生きてさえいればきっとまた会えますよ」
「そうですよね!」私は姉が生きてくれていると信じて会えるまで頑張る。それだけだ。
「それでは私はこれで失礼します。カナさん」
「遅くまですみませんでした。被験者リスト見つかるといいですね」
「姉さんいないと寂しいな」道明さんがいたため元気に振る舞えていたが1人になった瞬間、悲しみで溢れ涙が出てきた。
「弦水さんに四条家で暮らしてもいいか頼んでみるか」1人でいるのも辛いため明日、学校が終わり次第、四条家に行くことにした。
「暮らせるか分からないからまだ荷物の整理はしなくてもいいかな!」これから先のことが色々と不安だが考えても仕方ないためこの日は寝ることにした。
「あれ、そういえば宿題してない。明日みうに見せて貰えばいいか」翌朝、私はみうと一緒に登校した。
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