「姉さん、ただいま」

「おかえり、叶」

「姉さん、聞きたいことがあるんだけど」

「なに？」

「今朝、私がリビング出た時、何か言ってたよね？」直接聞くか迷ったが、後から誰かに聞かされるのも嫌なため姉に直接確認することにした。

「やだなぁ叶ったら！姉さん何も言ってないわよ？」

「いいや！言ってたね！聞こえたもん」

「分かったわ！ちゃんと話すから、落ち着いて」

「私は落ち着てるわ！それで、何言ってたの？」

「父さんと母さんのことよ」

「パパとママのこと？そういえばここ最近見てないわね」

「その父さんと母さんが来週帰ってくるの」

「それ、ホント？」

「ホントのことよ」叶は私の目の前で「やった！」と喜んだ。この時、私は心の中で叶に謝っていた。本当のことを言えなくてごめん、と。叶が真実を知るのはだいぶ先のことになるだろう。

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