第9話

警察手帳の方がまたしても聞いてくる。




「…………」



「未成年か。未成年がこんな時間まで働いて……」



「二十歳です」



「は?」



「二十歳だと言ってるんです」





腹が立つ腹が立つ腹が立つ。




こんな時間まで?



好き好んでこんな時間まで働いてる訳じゃねぇよ。




あたしのことを何も知らないのに、警察ってだけで偉そうに常識を押し付けてくるな。



反吐が出る。



しかし実際は17歳でそれがバレれば店に迷惑がかかる。




こんなあたしを雇ってくれたオーナーに。




給料も良いから、"flower" を辞めさせられるのは死活問題だ。




「小杉、今は……」



「チッ。早く帰れ」



「…………」




それには答えず一歩踏み出すと、後ろで走り去る足音が聞こえてくる。




「ふぅ」




その音が聞こえなくなるのを確認してから、あたしは戻るとネットを外した。













「もういいよ」

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