第10話

そう言ってゴミ袋を2,3個取るとムックリと男が立ち上がった。



ハッキリ言って汚かった。



どれかのゴミに汁が入ってたのが漏れてたのか、所々濡れてて臭い。


染みまで出来てるが、あたしのせいじゃない。




「…………」



「警察はあっちへ行った。そこの通路を右、左、左に曲がればアイツらに見つかることなく本通りに出られるよ。じゃあね……クシュッ!!」




くしゃみ出た。



うぉおおおおおお、寒い。



風邪なんて引いてられないのに。




早く店に戻って家に帰ろう。



男に道を教えたあたしは今度こそ店へ……。




「おいっ」




……はぁ。



なんだよ、帰してくれよ。




「なんで俺を助けた」



「はぁ??」




助けてもらえた、それでいいじゃん。



理由なんている?




面倒だと男を見れば、真剣な表情。



助けた理由……ねぇ。




「ひねくれてるから」



「は?」



「あたしの性格が悪いからだよ……クシュッ!!」




正しいものなんてクソくらえだ。



逆らいたくなる、それだけ。




ふふ、自分の性格の悪さに笑うとまたしてもくしゃみが。



う"う"ー寒い寒い。




「ほら、助けてあげたんだから、すぐに捕まりましたなんて無様な真似は止めてよね」




それだけ言うと寒さ限界……あたしは走り出した。





「おいっっ」

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