第4話

中学生になっても変わらない。



というわけにはいかなかった。



友達も増え、付き合いも増え……



性格も明るく、顔も……まぁ整っていてカッコいい…と言えなくもない太洋は男女ともにモテているようで。




「太洋ーーっ、遊ぼうぜぇ!!」



「太洋ーっ、遊ぼうよー!!」




そんな声がひっきりなしに太洋にかかる。



そのたびに




「悪い!!暫くは遊べねぇわ!!」




と太洋は返す。



暫くとはあたしが帰るまで。



素直じゃないあたしは、それを嬉しく思いながらも




「遊んできていいよ?」




なんて可愛くないことを言う。



本当は嫌なのに。



でも太洋は




「あ?お前が来てるのに、行かねぇよ」




って。




「そんなにあたしが良いってか」



「バーカ」




笑った太洋に頭をクシャクシャッと撫でられた。



ドキドキ。



この時、初めて心臓が高鳴ったのを今でも覚えている。



そして帰りたくない……と思うようになったのも。




「なんだ、元気ねぇな。お前が元気でねぇとつまんねぇぞ」



「だって……」



「なんだよ」



「……帰りたくないなって」



「……」



「……」



「フハッ!!」



「笑うなっ」



「また来年があるだろ」



「そうだけど……」



「そうだ!なら、お前こっちの高校受ければ?!」



「っっ」



「それならずっと一緒だ!!」




太陽が海に沈む、ほんの壱刻。


砂浜で七色の空を、青が濃くなる海を見ながら、小指を絡め約束をした。




ずっと一緒ーー。




「受かれよ?」



「アンタの方が心配なんだけど?」



「おおぅ……」



「アハハッ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る