第3話

365日の中のたった数十日。



小学生になっても宿題もそこそこに、あたし達はほとんどの時間を海で過ごした。



太陽の光を浴びてキラキラと輝く海。


空と海が交わる地平線は色の違う青で、ずっと見ていても飽きず、あの向こうには何があるのか話し合ったりもした。



どっちが長く潜れるか……



『俺だっ』



『あたしだっ』




どっちが小島まで速く泳げるか……



『俺だーーっ』



『あたしだーーっ』



砂浜で大きな大きな城作りにもチャレンジしたり……



『そこっ、そこは俺の部屋だっ』



『なんでお城にアンタの城があるのさっ』




ほぼ……遊ぶというより競争……ケンカしてたな。



最後はいつも砂浜で倒れるように眠るあたし達を、お祖父ちゃんが、太洋のお父さんが抱きかかえて連れて帰ってくれていた。

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