第8話:バカザクロ。

「ハジメちゃんは街角の隅にでも隠れてて、巻き添え食って死んじゃったら

私泣くから・・・」


「泣くからって・・・はいはい・・・弱者は邪魔にならないよう遠くから

見てるから・・・」

「でもさ、よくあるじゃん、怪獣映画で怪獣同士が戦ってるのに主人公たちが

ビルの上から怪獣が戦ってる場面見てるって演出」

「あれって、絶対戦いに巻き揉まれるって思わないか?」


「なに訳の分かんないこと言ってるの?」

「いいですから・・・邪魔にならないところに待機しててください」

「戦いがはじまったらハジメちゃん、守れまないからね・・・」


「じゃ〜行ってきますからね・・・」


「頑張ってね、キュート」


キョーとは俺に手を振ってザクロがいるところまで飛んで行った。


「体に空飛ぶ機能ついてるなんて・・・なんかもっとすごいこと

見れそう」

「魔法が使えるって言ってたし・・・」


「お〜い、バカザクロ、ポンコツUFOから顔出しなさい?」


外から、なにやら大声で自分の名前を呼んでるやつがいると思ったザクロは

UFOの窓を開けて下を見た。

するとそこに、めっちゃかわゆい女の子が手を振っていた。


「お〜い・・・バカザクロ、こっちこっち、こっちです」


「んん?・・・あれは?・・・なんだ、あの小娘」

「おい、おまえなにしに来た・・・怪我しないうちにお家に帰りな」


「降りて来なさいよ、バカザクロ・・・」


「バカバカ言うな、カワバカ女が・・・」


「カワバカってなに?」


「可愛いけどバカな女のことだよ、バカ」


「バカにバカって言われたくないです」


「いいから帰れ・・・戦う気にもならん、ひねり潰すされたくなかったら

とっとと・・・」


ってバカザクロが全部言う前に、キュートがいきなり飛んできてバカザクロの

顎にパンチが炸裂した。

そんな不意打ちを食らってバカザクロはちょっとビビった。


「くっそ〜なんてバカパンチなんだ・・・カワバカ娘をあなどっておったわ」


「もう一発あげましょうか?・・・あ、面倒くさいから消しちゃおうか?」


「消す?・・・消すってなんだ、おまえそんなことができるのか?」


「私、魔女だから・・・あんたをゴキブリに変えちゃうことだってできちゃ

いますし・・・月にでも飛ばしてあげましょうか?」


「ちょ、ちょっと待て・・・いいか?待てよ・・・へんな魔法使うなよ」

「出直してくるからな・・・」


キュートにいきなり強烈なパンチを食らわされたザクロは、慌てて逃げ帰って

パパイヤに報告した。


「モニターで様子を見ておったわ、バカめが」

「あんな小娘ごときで、すごすご引き上げてきおって・・・情けない」

「あんな女にビビって引き返したとあっては私の沽券に関わる」


「でも相手は半端ない力を持ってるし、魔女だって言ってますよ、敵には回し

たくない娘かと・・・」

「あいつのせいでわが軍が全滅する前にパパイヤ様にお伺いを立てようと

思いまして・・・」​

「パンチ喰らったくらいでなにビビってんだ、情けない」

「なにが魔女だ・・・そんなもの宇宙には似たようなエイリアンがわんさかおるわ

そんなのにいちいちビビってたら侵略なんてできんわ、バカめが」


つづく。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る