第7話

郁は毎月定期受診のため、病院に通院して

いる。

この日は母が学校まで迎えに来る。

高校生だから大丈夫だといくら言っても、母は譲らなかった。

「状態は安定していますね。投薬の効き目もいいようです。ですが決して無理はしないで下さい」

医師の言葉を聞いて、母はホッとしていた。

郁はその様子を横目で見た。


生まれた時から心臓に重篤な障害を持っていた郁は、生まれて直ぐに手術が必要だった。

それから手術を繰り返した。

子供の頃から入退院を繰り返していた。

母は郁のためなら何でもした。

食事に気を配り、無理はさせず、常に郁の身を案じていた。

妹の凜もそんな母を見て育ったせいか郁を常に気にしている。

母は過保護と言って良かった。

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