第5話 両親の名は
「シオン!そろそろ起きなさい!ご飯できてるわよ!」
「わかったよ母さん、もう起きる。」
はい、という訳で5歳になりました。やっとこさ流暢な会話ができております。中身は高校3年なんだけどね。もうそろそろ母さんがもう一度起こしに来そうなので下に降りようと思います。
「おはよう。今日のご飯何?」
「オムレツよ、早く食べなさい。冷めちゃうから。」
「はーい。」
母さんの料理は毎日美味しい。ここでも地球と同じようなご飯があるようだ。
「あれ?父さんは?」
「農作業よ、もうすぐ帰ってくると思うわ。」
「そっか。」
そう、うちは農家である。実は俺はある事を期待していたのだ。それはうちが貴族の末裔とか、お偉いさんだったとか。しかし現実は違った。神様よ、容姿もそうだがもうちょっと『転生しました!』みたいにしてくれ。黒髪黒目で農家…主人公じゃねぇー!まぁ農家もいいよ。お野菜美味しいし、土仕事は面白いし、たくさんできた時は嬉しいし、でもさ!でもだよ…
「シオン?何ぼーっとしてるの?早く食べ終えて?」
「あぁごめん。」
自分でも思うが会話は5歳にしては大人っぽいと思う。ただ子供っぽくというのがわからないのだ。まぁ両親は初めての子だったようで全く違和感を持ってないのが救いだ。
「ただいまーおぉシオン!起きてたのか。」
父が帰ってきたらしい。
「うん、今日は何が取れたの?」
「トマトが取れたぞー!出来のいいやつだ!」
「そっか、よかったね。」
朝食が終わった後、俺はずっと聞きたかったことを聞くことにした。
「ねぇ父さん母さん、ちょっと聞いていい?」
「ん?なんでもいいぞ!なんだ?」
「父さんと母さんの名前って何?」
そう、俺は両親の名前を知らない。だってお互い呼ばないのだ。あなただとか、君だとか…すると父さんは快活に答えた。
「なんだ!そんなことか、ははっ!言ってなかったか?」
「一度も言われたことはないよ。」
「じゃあ教えようかな!僕の名はキルス。キルス・ハーバーだ!」
「私の名前はヒイラ・ハーバーよ。」
「わかった、父さん母さん。」
「それだけかい?」
「うん。」
「そうか!じゃあ一緒に畑へ行くぞ!」
「はーい…」
やっと両親の名前がわかった。というかこの年だと父さん、母さんとしか呼ばないから知る必要がなかったのかもしれないな。
よし…農作業にいきますか…
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