第1章〜転生〜

第2話 転生

それは、海に落ちていくような感覚だった。

「(あぁ俺、死ぬんだな…)」

意識を手放してからずっとこんなふうに漂っている気がする。その時だった。

グイッと腕を引っ張られるような感覚があった。

「(誰が…?)」

刹那、辺りが光り輝き自分の足が地面についた。目の前には白い服をきた二人の男がいた。

「お前、誰だ?」

そう聞くが相手はニコニコと笑うだけで答えてはくれない。急に鐘の音が鳴った。

「創造神様の御成です。」

二人の男が淡々と頭を下げながら言った。

「(俺も頭、下げとくか。)」

そう思い、頭を下げてみた。が、創造神とやらが全く出てこない。

「(おいおい、遅すぎだろ。何が創造神様の御成です、だ!)」

そろそろ頭を上げようと思った時、それは現れた。

「やぁ!初めまして!ごめんね!遅れちゃった!」

それはそれは軽い声が聞こえた。

「あっ!頭あげて良いよ!」

そう言われたので顔を上げた。するとそこにいたのは男か女かわからない不思議な人物だった。

「君が人間界?って所で死んだ可哀想な青年だね?」

「えぇ、まぁ…」

流石に創造神とやらにタメ口はまずいだろう。そう思ったのだが…

「あっ、タメ口でいいよ!僕、そういうの苦手なんだ!」

と、軽ーく流された。そう言われてタメ口を使わない訳にはいかなかった。

「わかった。で、何でここに呼んだんだ。」

「あっそうだった。君、異世界に転生ね!」

「あぁそうか。」

と言った後、やっと言葉を理解した。

「(異世界!?転生!?何で!?いやここどこ!?)」

聞くことはたくさんあったが口からは全く出てこない。

「じゃあバイバイ!」

いや、ちょっと待て。バイバイじゃないんだよ。

「待て待て待て、え?転生?異世界?あっ本当に俺死んだんだ!?」

一度口が開くと濁流のように言葉が出てきた。

「うん!まず君はね無差別殺人に巻き込まれちゃったんだ!

普通だったら輪廻の輪でも入るんだけど、ちょうど神代の月が変わって10000人目の死亡者だったんだ。だから特別大サービスで、他の世界行かせてあげようと思って!」

軽い、軽すぎる。そんな感じで転生者選んでいいのか!?

「うん大丈夫だよー!後、君の思考聞こえてるからね。」

聞こえてんの!?プライバシーは!?

「ないよ!」

本当に聞こえてるじゃん!

「で、まぁそんな感じで転生生活頑張って!僕、干渉滅多にできないけど。」

「え?それだけ?他は?」

「君が自分で調べてね!じゃあ初期設定とかは任せてよ!今度こそバイバーイ!」

足元がパカっと開き、俺はまた落ちて行った。

「人のことを初期設定とかいうなー!」

最後の最後に思ったことを叫んでおいた。聞こえてるのだろうか。

と、いうか初期設定とは?考えていられるのは一瞬だった。

周りが光り、俺はまた意識を失った。

次に意識を取り戻すと、そこはベットの上だった。

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