38.2℃

欠席連絡を送ってもらっただけで、少しだけ体が軽くなるのはどうしてだろう。


ベッドのサイドテーブルに置かれたばかりのポカリスエットを飲んでから、また目を閉じる。


真っ暗な闇の中で、一定のリズムなのに、荒く、投げやりな呼吸が聞こえてきた。


ふと、少し前に見た、闘病のドキュメンタリーを思い出す。


実は重い病気で、このまま死んだらどうしよう。


確かあの動画の人も、最初は普通の風邪だと思ったって、そう言っていた。


私が、そんなわけないよね。


あの動画の人も、同じことを言ってたっけ。


思考が回るたびに鈍くなっていって、いつからか眠っていたみたいだ。


どこかで通知の音が鳴ってそのことに気付いた。


「13:12」「友達からのメッセージ」「ゲームアプリの通知」


ぼやけた視界で返信を打ちはじめる。


『ありがとう!もう熱も下がってきてて、明日には行けそう』


送信したあと、お腹が空いていることに気付く。


本当に明日には学校に行けそうなのが、少しだけ残念だった。

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