第9話

「それがきっかけで仲良くなれたんだから、良かったじゃない。まぁ、それからは積極的に孤児院に行くようになったり、花屋のお手伝いをするようになったの。そして、あの子はこう思うようになったの。『もっと、世界を知りたい。国民の上に立つには自分は余りにも無知すぎる』。そして、国王陛下に、こうお願いしたの、『成人を迎えるまで、ただの国民として暮らしたい』。国王陛下はそのお願いに、条件を付けて承諾したの。絶対に自分の身分を明かさないこと、私の下で暮らすこと。だから、どうしても、エレンちゃんに自分のことを話す事が出来なかったの。本当にごめんなさい」


「フレアおばさん......」


「カイルはあと2日で成人を迎えるわ。王子に戻る前に、ただのカイルとしてケジメをつけるため、エレンちゃんへ想いを告げたのよ。本当は誕生祭の前日までが約束のリミットだったんだけど、国王陛下が本当に戻ってくるのか心配で、というか、早く会いたいがために、こんな暴挙に」




フレアおばさんは、長いため息をつく。





「じゃあ、カイルは今お城に?」


「ええ。けど、大丈夫よ。告白の返事は明日までだったでしょ?私が何とかしてみせるわ!」


「えぇ!?相手は国王陛下ですよ?!って、何で告白の返事が明日までって知ってるんですか?!」


「ふふふっ」


「笑って誤魔化さないでくださいー!」

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