第7話

その帰り道、私は自転車を押して帰っていた。

ゆっくり、フレアおばさんに言われた言葉を考えたかった。


「エレン?」


ふと聴き慣れた声に顔をあげると、そこには私の悩みの原因が立っていた。


「…げっ…カイル……」



私は思わず回れ右をした。


「待てよエレン!!」

「…ま、待てません!!」


私は急いで自転車にまたがったが、カイルがハンドルを押さえつける。


「話を聞いてくれ、何もしないから」


カイルが必死な声で私に訴える。


「……わかったよ。但し1メートル位離れてよね」


カイルは苦笑いをすると、私から離れた。


「昨日のこと。俺がお前を好きだって言ったこと。あれは本気だから」


近くの公園でカイルがベンチに腰掛ける。


「本気だから、お前にしたことを俺は謝らない」


「そ、そんなこと困るよ」


私は視線を逸らした


「困るか……。承知の上でお前の返事を聞きたい」

「返事って......今?」

「今って言いたいところだけど、昨日の今日だし」


カイルは自嘲気味に笑うと、視線を地面に伏せた。


「俺の誕生日の前日までには返事を聞きたい」


誕生日前日ってことは、私に与えられた期間は後3日ってこと?


「それで俺は覚悟を決めるから」

「覚悟って」


カイルはおもむろに立ち上がった。


「わっ!何?!」

思わず身構える。


「何もしねぇよブス」

「ブスって……もうまた……そんなブスのことが好きなくせに」

「そうだな」

「うっ」


素直にうなづかれると、調子が狂う。


「家まで送るよ」

「えっ?、いいよすぐそこだし」

「少しでもいいから、お前と一緒にいたいんだよ」

「…カイル熱でもあるんじゃ無いの?」

「うるさい」

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