第5話

「ばっ、ばか!何してんの!!」


私は慌ててカイルを押しのけるが、力強い腕がそうはさせない。


「カイルはなしてっ!」

「いやだ。俺はもうお前に家族なんて思われたくない」

「なんで…そんな……急に」

「急じゃない。小さい頃から俺はーーずっと…ずっとお前を1人の女の子として見てきた。好きだったんだよ!!」

「ーーーーっ!!」


今度は深く口づけをされる。


「やっ!ーーーーカイ、ル……んっ!!」


息をつく暇さえない。一体どうしたのだろう突然に。

こんなのカイルじゃ無い。


胸を叩くがビクともしない。


(もう、この私の怒りが見えないの?!)


必死に抵抗するが、身体の力が抜けてくる。


(息がもう......)


その時だった。軽快な音がカイルの頭から響いた。

「何してんだい!!カイル!!」


いつの間にやら戻ってきたフレアおばさんが、新聞紙でカイルの頭を叩いた。私はその隙を狙って今出せる精一杯の力でカイルを押した。


「ーーーーっ!エレン!!」


私は全速力でお店から出て行った。




***************





「はぁっ......はぁ......」


私は倒れこむように家の玄関に突っ伏した。


「ーーっ、何なのよ当然......馬鹿カイル」



無意識に指が唇をなぞる。



「ファーストキスだったのに」

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