崩壊世界と魔法狼

柏兎 レイ

第1話 不思議な祠と1人の狼

 空は灰のように染まり日は差していなく気温も伴って低い。周りの景色は色々な建物のような瓦礫が積み重なっているのであった。そして、その中を数人の衛兵と1人のローブを纏った狼であった。


 「コラァ~!そこの狼。止まりなさい」


 そう怒鳴るのは衛兵であり、目の前のローブで全身を被われた者を追いかけていた。そして、前を走る者のフードから見える顔がにやけた時、彼は地面を思い切り蹴り空中を浮くのであった。そして、撒こうと目で追い付けないくらいの早さで飛んでいくのであった。


 「もういいかな」


 そう言いローブを着た者はゆっくりと地面に着陸してフードをとる。中から現れたのは整った顔つきと頭についている狼のような耳であった。そして、彼は近くの瓦礫の上にしゃがみこむのであった。

 彼の名は、ゼロ・ナミルク。身長は170cmくらいであり種族は人に近い体つきの狼の獣人である。そして、彼が先程衛兵に追いかけられていたのは幾つかの理由がある。1つ目は、単純に食料の盗みを働いたことと、もう1つは魔法を打ち国王邸という国王の住居の壁に大穴を開けたからだ。

 それにより彼は日常的に先程のようなおいかけっこをしている。しかし、ゼロは魔法使いであり空を先程のように飛べるのですぐに撒いていた。しかし、なぜ食べ物を盗んでいたのか。そして、彼の周りには瓦礫しかないのか……。時は今から3年前に遡る。


 3年前、彼のいる周辺には大きな王国があった。文化・経済がこの世界のトップクラスであり、ゼロもここで暮らしていた。しかし、ある日悲劇が起こる。時は更に遡り130年前。当時五代目国王が現存していた頃であり、まだこの国が発展途上の時。その頃にこの世界で活躍していた占い師にこの国の命運を聞くのであった。すると、その返答はこうであった。


——今から130年後にこの世界は崩壊する。


 その予言通り130年後、空が急に赤紫色で被われて更に稲妻のような物が降ってきて一夜にして王国は、崩壊するのであった。農作物も日の光がないために育たず値段が上昇。一部は、魔法使いが集まり魔法で太陽を擬似的に作り上げるがコストがかかり、それを回収するために値段を張らせたので全員には滞っていない。更に職業もほぼなくなり失業者は、その食物を買える金すらもない状況であった。ゼロも例外ではなく、ギルドに入っていたがギルド自体がパンクし再起不能となり強制退会とされた。そして、稼ぎ口がないために盗みを働くのであった。


 瓦礫に座ったままのゼロは先程とってきたポテトを取り出して炎を手から出して丸焼きにするのであった。そして、きれいに皮をむき食べ始める。


「食うもんないなら。盗るしかないもんなぁ」


 そう口をこぼしながら全て食べ終わり立ち上がる。そして、歩きだそうとしたその時であった。後ろの方で何かに呼ばれるのであった。それもフルネームで。そして、その方向へ歩くと理解しがたい言語でかかれた祠を見つけるのであった。サイズはゼロと大差ない大きさであり模様も描かれていた。


「なんて書いてあるのか読めねぇ」


そう言い適当にほこらに触れる。するとゼロの尻尾が逆立ち彼自身も後ろに下がる。そして、顔は少し驚いていた。


「魔力が吸われる……!?」



 また祠に触れて次は意識的に魔力を流すと、祠の周りの紋様が青く光だしてその一帯を包み込む。そして、数秒後。空は青空が広がり荒れ果てた地面には緑が戻っているのであった。


「なんだ。この祠は」


そう言いその場を後にするのであった。


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