虫を踏み潰したつもりが

沼田衛次

虫を踏み潰したつもりが

弱者を虐めていたつもりが虐められていたのは私だった。

バッタを、カナブンを、カミキリムシを踏み潰していたつもりが、踏みつけられていたのは私の方だった。

芋虫は汚いから踏み潰さなかった。

私は他の人からしたら芋虫ではない虫だった。

はしゃぎにはしゃぎ、調子に乗りながら下手な踊りを踊る私は長靴で踏み潰されて然るべきだった。

残ったのは汚い汁のみだった。

べちゃり。

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虫を踏み潰したつもりが 沼田衛次 @kuroro087

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