第20話 真実

「俺は才能で物覚えと体力、そして頭が良かった。

回りのみんなはただの馬鹿にしか思えなかった。

だから言ってやったんだ。皆に「君たちはこんなことも理解できないのか?馬鹿め」と。


当然だと思っていた。


相対性理論の説明をしただけで「あほくさ」なんて言ったんだ。


その時にこいつらのことを馬鹿だと思った。


違った。


ただ単に俺が頭が良かっただけだった。


学校でテストがあった時に簡単だと思っていた問題が皆からは難しいらしくて、

俺の持っていた本について先生に聞いてみると先生は全く良く解らん何て言って

た。


「頭いいね!」


日常茶飯事過ぎてこう言われていることになんの違和感もなかった。

高校生になったときに、頭の良い人だけが行ける 大学があるって聞いて、俺は

限界を越えたいと思い、大学に言った。


そこには天才が沢山居て、俺は初めて自分と同じ様な人と知り合って、同じように

話が通じあった。


その大学に入って自分の知らないことをもっと沢山知った。


夏休みに入った時に友達が自由研究をしよう!何て言われたから自由研究で冬眠

に関する研究をした。


冬眠を一工夫して使えば永遠に年を取らないまま眠っていられるのではないかと

思ったからだ。


俺達は棺のようなタイムカプセルのようなものを作った。



実験として俺はその中に入って南極で一晩過ごせるのか、実験した。強度や温度

調節が上手く行くかの試運転だ。


人間が中にいた方がやり易いと無理をこねて言ったのだ。


棺のようなタイムカプセルのような装置を俺らはアイスカプセルと名付けた。


アイスカプセルを運び、氷の湖の上において一晩過ごそうと思い、起動した。俺

は眠気に誘われた時にに湖の氷が割れて湖の中に落ちる音を聞いた。


そしてアイスカプセルは人の手によって回収されることは無かった。


次に目を覚ましたのはこの世界でヘファイストさんがアイスカプセルの蓋を開け

てほの暗い青いライトを浴びたときだった。


『だいじょうぶか?』


何を言っているのか分からなかった。俺はすべての言語を覚えて完璧にマスター

したはずだが、初めて聞いた言葉だった。


俺はこの世界に来た。この世界に人間と呼べるような体をしたやつは居なかっ

た。


少なくとも耳が尖っているやつか、頭の横ではなく頭の上に生えている獣のよう

なやつしか居なかった。


最初は異世界転生でもしたか!?なんて非科学的な事を考えてしまったが、そん

なことはなかった。


どうやらここは俺が居た西暦2023年の地球ではなく、2億2023年の、地球とは違

う人類が住めると思われていたケプラーという惑星に来てしまったらしい。


ヘファイストさんが喋っていた言葉のルールも英語と同じ様な感じだったし、い

くつか、国の名前が同じものもあった。


しかし、星が地球ではないことから地形や名物。昔に建てられた家の風景も全く

違った。


それも当然でそもそも地球ではないのだから。


ヘファイストさんは俺をジャンク物の売り場にあったものを買ったら出てきたら

しい。


ヘファイストさんが言うには、海から引き上げる際に地球はゴミが流れているの

で、鉄製の物などはジャンク品として売られるんだそう。


俺はこの世界のことを調べた。


人間のことが書かれていた書物は少なく、俺のこともヘファイストさんは良く分

からなかったようだった。


しかし、驚くことは決してなかった。


この時代では生物を新しく誕生させる技術があり、生物を誕生させたりするのは

違法じゃないらしい。


そもそも違法という概念がなかった。


あるのは生物の殺傷する者を取り締まるアールグレイだけ。


アールグレイはこの世界の政府ののような物でもあるようだ。


2億年後の世界ではそう呼ばれているものがあった。


そして俺は最も実感したのが、俺が知っているレベルより遥か上の文明がそこに

はあった。


何か一つ作るとしよう。


例えば全自動で食器を洗えるものとかを。


俺は機械の中に入れて食器自動で洗ってくれる機械を作るとしよう。


だが2億年後の世界では、洗わなくても良いらしい。


例えば食器を使いたい時、食器がプラズマの塊のような物質から生成され、いわ

ゆる紙皿のようなものが電気によって生成される。


何となくの仕組みは、電気を空気と一緒に光の速度で圧縮すると、セトラメント

固形物質という、高熱で電気と空気に戻る物質が完成するらしい。


そして何よりも、2億年後の世界でもっとも実感したのが、『核』の存在である。


核はこの世界にとって必要不可欠の存在である。


例えば、航空での検査で直ぐに検査ができたり、何かに登録するときID代わりに

なったりと便利なものだ。


何より、一番は戦闘ができる。


魔術の攻撃、スキルの攻撃、アイの攻撃。不良などに絡まれた時は特に自信の防

衛に便利である。


ヘファイストさんが言うにはこの世界で生きていくためには時には自分を守る術

を持たないと行けないと言っていた。


そこでヘファイストさんが言うには、自分の身を守るには、『魔法』『魔術』

『スキル』の3つがある。


スキルは体の核からエネルギーを出して、そのエネルギーを使って出すものなの

で、俺には無理だった。


次に魔法。


ヘファイストさんは魔法とは魔力を持つ者が使えるものだと言った。そんな胡散

臭い物が使えそうにはないので無理だと思った。


最後に魔術。


魔術とは、魔術の紋章を作ることによって精霊に指令を出し、意のままに操る術

である。


魔術は複雑に組み合わせることによって色々なことができるようになるらしい。


俺は魔術を選んだ。


というかそれしか選べなかったのもあるが、、、


それから俺はというもの、魔術の研究をして、それがアールグレイに認められ、

俺は魔術の研究者としてこの世界に生きていくことになった。


それから1年あたりたったころ。


幹部になりたての頃だった。


魔術に関して古い資料が残っていると言われていた城に行ったときだ。


そこには、悪魔が居た。


悪魔の名前はパモン。


人を操る能力を持っているらしい。


俺はパモンに体の中に入られ、ずっと監視させられた。


分かるんだ。


こいつは俺がその事を言った瞬間に何らかのタイミングで俺を殺し来るのではな

いかと。


そして、誰にも言えなかったら魔術によって悪魔が祓えることを知ったのも最近

だ。


だが、それを知ったことにはもう悪魔は俺の意識の半分以上を支配していた。


すべてを支配されたとき、この前に戦ったクライムのように犯罪者のようになる

だろう。


悪魔の存在も最近に知ったので『悪魔に取り憑かれていた』なんて、悪魔の存在

も信じないやつらからすればただの言い分けにすぎない。だから俺は、罪を受け

入れるしかないんだ。」


ただ静かに喋るとエルマは両手に呪いのように付けられた鉄製の鎖はジャリジャ

リとなる。


「そうなのか…」


ユリとユミーがガラス越しにエルマに呟く。


「つまり、お前は無実ということか?」


「そういうことでもあるけど、幹部なのに悪魔に背中を向けてしまった俺も悪い」


「そんなはずはないだろ、生き物は失敗はするから。失敗しない奴は人間じゃな

い」


「ありがとう」


ただそう呟くと、安心したかのように微笑み、エルマの座らせられていた椅子ご

と奥の部屋へレールに乗せられて行ってしまうと、大きな扉によって奥の部屋が鉄の衝突音と共に閉まってしまう。


『面会時間は終わりです。ご退場をお願いします』

スピーカー越しに声が聞こえた。


「悪魔か…。魔術は妖精の力と行ったのもエルマだ。信用性があるな」


「たすかに」


アールグレイ本部から少し離れた町の刑務所の建物の前。

アールグレイとはまた違う圧迫感があった。


「しかし、人間ねぇ。そんなものもあったかな?」


「ユリはしってるのか?にんげん?のこと」      


「まあね」


「人間ってなんなんだ?」

ユリは少し間を開けて言った。

「人間ってのは少し前にいた生物なんだ。前までは、スキルを使えないようなちっぽけな文明だったんだけどね、ある日を境として、人間はこの世界では誰も勝てないほどに力をつけた。」


「力って?」


「権力、技術力、権力。他にも色々あるが、有名なのはこれくらいだろう。そこ

ら辺にいる一般人なら、100人で殺しに行っても勝てるかどうか…」


「そんなに強いのか?」


「人間は2億年前から存在している生物だ。それを称えて今ではサバイバーと言われている。サバイバーは不死身なんだ」


「どう言うことだ?」


「何回も殺しても復活するんだ。でも、サバイバーは他の星に住んでいる生物だ

から、サバイバーがこの星に、ケプラーに来ることはほとんどないらしい。俺も

この星では見たことがない」


「じゃあどこにいるんだ?」


「さぁね、サバイバーなんで、ほとんど見つからんからさ」


「でも、エルマに憑いていた悪魔は俺がもう、祓ったけど?」


「なんだ、その呪いみたいな言い方。まぁ、エルマそれを本当に有るものって証明できれば良いんだけど、悪魔に関する研究を自由にやらせような甘い刑務所では

ないと思うよ」


「じゃあ、俺らが研究するとかは!?」


「それは無理かもな、最近アールグレイは忙しいから、俺らも有給とってきたん

だから」


「確かに…」


ユミー達はこのために有給(任務押し付け)をしてきたのだ。


「それに俺ももう……」


ユリは小さく呟く。


「ん?なんか言った?」


「いや、なんでもない」


ユミー達は刑務所を離れ、ホログラムで照らされたビルが目にはいる。


「ちょっとぐらい、寄り道でもしてこようぜ、折角この国の首都に来たからな!」


「そうだね!幹部になって給料もアップしたし!使わなきゃ意味ないしね!」

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