第17話 知り合いの伝

ユミ―が究極魔術を習得してから数日後


虫の声が響く炎天下の中で…


「さあ!見せてもらいましょう!全員覚えた究極魔術の用意を!!!」


エルマは声を挙げる。


ユミ―は両手を光らせる


「究極魔術!無風陣円!!!」


ユミーの周りの風が静まり返る。


「次にトミー!!」

「お、おう!究極魔術!爆弾光!!!」


トミーは一直線の光を出すと、光の先が爆発する。


「次!、アミー!」


「ふ、ふぅ、究極魔術!ドッペラゲンガー!!!」


アミーの周りに次々とアミーが沸いて出てくる。


「その次リミー!」


「はい、究極魔術、竜巻」


リミーの周りからいくつもの竜巻が出現し、辺りを荒らす。


「レミー!」


「はい!究極魔術!エネルギーアップ!!」


レミーが輝きを発し、周りに草が生える。


「コミー!」


「おう、究極魔術、パイロキネシス」


コミーは10メートルほどの火の弾を空に打ち上げる。


「最後!ケミー!」


「ほい!究極魔術、切り裂き!!」


ケミーは腕を振ると辺りの草が一気に切り刻まれた。


「よし!全員の合格だ!!」


「「やったー!!」」


一同が嬉しさの声を出す。


「じゃ!今日は打ち上げかな~?」


エルマのとなりにいたヘファイストが言った。


「打ち上げ?」


「一様、究極魔術を覚えることが魔術講座の目標だったからな」


「そうですね。打ち上げしましょうか、今日くらいは」


「よっしゃー!!酒だ、酒!!」


地面が光り、魔術の紋様が地面に刻まれるとユリが現れる。


「やあ!打ち上げだって?俺も混ぜてほしいな!」


「ユリさん!?あなた、なにもしてないじゃないですか」


「いやいや!エルマを紹介しのは俺だしぃ!俺も関係あるよー」


「わがままですねぇー、まあ、いいですけど」


「やったー!!!」


ユリは喜びのあまり跳び跳ねる。


「あんな人でしたっけ?ユリさんって」


「まぁ、少し遊びたいんじゃないか?ユリはさ」


「はぁ」

エルマは咳払いをし、みんなの注目を集める。


「ということで、今日を以て魔術の特別講座を終わります!ありがとうございま

した!」


「「あざましたぁ!!」」


その夜…

「ぷはぁー!!やっぱ酒はうめぇーなぁ!!」


ビールの入ったグラスを持ち上げてユリは言った。


「寝るなよ?運ぶの大変なんだし」


「いいですよ、重量軽減魔術とかありますし」


「そういう問題じゃねぇけどな」


「それに、多分ユリよりも…」

「ぷはぁー!!!!」


ユリ達とは別の席から聞こえた。

「やっぱお酒はウマウマやな~」


「多分ユリよりもユミーの方が酒に耐性は弱いですよ」


「どれどれ」


ヘファイストは自分の座席から立ちユミー達の方へ行く


「どうだー??飲んでるかー?」


「もちの論ですよぉ」


「ほら、トミー!もうちょい飲もうぜー」


「あ、はあ。いや、酔ったら大変なんで」


「大丈夫だよ!ほらほら~」


そう言ってヘファイストはトミーのグラスのなかに酒を注ぐ。


「今も昔も変わりませんねぇ~」


ユリが二人の風景を見て言う。


「この焼き鳥誰の?まあいいっか」


ヘファイストは口の中に焼き鳥を運ぶ。


「モグモグ…」


その近くに皿に囲まれたケミーの姿があった。


「うーん!!やっぱ居酒屋は焼き鳥がメインだなぁー!!」


「ケミー!わかってねぇなぁー!居酒屋は酒がメインなんだよ!ほら!飲んでみ

ぃ?」


ヘファイストはそう言うと、瓶傾けてグラスに注ぎ込もうとするが


「それ、貸して!」


と、言うのでビールの瓶をケミーに渡すと


「あーん!」


と言いながら瓶ごと自分の口の中に投げる。


「うおおお、貸してとは」


ユリ達の席に、ユミ―達やヘファイストの声が届く。

「こうやって、平和なのは、なかなかないですよね。仕事柄的に」


「そうだねぇ、こんなふぅに平和が続くといいけど、俺は平和を作る側の人間だか

らなぁ。のんきに言ってらんねぇよ」


二人はしばらく、ユミー達と、ヘファイストの会話を見て楽しんでいた。


「ぷはぁー!!やっぱうめーな!酒はよぉ」

「てか、この物語の製作者未成年だよな?何でこんなシチュエーション入れたんだよ」


「別にいいだろ!こんなのあっても!」


「味わからなきゃリアリティが懸けるじゃないか」


「いいじゃん!別に!酒飲ませとけば!」


「おい?さすがに自由すぎひん?」


「いいの!作者の自由で!!」


「いやさすがに」


「いいもん!!俺は創造主なんだから!!」


「いやいや!そういう問題じゃなくてな…てか、作者の」


そこにユリが割って入る。


「まあまあ、それよりも、次の任務の話をしていい?」


ユミ―達は首をかしげる。


「次の任務?」


「そうそう。次の任務だけどな、チームで調査してほしいんだ。だから名前を決

めてもらおうと思って」


「名前とは?」


「ユミ―、トミー、アミー、リミー、レミー、コミー、ケミーをまとめた呼び名

のことかな?」


「あーなるほど!」


その場にいる全員が理解した。


「え?何にする?」


「七人いるし、それにちなんだ名前でもつければいいのでは?」


レミーが提案する。


「たしかに~!それがいい!」


ケミーが元気よく賛成する。


「ふーん、とりあえず、セブンズキャットは?」


辺りがシーンとする。


「アミー、ドンマイ」

「なんでだよ」 


ユミ―が慰める


「ここはトミーさんに決めてもらおうぜ」


「あ!いいねぇ!実績ないけど何も」


みんなはトミーに丸投げした。

「え?みなさん?」


ニコニコと笑いながらトミーを見つめる。


「えぇ、ちょ、先輩きついっすよ」


「まあ何でもいいから」


「えぇ、じゃ、じゃあ」


「マイフレンズとかは?」


ユミ―達は満足そうな顔を浮かべて


「おお!ええなぁ」


「べつに、いいんじゃないか」


ユリは蔓延の笑みを浮かべる。


「決まったな!マイフレンズ。良い名じゃないか!じゃあ!カンパーイ!!」


ゆりは酒をグラスに注ぎ、ユミ―とグラスを鳴らす。


「か、カンパーイ」


いつの間にか遠くに居たヘファイストは酒をすべて飲み終えると同時に、占めの

ラーメンが登場する。


「こちら、こってりラーメンです」


「ありがとうございます」


ヘファイストは手を伸ばし箸を取る。


「いただきまーす!」



ヘファイストは麺をつかみ口の中に仕舞う。


「んん!旨い!」


「それって美味しいんですか?」


「そりゃあ旨いぞ!にんにくがよく効いてるからなぁ!」


「にんにく…」


「あ、そっか。お前相違やにんにく食えなったか」


「嫌いなだけです」


ヘファイストは箸で麺を掴み口にいれる


「でも急に嫌いになったよな?最近さぁどうしたんだ?」


「気分の移り変わりですよ、特になんでもないです。あ!そろそろ時間ですよ!!

早くいかないと!次の幹部会議に遅れちゃいますよ!!」


「おお!もうそんな時間か、ユリ!行くぞ!」


遠くにいたユリは一気に酒の酔いが覚めた。


「あ、はい!じゃ!会計はよろしく!」


ユミ―とケミーが驚いた目でユリを見る。


「は!?」


「ちょ、ユリさん!?」


ユリはちょっとした現金を乱雑において、店を出ていってしまった。


目立つため息をユミ―がする


「マイフレンズ諸君よ、どうします?」


「聞いてどうするんだ?皆で出し合うしかないだろ。ないと思うけど」


ユミ―はお札の上とお札の上に乗せた小銭をだす。


「しょうがない。俺のおごりだな」


レミーが財布を取り出し、店員を呼ぶ。


「お願いしまーす」


「ふう、終わったな疲れたぁー」


トミーが手で目を覆う。


「ここからが本番だ。」


トミーの頭の中に声が響く。


「?。何が?」


「ん?今何か言ったか?俺ボーッとしてたからな気づかんなったけど」


横にいたユミ―は特に何知らないみたいだった。


疲れたのかな?今日は少しゆっくりと休むか…




みんなが寝ている中、ユミ―だけが眠れずにいた。




暑い…


夜でも暗いから暑いと眠れずにいてしまう。


俺が記憶を失ってから…


アールグレイに来てから3ヶ月ってところか


今までに色々なやつと戦ってきたけど、何かから幹部になるのが遠くに行ってしま

うようだ。


幹部たちはあんな奴らよりも強い奴らと戦っているとユリから聞いたけど…


どれくらいなのかが判らない。


それに、どうやら俺は記憶喪失病気にかかっているらしいけど…前の記憶も何も

ない。



ってこんなこと考えてもないも判らないや


自分の事なのに自分がよくわからない。


俺は、何なんだろう


ユミ―は自分の手を上に掲げてみる。


でも、何もわからなかった。


深夜の12時30分…


眠いけど…まだ寝たくない…


ユミ―はベットから降りて玄関へと向かった。


逃げ出すつもりもないし、逃げる物も無いけどユミ―は家を出る。


「転移魔術」


ユミ―は転移魔術でアールグレイ本部の中庭に来た。


中庭は天井がガラス張りになっていて、夏にはうっとうしい虫も入ってこないの

で星を見るのにはうってつけの場所だ。


ユミ―は中庭で一番高い丘に登りちょっとした傾斜にねっころがる。


公園のように広い中庭を見渡し、次に星を見上げる。


感情を引き出してみる。


今は笑っていいのか?


俺はこんなときにどんな顔をするのか迷った。


別に、悲しい訳でもないけど嬉しい訳でもない。


無表情、なんて言うのかもしれないけどよくわからなかった。


でも俺はまだ星を見上げていたかった。


ただ、輝くだけの星達を見ていたかった。



「…い。お…おい!」


「はっ!」


ユミ―はいつのまにか寝ていた。


だがまだ夜だった。


「いつのまに寝ていたんだ?」


「お主、ユミ―か?」


「?」


「貴様はユミ―かと聞いているのだ!!」


大声を張る。目の前にいたのは一人のユミ―より身長のある女性だった。


頭に角が生えているので、リザード族のようだ。


「へー、てか貴女は?」


「おっと、申し遅れた!私、将軍のアオイだ!よろしく!」


「将軍?」


「あぁ!将軍だ!幹部の一つ下の階級だな!」


「え、すげー」


「将軍は私一人だけでな!最近は特に仕事もないからこうやって暇してるんだか

らな」


「そうなんだ。てか俺の名前知ってたのって何で?どこかであったことあるっ

け?」


「え!?貴様は上級兵士だろ?それも、レベルVの」


「上級兵士?」


「上級兵士ってのはな、私の将軍から5つ下の階級のやつのことだ。でも貴様、上

級兵士以上の力があると私は思うな!」


「なんで?」


「それはだな…」


中庭の天井に張ってあるガラスが割れ、中庭に紫のローブを着た人物が入ってく

る。


「ようよう!そこのお嬢さん達!少し一戦どうだい?」 


「侵入者?」


「まさか、魔方陣を破って入ってくるとはな、今年で二回目だ。いいだろう!!

貴様は我には勝てるかな??」


紫の男は鞘に入った剣を抜く。


「やったー!ナンパ成功ぅ。これで100回目かモテモテだな~」


剣の刀身が月の光に照らされて輝く。


「剣ねぇ」


「なんだ?」


「時代遅れだよ!今は、銃を使うんだよ!!」


アオイは腰から拳銃をだす。


「実弾の拳銃、ブラッドガン改。殺さない程度まで威力を下げてるから当たった

ら一発で気絶するぜ!殺しはしないがな」


「文明の力か、興味もなにもないかな!」


アオイ目掛けて一直線に進む。


(くっ!早い!!だが!ぶれないなら狙いやすい!)


アオイは素早く引き金を引くと一歩後ろに引き下がる。


「パキン!!」


「ふう、こんなもんか!」


アオイから赤い血飛沫が上がると、アオイは膝から倒れる。

「あ、将軍」


「拳銃の時速は約300キロ~400キロ。昔から威力は変わっても拳銃の時速はあま

り変わらなかったからね。380キロまでなら俺は切れる!」


紫の男は剣に付いた血を振り払う


「次はお前か」


「ふん!破滅弾」


ユミ―は紫色に染まった弾を放つ。


「なるほどねー」


紫の男は破滅弾を避ける。

「これは何でも破壊するようなスキルかな?」


「おおー、よく知ってるねー」


「俺のスキルは未来余地でね、斬ろうとしたら剣が真っ二つになっる未来を見た

んだ。」


「だから弾丸も切れた系?」


「そんなとこよ~」


「そんなにペラペラ喋ってもいいん?スキルは知られない方が…」


「いやだってさー…俺には見えてるんだよね、君の死ぬ姿がさぁ。剣を背後から

刺されて一発で死ぬって、見えるから」

「希望は捨てたもんじゃないよ」

「バァン!!!」

激しい爆発音が遠くからする。


「なんだ?この爆発音は」


ユミ―は驚いた様子で後方を見る。


「そうそう、今日はいろんな組織も一緒に来てるから、アールグレイは今日、壊

滅するよ」

「エエエエエエ!それは悲しいな~」

「何か君テンション低いね」


「あ、あぁ、さっき夢を見てね、何か不思議だったんだ」


「その夢のせい?テンション低いのって」


「んー」


少しユミ―は考えるが

「うん!知らん!」


「へー」


紫の男はユミ―のすぐちかくに立つ。


「ま、すぐに死ぬからいいんだけど」


剣をユミ―の首に向かって振る。


「キン!」


鉄の激しいぶつかり合いの音がなる。


「まあ、俺もここで3ヶ月も鍛えていたんだ。まあ、こんくらいだったら余裕です

よ」


「へー、なかなかにやるじゃん」


「まて!」


アオイの声がした。


「あ!将軍!起きたんですねー。致命傷じゃなかったみたいなんでそっとしてお

きましたけど」


「まあまあ貴様、最低だな」


アオイは起き上がり銃を構える。


「私のスキルは名付けてヒーリング。回復能力だ!まだまだ動けるぞ!!それと!

ユミ―!お前は爆発音のなった方へ行け!」


「わかりましたー」


ユミ―は紫の男の剣を振り払って魔術で消えてしまった。


「貴様の相手は私よ!覚悟しておきなさい!」


「やったね、女の子と遊べるよ」

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